社会にスポイルされないで-新社会人に伝えたいこと
今年も4月1日がやってきて、一週間が過ぎた。
多くの企業が入社式を実施し、新社会人の皆さんが新たなステージに足を踏み入れることになるメモリアルな1週間。
私は毎年この時期になると新社会人の皆さんに対して思うことがある。
大卒の新社会人は毎年約40万人。
この一週間、電車の中や駅のホームなど、真新しいスーツを着て数名の集団(新卒さんはなぜか集団で通勤する説!)で通勤している人が街中に溢れる。
その姿は、風景画の上から蛍光色の絵の具をべチャっとしたくらい、周りの人達からビビッドに浮いている。
表情からは緊張・ワクワク感・不安など様々な心情を内包していることが分かり、同じ電車に乗っている既存社会人の何とも気怠く生気を失った表情とのコントラストと言ったら、、、何とも、、、ねえ。
そんな新社会人の皆さんも、毎年ゴールデンウィークが終わり、梅雨が明けたくらいの時期になると、街の風景に溶け出してしまいどこにいるか分からなくなる。
あれだけビビッドに境界が分かれていた蛍光絵の具たちが、時間が経過すると共に滲んでしまい、周りの社会人との大差がなくなるのだ。
通勤電車の中でも、朝っぱらから気怠そうにスマホを眺めているか眠っているか、多くの既存社会人と同じ感じになる。
社会に順応すると言えば聞こえがいいが、表現としては「社会にスポイルされる」の方が近しいように思う。
日本においてワークエンゲージメントが高い人は5%と言われており、先進国の中でも最低ランクに属する。
ワークエンゲージメントとは、仕事から活力を得て、誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組んでいる状態を指す。
ワークエンゲージメントが高い人は..
・朝に目が覚めると、さあ仕事に行こうという気持ちになる。
・仕事に熱心である。
・仕事をしていると活力がみなぎるように感じる。
・仕事に没頭している時、幸せだと感じる。
・自分の仕事に誇りを感じている。
皆さんの会社の社員に置き換えて考えてみて欲しい。
上記を満たしていそうな社員の割合ってどのくらいですか?
統計通り、ごくわずかであるはずなのだ。
よって、毎年40万人もの若竹のような新社会人が世に放たれても、ものの数ヶ月で大勢に飲み込まれていくのだ。
これって、かなり怖いことではないか?
もちろん365日全てではないが、私は少なくとも朝目が覚めると「さて、今日も一丁やったるか!」と思っているし、
仕事に対する活力・没頭・熱意を持ち合わせることができている。
とても幸せなことなのだろう。
社会人は人生の大半の時間を労働に投入する。
どうせなら、やりがいを感じながら・楽しく働きたくない?
では、どんな会社であればやりがいを感じながら・楽しく働くことができるのか?
ワークエンゲージメントを高めるための要素については様々な文献で明らかにされているが、今回はリクルート社の創業メンバーでもある大沢武志氏の名著「心理学的経営」の中で述べられている若者をモティベートする3つの心理的条件を参考にして記載してみる。
自己有能性
仕事を通じて、自分の効力感を体験できること。
自分の力を最大限発揮した上で仕事を成し遂げることで、人は成長欲求を満たすことができる。
この裏には挫折感・自信の喪失という感情があるが、様々な葛藤を乗り越えて自己効力感を体験できるところに、心理的に深い次元での動機づけのメカニズムが成立している。
自己決定性
これは職務設計の次元で言えば、自律性に該当する。
自分の仕事について、自分で考え・自分で計画し・自分でチェックする。
ポイントは、自己責任性を伴うこと。
ジョブクラフティングとか、エンパワーメントとかの概念と近しい。
社会的承認性
職場の仲間や上司との人間関係は重要な動機づけ要因である。
自分が努力して・困難を乗り越え・成果を出したことについて周囲に理解され、認められて、社会的承認を実感できることによって、心理的な充足と情緒的な安定が得られる。この要素は特に日本の企業社会において重要である。有名なマズローの欲求5段階の上から二段目「承認の欲求」と同じである。
参考:心理学的経営-個をあるがままに生かす- 大沢武志
https://www.amazon.co.jp/心理学的経営-個をあるがままに生かす-大沢-武志/dp/B07S28Y8S6
少なくとも、人事としては若者にこの3つの環境を用意できているか?を考えること。若手社員に直接ヒアリングしてみること。
足りていなければ、課題を抽出し、具体的な仕組み・制度・施策として経営陣に提案し会社の組織風土を変えることを検討してみてはどうだろうか?
全ての新社会人の皆さんへ。
社会にスポイルされることなく、ビビッドな蛍光絵の具でずっと居続けようね。
おじさんも頑張ります!
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