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名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 2023-24シーズン 振り返り

🔶成績

今シーズンはドルフィンズとして過去最高の成績を収め、新たな歴史を作る記念すべきシーズンになった。
レギュラーシーズンは41勝19敗で西地区優勝(琉球と同率で並び、直接対決の勝敗4-0で決着。クラブとして初の地区優勝)
CSでは過去全て敗退してきたQFを,三河との愛知ダービーに2連勝でSFに進出。
SFでは惜しくも広島に1-2で競り負けたが、素晴らしい戦いを繰り広げた。
そして何よりCSを全てホームコートで開催するという初めてで最高の経験をして、輝かしいシーズンを送ることができた。

🔶レギュラーシーズンの振り返り

ショーン・デニス体制になって過去2シーズンは、いいチームを作ったが、とにかく怪我人に苦しんできた。特にCSでは怪我人が出て戦力ダウンをして、本来の力を見せることなく敗退する結果に終わる。
集大成として日本人選手が皆残留して、デニス体制の3年目に結果を出すと、皆が決意を表明していたが、開幕直前にエサトンが怪我で離脱。ここからが苦難の始まりだった。
新規獲得のフランクスとソアレス、そこに緊急補強したスミスという外国籍の陣容。新規選手3人という予定外のメンバーで戦うことになった序盤戦。日本人選手が継続していることで、ある程度のチームの安定感があり、下位チーム相手には勝てていたが、特に強豪チームと対戦すると不安定さが顔を覗かせていた。それはスミスというスペシャルな選手が加わった副作用でもあったのかもしれない。嘘のような大敗をしたり、連係ミスが続出したり、とてもいいチーム状態とは言えなかった。
時間とともにチームは良くなる。そう思って観戦を続けるが、浮き沈みが激しく、不安定な状態から脱することができない。
最高のバスケを見せた次の日に、全くいいところのないバスケをする。
それは予想外な事にエサトンが復帰してからも続いた。ソアレスがヘルニアの手術で離脱し、新たな陣容で戦うが、連勝と連敗が交互にやってくる。
それでもコーチや選手達から危機感が言葉になり、怪我対策で昨年までより抑えていたらしい練習強度を、再度戻してハードに鍛えていった事で、徐々に連携は良くなっていった。
これは光が見えてきたかと思っていたが、今度はエースのフランクスが試合中の怪我で離脱。またチームの練度が落ちる結果となった。
少ししてリハビリを終えたソアレスと、同じく大怪我から長期リハビリ中の張本が復帰。ここからはまたチームを仕上げていくだけ。そう思っていたが、やはりジェットコースターのような高低差を見せる不安定さは拭えなかった。

終盤に入り西地区の優勝チームはまだ決まらず、CS出場権も数多くのチームがワイルドカード争いを繰り広げる状況。連勝がほしいFE名古屋との名古屋ダービーのGAME2であっけない負け方をし、次のアウェイ大阪戦で嘘のような大敗。西地区2位にいながらまさかの姿に、3位島根、4位広島の影が気になるようになる。優勝を信じることは出来なくなった。

残り6試合。首位琉球とは4ゲーム差。
ここで3位島根との直接対決。何とか1勝はしてほしい。そんな思いで迎えたGAME1は前半こそ拮抗していたものの、後半は名古屋ペースで試合が進み、圧勝と言っていい勝ち方をする。いい時のチームが出てきた。1勝できて良かった。
そう思って少し気楽に見ることができたGAME2は、予想外の試合展開になる。序盤から主導権を握り、完全に試合を優位に進めていた。それは試合の最後まで続き、まさかの完勝。この時点で琉球とはゲーム差3。

次は琉球との直接対決。信じられないものの、連勝すれば地区優勝の可能性が出てきた。逆に負ければ琉球の地区優勝が決まる。
なんだがフワフワした気持ちで、期待と不安が交互に押し寄せる。
まずGAME1は、評価がしづらい試合内容だった。名古屋が主導権を握っている時間帯が長くて、優位に試合を進めていたが、4Qにミスが多発して点差を詰められたという試合。いいところを見ていると、島根戦の余韻があるように見えるが、やはり終盤にミスが多くて少し信じきれない自分がいた。それでも勝った事でまだ地区優勝の可能性を残した。
これで今シーズンの対琉球戦は3連勝。そしてついにゲーム差が2になった。
そしてGAME2は、やはり名古屋がリードする展開。琉球にプレッシャーがかかっているのが目に見える。3Qに猛烈な追い上げを受けたが、最後は振り切って見事な勝利。
対琉球4連勝。ゲーム差1で最終節。
琉球は終盤にディフェンスを仕上げてきた広島に1敗した。これで名古屋は佐賀に連勝すれば、大逆転優勝という状況に。
佐賀はCSはすでに可能性がなかったが、佐賀アリーナで見事な戦いを見せた。苦しみ抜いた名古屋は接戦の末、なんとか両日勝利を勝ち取った。

🔸まとめ

最後の6試合に何が起きていたのか。島根戦から何故あんなにチームが仕上がっていったのか。見ているだけでは分からなかった。
たまたま勝ったわけではなく、勝ったから勢い付いたわけでもなく、島根に対して正面から圧倒する力強さがあった。琉球にも全く負けていなかった。初優勝のプレッシャーの中で佐賀の挑戦を退けた。
大逆転優勝を成し遂げた最後の6試合、特に島根戦前後に何が起きていたのかは、今シーズンの最大のポイントだと思う。
しかしそれは選手やコーチたちにのみ共有される物で、おそらく我々ファンに真実めいた答えが提示されることはなく、永遠の謎として記憶の片隅にずっと居座り続ける事になるのだろう。
でもそれは推しチームを1年間追いかけ続けた者にしか感じる事ができない贅沢な楽しみでありご褒美なのだと思う。

だからこそ、広島ドラゴンフライズのファンが、シーズン終盤からどれだけの興奮と感動と熱気の中にいたのかが想像できる気がする。中村の成長をずっと見ていたファンは夢心地だったろうし、あのノコノコ旋風と盛り上がりも納得できる。決してCSで予想外に勝ち進んだ事で、にわかに盛り上がった訳ではないはず。
名古屋や広島がシーズンを通して見せた、苦悩と変化と成長は、たまに試合を眺めるだけでは中々気づかない類のもので、地道に追いかけ続けていないと見えてこない。
とりわけ会場でずっと応援し続けて、それを体感してしまった者には、否応なく底なし沼が待ち受けている。
2023-24シーズン。たぶん広島と名古屋にとって、そんなバスケファンが急増したシーズンになった。

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