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はらへったら読む・鶏の唐揚げ

今日の夕飯は、子どもからお兄さんお姉さん、爺ちゃん婆ちゃんまで大人気の唐揚げ、鶏の唐揚げ祭りだ。冷蔵庫にはスーパーで買った鶏モモ肉が約500g、冷たいまま眠っている。
唐揚げ用にカット済みであるので、作業が短縮されるのはうれしい。
それに微妙な味加減を気にする必要のない料理だと認識しているので、リラックスして調理ができるのも、またうれしい。

エプロンを首に引っ掛け、背中はいつものようにボタンで留めずにキッチンへ飛び込んだ。

ガスコンロ下とシンク下から、小さいボールと調味料一式をワークトップに並べて、調味料に不足がないことに頷き、小さいボールに調味料を入れていった。
醤油大さじ1.5、酒大さじ2、鶏ガラスープの素大さじ1。
そうだ、大事なスパイスを忘れるところだった。
冷蔵庫からS&Bの生姜とニンニクのチューブを取り出し、先ほどの小さなボールにそれぞれ、5~6センチ絞り出し、小さいホイッパーでカシャカシャ混ぜ合わせた。
これで漬けダレ準備完了。

今日の主役である鶏モモ肉のパックを冷蔵庫から取り出し、ラップ外しに格闘しながら力ずくで開けて、キッチン用ポリ袋に移し替えた。
そして、そのポリ袋の中に、小さいボールに入っている漬けダレをドボンと入れ、ポリ袋を外側からいっとき揉んでから冷蔵庫へ戻した。
鶏モモ肉はボソっと言うのだろう、「せっかく暖かくなってきたのにまた冷蔵庫かよ~」って。私は返す「何かのレシピにそう書いてあったんだ」って。

揚げ物用鍋に日清キャノーラ油を入れて、ガスコンロの上に置いて火をつけるだけの状態にしておいた。
ワークトップの不要な容器をすべて洗ったら水切り籠に入れて、キッチンから一旦退場。
鶏モモ肉は三十分だけ漬け置くつもりでいる。
今のところ一度も生肉で手が汚染されてないので完璧な食材と手順だ。

飼い猫にペットボトルの蓋を投げて遊んであげたり、時々冷蔵庫の中のポリ袋をもみ込んだりしながら三十分ほど経過したので、鶏の唐揚げ祭りの後半へ駒を進めることにした。

再びキッチンへ飛び込んで、レンジフードの弱スイッチを左手で押し込み、同時に右手で揚げ物用鍋にガスを点火させたら、温度設定を180℃に設定。
もう一枚、新しいキッチン用ポリ袋を取り出し、冷蔵庫から出した漬け込んだ鶏モモ肉を、漬け汁を切りながらひとつひとつトングを使って移していった。移し終わったら、片栗粉を三回、四回と調味料さじでポリ袋の中に振りかけた。

そのポリ袋を風船状にして、中の鶏モモ肉をバウンドさせ楽しそうに踊らせた。ポリ袋の中を確認してから片栗粉を追加して再び鶏モモ肉を踊らせた。
中は何らかの事故でワケアリ品になった大福餅がたくさん入っているかのような状態になっている。鶏モモ肉をバウンド中にポリ袋が破けてしまったらと頭を過った途端、消極的になり適当なところで手を止めた。

揚げ物用バットを準備してからガスコンロから180℃のアラームが鳴るのを待つ。

鶏モモ肉の数から考えて三回に分けて揚げることにした。
ガスコンロが180℃を知らせたので、鶏モモ肉を油にそっと漬けるように入れていった。
六分揚げることにするのでタイマーをスタート。
「ピチピチピチ、パチパチパチ、ジュ―――・・・」と鶏の唐揚げ祭りの陽気な音楽が始まった。
揚げ物用鍋の中からは、いつ、どさくさに紛れて鉄砲魚が燃えるような一滴を発射してくるかわからない。いつでも鉄砲魚が発射してもいいように、念のため油はね防止ネットを置いて身を守った。
開始から三分ほど経過したので唐揚げをひっくり返し、鍋の中で温度が均一になるようにゆっくりと泳がせる。
五、六分すると、間違いなく鉄砲魚が発射しそうな雰囲気になってきたので、急いで揚げ物用バットに拾い上げていった。
予定通り事故もなくすべての唐揚げが揚げ物用バットに乗ったので、余熱をうまく使ってウエルダンの域に達するように念じる。

ちぎりレタスとキュウリ厚めの斜め切り、ミニトマトが乗った皿にトングを使って唐揚げを静かに置いていくと皿の中は色のバランスが整った。
唐揚げと引き立て役の野菜によって魅力的な一皿となっている。
今夜のメインディッシュ、鶏の唐揚げはいっとき静かに呼吸を続けスタンバイ状態になった。

配膳された今日の唐揚げは成功か?
まずは、手を付けずに家族が食べるのを待った。
ひとり目・・・「ガシッ、、、ん―――まいっ!」
ありがとう、作った人への最大限のご褒美の言葉をもらった。
“カリッ”ではなく“ガシッ”と食べてもらったのもいい。

みんな皿の上の唐揚げは四個ずつだ。
どれどれ、“カリッ”
ん―――、少し鶏ガラスープの素が多すぎたか。料理の工程を見てきているので、どの調味料が強いか弱いかがわかるのだ、何だかそんな感じがする。
しかし、家族は美味しいと上半身で頷きながら、鶏の唐揚げ祭りを楽しんでバクバク食べ続けているので良しとしよう。

唐揚げを食べるときにいつも思うのだが、出来立ての熱々よりも常温になった方が断然美味しくなると思う。唐揚げに限らず出来立ての熱々イコール、最も美味しい状態というのは誤りであるはず。きっと母親が食事前のルーチンで、冷めると美味しくないから早く食べなさいという声かけをしていたから、ある時まではその教えが脳ミソに叩き込まれていたのだ。

そういえども、このまま冷めるのを待っているわけにはいかないので食べ進めることとする。最初の一個は、そのまま食べ、残り三個は醤油を少し垂らして食べるのがよい。自分自身も上半身で頷きながら、白飯といっしょに唐揚げを口いっぱいに放り込んだ。

今日は、これにて鶏の唐揚げ祭りは終わるが、ローテーションでまたすぐに祭りはやってくる。

ごちそうさまでした。

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