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『世界自然遺産「白神山地」の“マタギ文化”と“森の恵み 白神ジビエ・山菜料理”にふれる旅』

 本記事は、『世界自然遺産「白神山地」の“マタギ文化”と“森の恵み 白神ジビエ・山菜料理”にふれる旅』の参加記録です。

『世界自然遺産「白神山地」の“マタギ文化”と“森の恵み 白神ジビエ・山菜料理”にふれる旅』とは

 白神山地の村・青森県西目屋村で、古来より自然と共存して生きた狩猟民“マタギ”の生活文化やこの地域ならではの豊かな自然から授かった山の幸など、この地域ならではの食文化があります。 
 このマタギ文化や森の食文化などを観光資源として活かし、磨き上げの可能性を探ることを目的としたモニターツアー(2022年12月2日~4日 2泊3日)が、観光庁「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」の一環として実施されました。
(催行:近畿日本ツーリスト株式会社青森支店)

「目屋マタギ」が活躍した白神山地の恵みと、ご当地ならではの体験を楽しむ

冬の白神山地

 ブナの大森林が原始の貴重な姿で残る白神山地。
 津軽平野の南西部に位置する標高1,000m前後の山並みに広がる広大なブナの森が“原始の形態を残す世界的に貴重な自然遺産”として1993年に屋久島とともに世界自然遺産に登録されました。
 この世界的に貴重な自然を目指して、初夏から晩秋にかけての6~11月のシーズンには、多くの人々がトレッキングを楽しみに訪れます。
 そしてまた白神山地には、古来よりその豊かな自然から恵みを得るために独自の習俗と狩猟法のもとに白神山地の自然と一体となって生きた「マタギ」と呼ばれる人たちの独特な文化が育まれました。
 マタギには、狩猟に際して山神信仰に基づく独特の宗教観や戒律を持って伝承的な狩猟を行ってきたことから、通常の”ハンター”とは区別されます。
 しかし、目屋のマタギもまた、近代化の流れには坑がうことができす、目屋ダム、津軽ダム建設という二度にダム建設によって、砂子瀬、川原平というマタギ集落が水没し、さらに白神山地が世界遺産登録により入山に規制が敷かれたことにより、現在、伝承マタギはほぼ消滅しています。

 今回実施されたモニターツアーは、そんな日本が世界に誇る世界遺産・白神山地の豊かな自然の恵み授かって生きた”マタギの食体験”を中心に、この地ならではの体験素材に触れることができるということがテーマ。当地には、マタギ文化の他にも、白神の良質な水とりんごの木を使用した焙煎が特徴の「白神珈琲」での焙煎体験、ブナを素材としたエコロジカルかつデザイン性の高さで世界的に注目されるインテリアメーカー「BUNACO」での工場見学&製作体験や、熊革クラフト体験など、白神山地の自然を背景としたご当地ならではの魅力が盛りだくさんのプログラムがありました。

旅の舞台、青森県西目屋村

村の中心部にあり、四方ぐるりと山を見上げることができる西目屋村役場


村から望む岩木山



『世界自然遺産「白神山地」の“マタギ文化”と“森の恵み 白神ジビエ・山菜料理”にふれる旅』ツアー行程ダイジェスト


本ツアーの行程をダイジェストでご紹介します。白神山地をめぐる旅の参考となれば幸いです。

  • 12/2(金)
    新青森駅(集合)→道の駅津軽白神(昼食・見学)→白神焙煎社にてコーヒー焙煎体験 →津軽ダム(ダム内部見学)→ブナの里 白神館 (泊) 
    ※夕食は、山菜・熊肉料理等                     

  • 12/3(土)
    ホテル →白神山地ビジターセンター→ 西目屋村中央公民館(マタギの回廊)→味な工房(そば打ち、豆腐作り体験・昼食)→ブナコ工場(製作体験)→ブナの里 白神館 (泊)
    ※夕食は、郷土料理バイキング

  • 12/4(日)
    クマ革アクセサリー製作体験(白神館内にて)→マタギ講話(白神館内にて) → 昼食→ 新青森駅(解散)

【Day1 昼食】

 「道の駅津軽白神」西目屋村役場の近くにあります。 
昼食は「道の駅津軽白神」にて“熊肉カレー”。煮込まれてコーンビーフ状になった熊肉が美味。

【Day1 ①白神珈琲焙煎体験】

「道の駅津軽白神」内にある「白神珈琲社」での焙煎体験。青森特産のりんごの木を燃焼させて焙煎するのが特徴です。
自分で焙煎した豆と白神の水で飲む珈琲の味は言うまでもありません。

【Day1 ②津軽ダム見学】

津軽ダム。1960年完成の目屋ダム工事に伴い、マタギ集落のあった「砂子瀬」「川原平」の二つの集落が水没集落り、さらに目屋ダムは、2017年完成の津軽ダムの建設に伴い水没したそう。
津軽ダムの誕生と伴に生まれた人造ダム湖「津軽白神湖」

【Day1 夕食・宿泊 白神館】

温泉施設も併設の「ブナの里 白神館
所在地: 〒036-1411 青森県中津軽郡西目屋村田代神田60−1 
電話: 0172-85-3011


夕食は「熊づくし料理」。本ツアー特別メニューののお品書き
マタギ料理の「熊煮」
熊そぼろご飯


【Day2 ① 白神山地ビジターセンター見学】

いわば白神山地ミュージアムともいうべき「白神ビジターセンター」。
所在地: 〒036-1411 青森県中津軽郡西目屋村神田61−1 
営業時間: 8時30分~17時00分 
電話: 0172-85-2810 


「白神ビジターセンター」でしか見ることのできないVRを活用した白神山地の映像は圧巻です。

【Day2 ② 「マタギの回廊」(西目屋村中央公民館内)見学】

マタギが、食料や山菜などの携行や運搬に使用した「こだし」と呼ばれるバッグ。今では大変貴重なものとなっているそう。
津軽民芸であり、独特な模様が特徴の刺繍「コギン刺し」の衣服。かつてはコギンを刺せるのが嫁入りの条件だったという。

【Day2 ③ 白神そば打ち体験】

西目屋村は、津軽のそばの産地としても有名。道の駅に併設の「味な工房」で白神そば打ち体験も可能です。

【Day2 ④ 昼食〜白神そば】

白神の自然のなかで育ち、しかも自分で打った「白神そば」は絶品。

【Day2 ⑤ 目屋豆腐作り体験】

ダム建設で水没した砂子瀬、川原平集落で家庭料理として作られていた「目屋豆腐」。固くて凝縮された味が特徴で、住民移転のため長らく途絶えていましたが、村民たちによって再び作られ始めたそうです。冬季のみ「道の駅津軽白神」で販売されています。
固く、濃厚な味わいが特徴の「目屋豆腐」

【Day2 ⑥ BUNACO工場見学&製作体験】

 BUNACOは、1956年に誕生した世界でも高い評価を得ている日本を代表するプロダクトブランドです。
 テープ状にしたブナ材をコイル状に巻き、側面を押し出して成形するという独特の製法が特徴です。押し出す際に湯のみ茶碗を使うというのもユニーク。

廃校舎をリノベーションして作られた西目屋工場では、工場見学はもちろん、実際にコイル状のブナ材を使用した製品作り体験ができます。
原料となるブナ材
湯のみ茶碗を使って、押し出して形を作っていきます。
BUNACO製品のショールーム。おしゃれです。
西目屋工場には、アウトレットショップもあり、お得に購入することができます。
 筆者が買ったこぎん刺しの栞と「paume]という製品です。メガネ置きやペントレイとして使用しています。

【Day2 ⑦ 夕食〜西目屋村郷土料理】

2日目の夕食は、本ツアーのために特別に開発された「熊料理メニューと西目屋の郷土料理を楽しみました。

熊焼き肉。
濃厚な脂味が癖になります。
白神のブナ林を源流として流れ出た水が流れ込む深浦・
鰺ヶ沢の沿岸で捕れた鱈料理
天然の山菜料理は、白神の自然の風味が凝縮されていて絶品

【Day3 ① 熊革キーホルダー作り体験】

 本ツアー最後の体験は、「熊革キーホルダー作り」を体験しました。
熊は捨てるところがないと言われ、血液や内蔵なども漢方薬として珍重されてきました。当然、熊革も貴重な素材として様々に利用され、西目屋村では、古くから利用されてきた伝統的素材です。熊の革はやわらかく、独特の風合いが特徴です。

【Day3 ② 昼食〜西目屋村山菜チラシ寿司】

地元の味覚がまさに満載の山菜寿司。
けの汁という津軽の郷土料理で、野菜、山菜、油揚げや凍み豆腐んばどを細かく刻んで味噌で煮込んだ料理。


【Day3 ③ マタギ講話】

目屋マタギの文化を伝えるガイド集団「白神マタギ舎」の小池さんから、白神山地の自然やマタギについてのお話をいただく。現在、伝統を受け継ぐ目屋のマタギは、一人しかいないそう。
熊の大好物のブナの実。芳醇な香ばしさ。

マタギの食文化に思いを馳せ、白神山地の豊かな山の恵みを体感することがでた3日間。マタギの生活や文化に思いを馳せ、白神の食の醍醐味を是非味わってみてはいかがでしょうか。


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