見出し画像

京都の禅寺で禅修行(スケジュール編)

画像1

会社を独立し、今後フリーランスとしてやっていく中で、「自分自身の指針や価値観を明確にしていきたい」と思い、京都の禅寺で修行に入りました。

三泊四日、期間こそ短いもののとてもとても濃い経験になりました。そこには、予期せぬ出会いあり、驚きの経験あり、そして、深い学びあり。めちゃくちゃ良かったです。

「何を学んだか」については、後日の記事にまとめます。今回は、「どんなスケジュールで何をしたのか」をまとめました。(※現在はコロナ対策によるイレギュラースケジュールのため、詳しくは、こちらのHP(宝泉寺禅センター)をチェック、または実際に行って体験してみてください!)

ルーティン動画のように、時間で区切って何をしたのか書いているので、かなり長くなっていますが、「こんな修行をするんだなおもしろそう!」と思ってもらえると幸いです。

こんな方にオススメの記事です!
・どこかで禅の修行がしたい
・京都の寺で珍しい体験がしたい

1日目14:20 いざ、入山

京都駅からJRで約25分。亀岡市にある「馬堀駅」という駅で下車し、徒歩15分。The古き良き日本の田舎みたいな場所にある「宝泉寺」というお寺に行きました。近くには保津川下りで有名な保津峡があり、空気の美味しい自然豊かな場所。田舎出身の僕は、最寄駅に到着した時から、なんとも言えない安心感を感じていました。

自分は同じタイミングで入山するメンバー4人中3番目に到着。荷物を持って「こんにちは〜」と少しずつ集まってくる感じがテラスハウスみたいで、「寺スハウスやん」と黙って突っ込んでいました。早速煩悩です。

同世代かな?という方が男女1名ずつ、少し上の世代の女性が1名いました。みなさん緊張しているかつお寺での修行ということもあり、無言のまま和尚さんを待ちます。

宝泉寺は、水曜日以外いつでも入山ができ、自分で日程を選択することができます。また泊数も最短3泊〜自分で自由に選択でき、中には15泊するような猛者もいました。

画像2


1日目14:45-16:00 施設案内+作法レクチャー

時間になると、来られたのは優しそうな男性。和尚さんではなく「常住さん」という、お寺に長期で住み着き修行をしている方が、自分たちのお世話役でした。
その方に案内され、自分の部屋や禅堂、洗面所など施設の案内を受けます。その後に、禅寺での規律、食事の作法についての動画を見ました。

本堂や禅堂の中、少し離れたログハウスにも部屋があり、人によって個室or集団部屋などバラバラ。予約時に自分で選択できないので、予約するタイミングや性別によって変わるようです。現在は新型コロナウイルス対策のため、集団部屋はなく、全員個室でした。

この時はまだ、坐禅の大変さやご飯の辛さは知る由もありません。


1日目、16:45-17:00 薬石前の小坐禅

一通り説明が終わった後、荷物を部屋に起き、休憩。そして、禅堂での小坐禅へ。

ご飯の前に、心を落ち着ける意味なのか、ゆっくりと坐禅を組みます。ちょうど夕日が沈むタイミングでオレンジに染まる禅堂に、出身地と名前を言いながら入堂。前日以前から入山されている3〜4名の方を横目に、坐禅を組みました。短時間だったので、足はしびれませんでした。


1日目、17:00-17:30 薬石(晩ご飯)

そこから、いよいよご飯。持鉢(じはつ)と呼ばれる「大中小、3つのお椀とお箸、布巾のセット」いわゆる”自分用の食事セット”を持って、夕飯のいい匂いがする食堂へ。食事も修行の一つということで、食べることを通じて禅の修行に取り組みます。

「薬石」と呼ばれる夕飯では、ご飯+おかず+味噌汁。
おかずには、かぼちゃや豆腐など、いわゆる精進料理が出てきました。和尚さんと常住さん+外注さんが作っているそうですが、びっくりするくらい美味しかったです。

■■食事の作法■■
ご飯やおかず、味噌汁、それぞれ全員分が入った各お皿がかごに乗ってまわってきます。それを自分のお椀に取り分けていき、次の人へまわします。その際、修行ということもあり、下記のような作法が厳格に決められています。破った場合、常住さんから厳しい指摘が入ります。

・もちろんずっと正座
・喋るのも笑うのもNG
・お箸がお椀にあたる音、お椀を机に置く音、味噌汁をすする音など一切音を立てない
・料理の取り方:料理がまわってくる→合掌→お椀を両手で取る→料理をお箸でよそう→お椀を机に置く→料理を次の人へ
・食べ方:合掌→大きいお椀を両手で取る→お箸を持つ→食べる
・お椀に顔を近づけない、お椀を顔に近づける
・コロナ対策として、食べる時以外マスク着用
・もう一度言います、音を一切立てない(激ムズ)
・指摘されたら「はい、ありがとうございます」


想像してみてください。ただでさせ長時間の正座で足がしびれてくる中、さっき動画で習ったばかりの厳格な作法を守り、音を一切立てずご飯を食べることを。
「●●さん、食事を取る前にまず合掌をしてください」
『はい、ありがとうございます。』

「××さん、お箸の音を立てないでください」
『はい、ありがとうございます。申し訳ございません。』

前日以前の入山者も含めて約10名での食事中、しーんという音が聞こえてくるくらい静かな中、このやりとりだけは30秒に1度ありました。
(それでも美味しく感じたあの料理は、普通に食べたらもっともっと美味しいはず)

また、おかわりもまわってくるのですが、取る取らないは自由でした。取ればもちろん夕食の時間が延びる。でも足の痺れがきてる。「もっと食べたい空腹」と「早く立ちたい足」がいつも戦っていました。(これも修行。)


1日目、19:00-20:30 坐禅レクチャー+坐禅

ここで初めて和尚さんとご対面。話がとてもわかりやすく、脳科学や心理学を交えたお話はとても勉強になりました。また、体が硬い人でもできる坐禅の組み方を教わります。

そしていざ、坐禅。初日は25分×1本。風の通る涼しい部屋で、暖かい色の薄暗い証明の中、一列に並び坐禅。人の気配や呼吸音などほとんどなく、すぐ近くにいる鈴虫の声や遠くに聞こえる電車の音だけが聞こえてきます。「風情」という言葉には収まりきらないくらいの風情を感じながら、坐りました。


1日目、22:00 開枕(消灯)

そして、シャワーの時間や洗面の時間などの自由時間を経て、22:00に開枕(消灯)。「寝る時間も修行」で、ゆっくり静かに眠りにつきました。唐揚げを食べる夢を見たので、まだまだ修行が足りません。


2日目、5:20 振鈴の音と共に起床

常住さんが何かを言いつつ鈴を鳴らしながら、修行者を起こしにまわります。起床とともに更衣、洗面などの身支度を急いで行います。


2日目、5:40 まだ薄暗い境内で八段錦(太極拳)

八段錦と呼ばれる太極拳を行います。呼吸法や動きなど常住さんの真似をしながら、体を動かします。気を養うのか、体の中から力がみなぎる気がしました。


2日目、6:00-7:00 日の出とともに坐禅

外が少しずつ明るくなる中、僕の足は少しずつしびれていきます。そう、朝から坐禅25分×2セットです。鳥がちゅんちゅく鳴く中、少しずつ呼吸法にも慣れ、雑念が浮かぶ回数が減っていきます。

ただただ、「いまここ」に目を向け、呼吸する空気が鼻の中を抜けていく感覚に集中する。1から10まで呼吸を数え、その回数だけに集中する。禅の真髄を、坐禅を通して体感します。


2日目、7:00-7:10 まだ朝早い中、朝課

一通り、いわゆる朝のルーティンを終えても、まだ7:00。お寺の本堂で朝のお経をよみます。坐禅による足の痺れがまだ残る中、再び正座。いつもやっている「YouTubeの2倍速再生」のように早送りできればと思ってしまうあたり、まだ煩悩が残っています。


2日目、7:10-7:45 掃除

禅では、部屋の汚れは心の汚れ。心を美しく保つためにも、部屋のちりを掃除します。短い時間でテキパキと掃き掃除、拭き掃除を進めていきます。


2日目、7:45-8:20 朝食

昨夜の晩ご飯と同じ作法で、おかゆとおかずをいただきます。忘れてはいけません、これも修行です。音を立てず、順番を守り、足の痺れに耐えながらご飯を食べるのです。おかずにはおからや豆腐、ひじきなどが出ました。これも相変わらずめちゃくちゃ美味しかったです。


2日目、9:00-11:40 肌寒い中、作務

坐禅は「静の修行」ですが、ここからは作務という「動の修行」を行います。掃除や洗濯、いわゆる家事です。落ち葉拾いや石鹸の補充・交換も含まれます。だいたい2人1組で行いますが、この時もおしゃべりをしてはいけません。ただ黙々と、落ち葉を拾いました。この時のなんともいえない心境は、また後日の記事で綴ります。


2日目、11:40-12:20 やっと普通に食べられる昼食

作務を終え、食事前の短時間坐禅。そして、昼食の時間。

ですが、昼食だけは作法なし。かぼちゃのコロッケや焼うどんなどを普通に食べます。作法を気にせず、ただただ美味しくいただきます。


2日目、12:30-16:40 自由時間

ここの禅寺では、昼間は自由時間でした。この時間を使って近くの散歩をしたり、本を読んだり。外出も可能だったので、車で来ていた方に乗せてもらい、近くの神社まで行きました。デジタルデトックスも兼ねていたので、その他の時間は読書か談話室での談笑をしていました。

そしてまた、1日目の16:45からの流れに戻り、それ以降の日程もだいたい同じ流れでした。


総じて、めちゃくちゃ良かった

普通に生きていたらおそらく出会うことのない、様々な人がいました。中学卒業したての元ヤン、婚約破棄を悩む方など寺に来た理由や職業、住んでる地域や年齢もバラバラ。関西の方も関東の方もいて、様々でした。

この寺だからこそ出会える方との出会いは、とても新鮮でした。

また普段、生活についてや食事作法について指摘を受けることが減ってきた中、その指摘を受けられるのはとてもありがたかったです。

そして何より、坐禅や作務を通して自分に向き合う時間を作れたことは、何よりも良かったです。

川や山などの自然たっぷりな中、お金や人間関係、普段考えがちなことは考えず、ただただ自分に向き合える。そんな環境がありました。

年齢層も同世代の25歳前後、他にも30代、就活終わりの4年生、また浪人期間中の16歳など、本当に幅広くいました。

人生の節目を迎える方や道に迷っている方など、お寺での修行に興味のある方全員にオススメです。

自分もまた何か迷うことがあった時、訪れたいなと思っています!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?