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[京都旅行] 青紅葉の宇治巡り

夏が終わった。
職域でワクチン接種も2回済ませたが、どこに行くわけでもなく、今年の夏休みは家で読書と映画鑑賞とゲームに勤しんだ。

思えば昨年の今頃は仕事のプロジェクトの追い込み時期で8月に夏休みなんて取れず、仕様書と睨めっこをしていた。オリンピック・パラリンピックの開催が昨年だったら、開会式や閉会式も見ていなかっただろう。

昨年の夏休みは9月10月に分散して取得した。
10月に取った休みを使って行ったのが、noteを始めるきっかけとなった立山・黒部旅行だったわけだが、9月に取った休みで弾丸一人旅に行った。
今年の夏休み分も先取りで旅行していたのだろうと考え、振り返ってみる。

旅行日:2020/9/14(月)

夏休みは突然に

そもそも9月末日にリリースし、10月末日に追加リリースというプロジェクト。夏休みなんて11月にゆっくり取れればいいや思っていたが、8月も後半に差し掛かったある日、夏休みの半分くらいは9月までに(極力8月にも)取得してくれないかと要請が入った。
主要メンバー間でスケジュールと睨めっこの結果、8月末に1日、9月に2日、10月に2連休で取得することとなった。ただし9月の2日については不測の事態に備えて、直前まで仮予定。

9月2週目の金曜日、特に何事もなく無事に業務を終え、翌月曜日の休暇がようやく確定した。降って湧いて出てきた夏休みである。だからといって何もせず家にいるのも勿体ない。日曜日には予定が既に入っていたので、そのまま直行で旅行に行こう、という結論に達した。勿論、一人旅である。

行き先は交通の弁の良いところが良いと、京都に絞り込む。直前まで源氏物語(英国人ウェイリーが英訳したものを日本語訳した、少し前に話題になっていた本である。あまりの分厚さに購入を諦め、図書館で借りていた)を読んでいたので、一番記憶に新しい宇治十帖の舞台、宇治に行くことに決めた。

日曜の用事の後夕飯をとり、22時ごろに京都入りし、駅前のホテルに泊まった。

宇治の一日、始まりは平等院から

宇治のスタバがお洒落らしい。
GoToトラベル全盛期だったが、直前予約の格安素泊まりプランで宿泊したので、朝8時の開店直後を狙って京都から宇治へ移動し、宇治のスタバで朝食後そのまま8時半開園の平等院に行こうと考えた。

7時半ごろにホテルを出て移動するつもりだったのだが、目を覚ましたのが7時半。お洒落なスタバで優雅に朝ごはんを食べている予定だった時間は、電車での移動時間となった。

8時半、平等院が開園する頃、JR宇治駅到着。
参道に向かう為にまず宇治橋へ。

お初にお目にかかる、清々しい宇治川の眺め。
あぁ、夏休みだ・・・と1人心の中で浮かれ気分。
紫式部像にご挨拶したら、いざ平等院へ。

平等院鳳凰堂。
いわずとしれた10円玉である。
開門してまだ20分。人もまばらで正面からも写真撮り放題だが、鳳凰堂内部拝観の受付をすませ、指定の時間までしばし藤棚の木陰で待機。

ここから先は撮影禁止。

鳳凰堂内部は足場が組まれており、職人さんが作業真っ最中のすぐ横を通って見学。20名程度の入替制で、国宝の阿弥陀如来坐像や壁の雲中供養菩薩像を間近に見ることができるだけでなく、ガイドさんの説明も聞きやすい。

内部拝観を終えると、多少人が増えていた。グループ行動の修学旅行もいる。
ぐるりと阿字池を回って、ミュージアムへ。

中の展示だけでなく、建物自体も素敵な空間。

中学の修学旅行で来た時、ここで鳳凰の3Dクリスタルキーホルダー買ったなぁ、と思いながらお土産売り場を見たが売っていなかった。

裏から見る鳳凰堂も格好良い。
そういえば一万円札の裏も、鳳凰だ。

1時間ほど歩き続けていたので、再び藤棚の下でしばし休憩。この日はまだ暑かった。

立派な藤棚。春の景色も見てみたい。

平等院を後にすると、朝ごはんを食べる予定地であったスタバを発見。今更いいや、と思ってそのままスルー。

宇治神社と宇治上神社

宇治川沿いに、あじろぎの道を進む。
塔の島、橘島、そして宇治川を渡る。 

朝霧橋を渡ると、目の前に宇治神社の参道が続く。
宇治上神社と対をなす、創建年代不詳の古い神社。

境内は参道、拝殿、ご本殿と少しずつ登っていく形だ。
神使は兎で、その手水舎もまさかの兎の口である。

ちょうど境内でお宮参り中の家族がいたので、邪魔にならないようささっとお参りし、さわらびの道から宇治上神社へ。

世界遺産の宇治上神社。
鳥居からの参道は青紅葉の爽やかな色に包まれていた。紅葉の時期もきっと素晴らしいだろう。

ご本殿は平安の後期から残る現存最古の神社建築との事。
源氏物語の世界が、遠いお話の中ではなく目の前に続いている。

御祭神は兎道稚郎子命。
兎道と書いて「うじ」と読むらしい。
仁徳天皇と異母兄弟で皇位を譲るべく自殺したとか夭折とか諸説ある記紀の時代の人物。学問の神様として信仰され、八の宮のモデルとも言われているとか。

さて、8時半過ぎに宇治に着いてから歩き続けて時刻は11時前。流石に朝ごはん抜きでお腹も空いたし、ひと休みすることにした。

近くにある福寿園宇治茶工房に行こうとしたのだが、近づいても開いている気配がない・・・。コロナ禍ということもあり、開店状況は読めないところがある。
仕方ないので、宇治川を渡り、再びあじろぎの道へ。こちら側の福寿園宇治喫茶館はオープンしていたので中に入る。

抹茶アイスと葛餅とアイス抹茶のセット。

宇治公園

11時半過ぎ、元気を取り戻し、3度目の宇治川を渡る。
塔の島・橘島は宇治公園として整備されており、四つの橋で回遊できる。塔の島には日本最大の15メートルの石塔がそびえ立っている。

島の中には鵜の飼育小屋があり、間近で海鵜を見ることができる。海鵜は警戒心が強く、飼育下で産卵・孵化するのは珍しいとのこと。ウッティーと名付けられた彼らは宇治の夏の風物詩として活躍中のようだ。

興聖寺

再び宇治川を渡った後は、少し川上へ進む。
日本最初の曹洞宗の寺院、興聖寺へ。
比叡山延暦寺の弾圧を受けて荒廃し、江戸時代に今の地に再興されたとのこと。

参道は緩やかな上り坂。琴坂と呼ばれ、桜と紅葉の名所との事。さもありなんという青紅葉だった。

竜宮造りの山門に、鶯張りの廊下と血天井の残る法堂、枯山水の庭園と、見どころ満載の趣のある境内は凛とした空気に包まれていた。


興聖寺を出て川上へずっと行くと天ヶ瀬ダム、そして瀬田川へと続き琵琶湖へ続いている。瀬田川のふもと、滋賀の石山寺は紫式部が源氏物語を起筆したと言われている場所。
地図を見れば、宇治から北上すると小野を経由して比叡山。あぁなるほど、宇治十帖の舞台の立地がようやく理解できた。

源氏物語ミュージアム、通円茶屋

さて、宇治行きを決めたのが源氏物語を読んだからという理由ならば行かねばならないのがここ、源氏物語ミュージアム。
再びさわらびの道を進むことしばし。

知ってます?休館日は月曜日なんですよ。
いや、休館日と知っててここまで来てわけなんですが。

いつか行きたいと思ってはや数年、未だ訪問ならず。

てくてくと宇治橋の東詰へ。時間は12時45分。小腹も空いたので、平安末期創業の通円茶屋へ。

足利義政、豊臣秀吉、徳川家康もお茶したお店で、お抹茶とお団子をいただく。

お団子頼んだ後に、メニューに茶蕎麦とかもあったことに気づいたがもう遅い。

食べ終わった後は、すぐ近くの放生院へ。宇治橋の管理のために創建されたとされ、通称橋寺。塔の島に立つ浮島十三重石塔も、このお寺のものらしい。境内にはマニ車もあった。

宇治橋を渡り、橋姫神社にもお参りした後は、JR宇治駅へ。13時半、宇治を後にする。

寄り道の東福寺

宇治でもう少し観光しようかとも迷ったが、東福寺の青紅葉を見に行くことに。10年くらい前の秋の終わりかけの季節に、一度紅葉を見に来たことがあった。その時は凄い人出で紅葉も本当に見事だったが、お寺にお参りした記憶が全くなかったので、人の少ない季節にゆっくりお参りしようと思ったのだ。

JR奈良線で東福寺駅まで向かう途中、GoogleMapで近づいては遠ざかる三室戸寺や万福寺や伏見稲荷を見送りながら、弾丸夏休みの時間の短さを儚む。

東福寺駅からは朧げな記憶を頼りに道を進んでいく。

曇り空が少し恨めしい。
しかし人通りも少なく、臥雲橋からの眺めも人がいない。期待に心膨らませて向かうと。

無人の通天橋、見渡す限りの緑。
静寂の中で心ゆくまで青紅葉を堪能できた。

通天橋・開山堂と本坊庭園(方丈)はそれぞれ拝観料がかかる。今回は共通拝観券を購入した。前回は通天今日・開山堂しか見ていなかったのから紅葉以外の記憶が無いのか、とようやく思い至る。

方丈の周りの庭園はどれも素晴らしく、腰を下ろしてしばしぼーっとしてみた。これができるのも人が少ない季節ならではだろう。

ちょうど本堂(仏殿兼法堂)、三門の特別公開をやっていたのでそれぞれ見学する。説明員さんにマンツーマンで丁寧に解説していただく贅沢。

前回は求めていたものが紅葉の景色だったから、お寺そのものにそこまで興味を持っていなかったのだろう。
このタイミングで再訪して本当に良かったと思った。

広い境内、ゆうに2時間は経過しており時刻は16時。もうタイムアップの時間も近いので、東福寺を後にし、京都駅へ向かった。

* * * * *

ホテルで荷物をピックアップし、伊勢丹でお弁当を買って新幹線で帰る。あっという間の夏休み弾丸旅行。京都府滞在時間は20時間。
弾丸だとどうしても詰め込みがちになってしまう。食事より観光を優先した結果、食べたものがほぼ緑色で笑ってしまった。

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