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【19】板橋散歩:中台地区の階段  2022.4.2

 板橋に、そこら中階段だらけの迷路のような場所があるという噂を以前から耳にしていて気になっていました。
 それで到頭一カ月半程前の4月2日に出かけてみたのでした。
 この日は天気が良く、暖かくて、桜も満開で丁度良いお散歩日和でした。
 その場所があるのは中台地区というところらしいというので、最寄駅の上板橋からとりあえず北に向かって歩き出したのです。
 けれども碌に下調べもせず、いけばわかるだろうで来てしまったので、特に案内もないとなると、どっちに行けばいいのか、自動車の通れる道に階段があるわけはないから、細い路地、細い路地と選んで入っていきました。
 なんとなく中台地区に入り、中台小学校に出会ったあたりから、なんとなくそれらしい感じがしてきました。 

ようやく中台地区に入ってきた
小学校にはやはり桜が似合いますね。

すると到頭階段に出会ったのです。

なんてかわいい階段なのでしょう!

 その階段を降りて少し行くとまた階段が有り、それを昇って少し行くとまた階段が有って、降りては昇り降りては昇りという感じで、沢山の階段が有りました。階段の段数は数十段はあって結構高く、一眼レフは重いし、息を切らせ汗だくになりながら歩き回りました。

 なんでこんなに階段があるんだろう?これはいったいどういうことなんだろう、と思いながら歩いていてわかってきたのは、どうも台地の下に窪地の領域が拡がっていて上と下の世界を繋ぐための梯子みたいな感じで階段が有るんだということでした。

窪地に降りると町並みが拡がっている
窪地の向こう側、対岸の階段を登る。
対岸の台地に登った所から窪地越しに来た方の台地を見る

 階段の上や下には小さな公園が多く作られていてちょっと休憩できるようになっていたり、庭で花を育てているおうちが多く、あそこでもここでも庭を箒で掃いてきれいにしている方がいて、この地区を大事にされている気持ちが伝わり床しい印象を受けました。

もう一度窪地に降りてみる
ノスタルジックな時計のある公園
犬を連れたおばあさんが桜を見上げていました。
花を育てているおうちが多かった

 

 家に帰ってからあそこの地形は一体どうなっていたんだろうと地形図を探して見ました。すると面白いサイトを発見してしまったのです。
 国土地理院のHPに「自分で作る色別標高図」というものがあって、標高を自由に指定して色分けしたカスタム地図を作ることができるのです。
 これは楽しいですね!
 早速つくってみたのが下の図です。上の地図で丸を付けたのが中台地区で高度差が15〜20mある結構深い細い谷が入り込んでいる様子がはっきりとわかりました。中、下と範囲を拡げた地図を作っていってわかってきたのは、ここは荒川によって浸食された地形なのだということでした。
 正確にいうと階段地帯は荒川に流れ込む前野川の谷が台地に入り込んだ部分にあり、谷川は暗渠にして宅地が作られ、台地と谷との崖に、上下の世界を連絡する多数の階段が作られたというわけだったのです。
 さらに調べると、利根川は今では銚子の方に河口がありますが、昔は荒川、江戸川、中川、隅田川などとも合流しつつ東京湾に流れ込んでいて、関東平野はほぼ荒川と利根川という二つの暴れ川の堆積物によってつくられたのだということがわかりました。
 下の図のように平地部と台地部はくっきりと分かれ、それが下町と山の手に対応しているのでした。
 あの山手線は最初から省エネのためにほとんど高低差が無いように建設されたのだそうで、そのために下町では高架、山の手では切り通しになっているのだそうです。
 だから下町ではホームまでは階段を登り、山手では階段を降りてホームに行くということになっているのです。

中台地区は前野川により浸食された谷の部分だった
大きく見ると、中台地区は荒川の河岸段丘に入り込んだ谷部分だった
もっと大きくすると、関東平野が荒川、利根川が
作った堆積地だということがよくわかりますね。

 というわけで最後まで読んでいただき有難うございます。
 それにしてもなんで階段が面白いのでしょうね。妙に惹かれてしまいます。


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