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浮世絵の絵の具

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#絵の具

浮世絵の絵具一覧

江戸期の浮世絵の絵具を、包括的に紹介した資料が少ないことに気付き、知ってもらえたらと思い…

浮世絵の絵の具ー青花紙③ー「浮世絵における青花紙の使用について」(講演報告)

2022年初春、草津青花紙製造技術保存会主催の「あおばな紙担い手セミナー」の一環として、浮世…

浮世絵の絵の具ー文献資料目録

江戸時代の浮世絵にはどのような絵の具が使われ、それがどういった色をしていたのかといったこ…

浮世絵の絵の具ーベロ藍の製法について

はじめに 現在もベロ藍の名を冠した絵の具は市販されており、復刻版浮世絵には一般的にそうい…

浮世絵の絵の具ー鉛白・胡粉・雲母ー

鉛白も胡粉も国内では古くから存在していましたが、その名称や原料、製法には変遷があります。…

浮世絵の絵の具ーベロ藍ー

追記 鶴田榮一「顔料の歴史」によると、ベロ藍は18世紀初頭にドイツのDiesbachによって発見さ…

浮世絵の絵の具ー本藍ー

追記 藍の色素を含んだ蓼藍の葉を使い染める技術が、日本へ渡来したのは5世紀の頃といわれています。「生葉染」、「沈殿法による発酵建て」、「蒅法による発酵建て」、「割建法による発酵建て」、「化学建て」など、天然藍を用いた染色法は時代ごとの変遷が見られますが、少なくとも平安時代には「沈殿法による発酵建」による染色法がある程度一般的に行われ、この頃には染色液の上面に発生する泡を集めて乾燥させ、藍の色材を作るということも行われていたといわれています。この「藍の色材」の名称に関して、文

浮世絵の絵の具ー青花紙ー

追記 青花紙:別称:「藍紙」「花田紙」「ぼうしがみ」「紺紙」「青紙」等。 露草は古くから彩…

浮世絵の絵の具ー藤黄・他ー

追記 藤黄は(広義にはオトギリソウ科)フクギ科フクギ属 ガンボウジノキなどの樹木の樹脂から…

浮世絵の絵の具ーウコンー

追記 ウコン(鬱金)はインド原産で享保年間(1716~1736年)に渡来したと言われています。染…

浮世絵の絵の具ー鉛丹ー

追記 鉛丹はギリシャ・ローマ時代から作られている鉛の酸化物です。 鉛丹・化学式Pb3O4 18世…

浮世絵の絵の具ー朱ー

補足 水銀朱(硫化水銀HgS)は現代も人工的に製造されていますが、その製法は「乾式法」から「…

浮世絵の絵の具ーベンガラー

補足 吹屋におけるベンガラ造りは諸説あるが1707年頃から始まり、生産の本格化は1751年以降で…

再生

浮世絵の絵の具ー紅・補足ー

紅についての補足動画になります 以下は細工紅と本紅の製法上の違いの概要です 紅花餅を灰汁を使って搾り、その液に酸液を加えると赤の色素が結晶化します そしてその余分な水気を切ったものが細工紅となります 本紅を作る場合は、その水気を切る前の赤の色素が結晶化している液体中に、麻や青苧からなる布を浸し染めつける、という工程が加わります 麻や青苧には「赤色素は定着するが黄色素は定着しない」という性質があるため、それらの布によってより純粋な赤の色素を液中から回収することが出来ます (最初の液を作る過程で、黄色素は出来るだけ取り除かれますが、ある程度はどうしても残留してしまいます) 赤色素を染めつけたそれら布を一旦水洗いし(出来るだけ黄色素を流し去る)、そして灰汁の中に浸すことで、赤色素は溶解し布から離れます、そしてそこに酸液を加えると再結晶化するので、後は余分な水気を切れば純粋な赤色素からなる本紅を得ることが出来ます 化粧品・口紅にはこの本紅が使われていたそうです 明治以降の文献には、細工紅の製法においても、麻や青苧の布で色を回収する工程が含まれており、江戸時代以降、細工紅の精製が向上したことが伺えます