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日本生命 Bリーグチャンピオンシップ2023-24 | SF・GAME3 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ VS 広島ドラゴンフライズ


5/20 ドルフィンズアリーナ


🔸注目ポイント

GAME1の悪夢を振り払いタイに戻した名古屋。これで決着はGAME3に持ち越されたが、なんと3連戦という過酷なスケジュール。
さあ今シーズン最大のビッグゲームがやってきた。勝つか負けるか。すでにチームとしての記録を打ち立てたのは名古屋も広島も同じ。そして、初のファイナルを目指す両チーム。
西地区ライバル対決が熱い。

🔸試合結果

  名古屋  広島
         73       79
  1Q  13       23
  2Q  22       15
  3Q  25       21
  4Q  13       20

・2戦までとは違った立ち上がりで広島に先制を許して追いかける展開。
2Q以降きっちりと追撃して逆転に成功。しかし、齋藤のアクシデントもあり、最後は力尽きた。

🔸スタッツ

・2ptシュート
名古屋 14/24   58.3%
広島  15/28   53.6%

・3ptシュート
名古屋 13/39   33.3%
広島  13/32   40.6%

・フリースロー
名古屋 6/12    50%
広島  10/15  66.7%

・リバウンド
名古屋 OR 12 ( 32.4% )  DR 24 ( 75% )
広島  OR  8  ( 25% )    DR 25 ( 67.6% )    

・アシスト
名古屋 18
広島  24

・ターンオーバー
名古屋 11
広島   9

・2ptが高確率で決まったが、3ptの確率が痛かった。広島が40.6%に対して名古屋33.3%では少し厳しい。あと2本決まれば同点。
そしてフリースローも地味に響いた。本来ならあと2~3本決められる。
リバウンドは名古屋優勢だが、良かったのはディフェンスリバウンドで、オフェンスリバウンドはあと一歩。スミスの出場時間など影響があったか。
アシスト数で負けているのは広島のオフェンスの良さの表れか。
ターンオーバーも広島が優勢だが、11というのは名古屋にとっては十分いいい数字。
3ptとフリースローの確率が上がらなかった事と、3ptを多投しているのにオフェンスリバウンド獲得率が上がっていない事が重要に見える。

🔸Q毎に分解

〇 1Q 13-23

・2ptシュート
名古屋 2/6  33.3%
広島  3/7  42.9%

・3ptシュート
名古屋 3/11  27.3%
広島  5/11  45.5%

・リバウンド
名古屋 OR 3 ( 27.3% )  DR 5 ( 50% )
広島  OR 5  ( 50% )   DR 8 ( 72.7% )

・シュート確率が悪い。とにかく悪い。そして、リバウンドを広島に制圧された。やはりリバウンドが一番の誤算か。

〇 2Q 22-15

・2ptシュート
名古屋 6/7   85.7%
広島  5/7   71.4%

・3ptシュート
名古屋 2/6   33.3%
広島  1/8   12.5%

・フリースロー
名古屋 4/8   50%
広島  2/2   100%

・リバウンド
名古屋 OR  3 ( 42.9% )  DR 6 ( 75% )
広島  OR  2 ( 25 %  )  DR 4 ( 57.1% )

・2ptが一転高確率で広島を上回った。3ptは広島が低確率で助かった。
フリースローをもう少し決めて点差を詰めるチャンスがあっただけに惜しい。
リバウンドは改善。これだけ取れば試合を優位に進められる。

〇 3Q 25-21

・2ptシュート
名古屋 3/6   50%
広島  3/7   42.9%

・3ptシュート
名古屋 6/12   50%
広島  4/7    57.1%

・フリースロー
名古屋 1/2   50%
広島  3/6   50%

・リバウンド
名古屋 OR  2 ( 22.2% )  DR 8 ( 100% )
広島  OR  0 (  0%  )   DR  7 ( 77.8% )

・アシスト
名古屋 7
広島  5

・ターンオーバー
名古屋 1
広島  2

・徐々に確率が上がっていた3ptがついに当たって50%決めたのが大きい。2pは普通。広島は3ptの試投数が少ないが57.1%とさらに高確率で迎撃。お互いにリバウンドはディフェンスリバウンドを頑張った。名古屋は特に100%と全てを取り切った。
アシスト、ターンオーバーもこの試合初めて名古屋が優勢に。逆転したので素晴らしいが、広島の3ptをもう1本落とさせたかった。

〇 4Q 13-21

・2ptシュート
名古屋 3/5   60%
広島  4/7   57.1%

・3ptシュート
名古屋 2/10   20%
広島  3/6    50%

・フリースロー
名古屋 1/2   50%
広島  3/4   75%

・リバウンド
名古屋 OR 4 ( 40% )  DR 5 ( 83.3% )
広島  OR 1 ( 16.7% ) DR 6 ( 60% )

・ターンオーバー
名古屋 3
広島  2

・スタッツ上では結果的に3ptの確率が全て。
リバウンドは名古屋が圧倒しているし、ターンオーバーも悪くない。
全てを託した3ptシュートが入らなかった。
広島はリバウンド以外は素晴らしかった。

🔸試合展開

〇 1Q

・広島が仕掛けてきた。先発をメイヨ→ブラックシアーに変更。しかし先制は名古屋。須田、齋藤のスリーでリードを作る。
すぐに手を打つミリングHC。マーフィ→河田で3ビッグに。ソアレス、レイ・パークス、須田と3連続でスリーが外れて、エバンスが1本決めることで名古屋への流れを止められた。

・山崎が鼻を負傷してベンチへ。試合を追うごとによりフィジカルになっている。気合が入ったディフェンスを攻略するのはまずどちらになるか。

・メンバーチェンジがお互い早い。当たり前だが、さすがGAME3になると出し惜しみしない。さらに相手の交代選手を見て急いで選手を呼ぶミリングHCの姿が映ったのを見ると、スミス-河田、メイヨの組み合わせは今日の試合もポイントの一つになりそう。

・5分経過して8-5で名古屋リード。ここまではスミスのパワーのアドバンテージが、ディフェンスでのスピードのディスアドバンテージを上回っている。

・残り時間4分から、広島の怒涛の攻撃で空気を一変させたのはメイヨ。ここまで不調で本来の仕事を出来ていなかったが、ここで爆発。本来の得点能力を見せ始めた。

・河田不在でスミスのオフェンスリバウンドを狙う名古屋だが、広島は2人でスミスを挟んでファウルと紙一重の抑え方で封じてきた。スミスが一瞬審判にファウルをアピールすることで置き去りになり、4-5を作られてスリーを決められる嫌な流れ。

・伊藤はアウトサイドシュートが苦手な事が唯一の欠点。それ以外はトップレベルのガードだが、広島相手には相性が悪い。名古屋と同じくスイッチを多用し、ローテションがうまい広島にとって、伊藤をノースリーで守れることは非常に大きい。マークのズレが伊藤以外のところで起きない。そしてドライブにも対応できる。名古屋のオフェンスが齋藤なしでは機能しなくなってきた。

13-23

〇 2Q

・名古屋の最初の得点は須田のスリー。シュートを打つまでにオフボールも含めて、4人が絶えずスクリーンをかけてマークのズレを作りながら、連動しながらボールが動くという美しいオフェンスだった。

・広島はエバンスをコートに戻してボールの動きが良くなったが、シュートが入らない。その間に名古屋はスミスのインサイドで得点を積み重ねて徐々に追い上げてきた。

・そして須田がまたもスリーを決めてついに2点差。オフィシャルタイムアウトで完全に試合を振り出しに戻した。このQここまで14-6のスコアで名古屋が圧倒。直後のエサトンのレイアップでついに同点。

・ここで広島を救ったのはやはりメイヨ。スリーを決めて広島の膠着したオフェンスの空気を変えた。

・少しずつペースが上がってくる中で、スミスが攻守の切り替えに遅れだした。広島はエバンスとメイヨがスミスに対してスピードのミスマッチを狙ってくる。また広島が勢いを取り戻した。

・最後の2分間はエサトンと張本のゴール下でオンザコート1を選択。スピードで対抗するが、アドバンテージは奪えず。しかしチームファウルがたまっている広島のファウルを随所でもらうことに成功して、じりじりと点差を詰めた。

35-38

〇 3Q

・名古屋は齋藤が攻撃の起点。広島はエバンスが攻撃の起点。互いに譲らぬ攻防が続くが、レイパークスが山崎からスティールを奪って速攻を決めて逆転した場面では名古屋の空気になった。しかし直後に山崎がスリーを決めてミスを取り返したのさすが。

・エサトンが気合がが入っているからこそのプレイだろうが、肘が相手の顔付近に当たりオフェンスファウル。それもアンスポ。試合の流れを左右するので仕方ないが気を付けたい。

・名古屋がスミスを入れたのを見て、すぐに河田を下げようとする広島。デニスとミリングの駆け引きがますます激しくなる。ベンチも熱い。

・残り時間6分31秒。ここで事件発生。中村の前後左右へ揺さぶりながらのドライブに、付いていった齋藤が左足を捻る。顔を手で覆って起き上がれない齋藤。会場の空気が凍り付く。齋藤はこれでゲームに戻ることはできなかった。絶対的な司令塔を失った名古屋は窮地に陥った。
代わって入るのは中東。須田と中東が笑顔で会話を交わす。このピンチを乗り切ろうというキャプテンと副キャプテンの表情が何とも言えない。

・おそらくエサトンが3ファウルで少し休ませたいのと、スミスを長時間使うと徐々に攻略されるので、ソアレスのオンザコートワンを選択。日本人は高さを揃えたいのでPGは中東という事だろう。特にディフェンスで高さのない伊藤を使えなかった。
さらに広島が河田を入れようと準備をすると名古屋はスミスを準備。ベンチ同士のにらみ合いが続く。ここまで見ていて分かる選手起用の駆け引きの動きは面白い。両HCが苦笑いしているように見える。結局交代せず。

・エバンスが存在感を見せてリードを広げる。6点差で残り5分。名古屋は張本が意地を見せて粘っている。しかし張本のシュートが落ちて苦しい。
残り4分20秒で張本→エサトン。

・ハンドラー中東を起点にレイパークスのウイングからのドライブを強調する名古屋。両チームファウルが5つでフリースローも重要になっている。広島はエバンス。エサトンとのスピードのミスマッチをついてドライブが決まる。ここで8点差。

・ここで働いたのがレイパークス。マークが緩いところをスリーを2本連続で決めて一気に2点差。広島タイムアウト。嫌な空気を完全に払しょくした。直後の広島はメイヨのスリーが決まるが、名古屋は再度レイパークスの3連続となるスリーで追撃。

・会場のボルテージは上昇する一方。広島にフリースローで加点されるが、名古屋は須田のスリーでついに同点に追いついた。
そして次のポゼッションでエサトンからのキックアウトを得意の右45度で受けた中東のスリーで逆転。吠える中東。

・終盤にブラックシアーが4つめのファウル。4Qに向けて大きなファウルとなった。しかし名古屋はソアレスが2本タッチの悪いシュートを外してリードを広げるチャンスを逃した。

・齋藤が負傷離脱してからは、ほぼ中東・須田・レイパークス・ソアレス・エサトンが出続けた。

60-59

〇 4Q

・名古屋は引き続きの5人からスタート。齋藤がいない状況でこの5人がベストの布陣と考えて5人に託したと思われる。完全にプレイオフモードの選手起用。QFは余裕があったのと、先を見据えてのタイムシェアだっただろう。

・広島、山崎のスリーがまだまだ入り続ける。いったいいつまで続くのか。

・中東がハンドラーとして何とかプレイメイクして食らいついている。しかしフリーになっているレイパークスに気づかず須田がタフショットを打つなど、徐々にオフエンスの展開が乏しくなってきている。

・苦しい中でエサトンが個人で打開。何とか付いていく名古屋。まだ2点差。しかしディフェンスでのコミュニケーションミスが出て6点差まで開いて名古屋タイムアウト。

・まだ希望は潰えていない。中東の得意の右45度のスリーが決まって3点差。そしてブラックシアーが5つめのファウルで退場。まだ勝負は分からない。ここからしばらくお互いにスティールが出るが得点を許さない展開が続く。そのまま3点差のままオフィシャルタイムアウト。

・広島のディフェンスが固くて苦しんでいるが、名古屋のパスがきれいに回って、シュートタッチが微妙だったソアレスのスリーが決まり同点。
これで名古屋の流れかと思いきや山崎がディープスリーで再度突き放す。ノコノコ旋風は止む気配がない。

・ここで選んだのは須田のスリー。エバンスのマークを受けて厳しいシュートになった。ここもスローで見ると、ペイント内でソアレスがメイヨからポジションを完全に取っている。クラッチの須田のスリーに託したのはチームとして当然かもしれないが、正しいシュートセレクションではなかった。

・広島のシュートが落ちて、次の名古屋のオフェンス。須田とエサトンのハンドオフから須田がエバンスのマークを受ける先ほどと似たシーン。今度は須田がダイブするエサトンにパスを入れていいオフェンスになった。しかし中村がファウルで止めて、フリースローが1本外れる。71-73で残り3分。

・中東がドライブでペイント深くに侵入して、ソアレスに絶妙のパスを入れるが、ソアレス得意のショートコーナーのジャンパーが外れる。
ここで広島はエバンスが、ドリブルからステップバックのスリーを決める。残り2分で大きすぎる一撃。

・須田のスリーが入らず、とどめを刺しに来たエバンスのドライブをからのレイアップをソアレスがブロックショット。まだ望みを繋いでいる。
しかしソアレスのスクリーンの意思と須田の意思疎通がうまくいかずマークがズレない。中東のプルアップのスリーが外れてリバウンドも取れず。

・最後は力尽きた名古屋。エバンスがソアレスに1オン1を仕掛けて、不運なファウルでソアレスが5ファウル退場。
山崎がショートコーナーのフローターを決めて7点差。試合を決めるシュートになった。

・両チームほぼ5人でやり切った4Q。これもまた両HCの選手起用の戦いが垣間見えて面白い。ミリングはシーズン中ほとんど見ていないので分からないが、デニスは明らかにシーズン中と違いプレイオフモードの采配だった。過去2シーズン怪我人に泣いて腕を存分に振るえなかったから、死闘を戦うデニスが見られて嬉しい。
しかし齋藤の怪我は、とにかく残念で仕方がない。本来は最後の5人には齋藤がいるはずだった。そういう意味ではまだ不完全燃焼での終戦とも言える。

73-79


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