佐藤佑樹

某県在中。小説を書いたり、音楽を作ったり。ただいま詐欺師に騙されて係争準備中。

佐藤佑樹

某県在中。小説を書いたり、音楽を作ったり。ただいま詐欺師に騙されて係争準備中。

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  • 『その場所に彼はいた』

    オススメの音楽とお酒を、小説の体裁をとりながら紹介していきます。  夜の散歩は私たちを魅了する。深夜徘徊中の主人公は、変な場所で一人酒盛りをする怪しい男と出会う。その男のすすめる酒も音楽も、なんだか心に染み渡る。  人を殺したとうそぶくこの男は、一体何者なのか。男の物語を眺めながら、主人公は成長していく。  純文学畑が綴る連作ショートショート。全30話。  スマホでもご覧になり易いような表記にしております。ぜひに。

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その場所に彼はいた 第二夜

 やはり、彼はいた。  今日のような雨のじめじめと踊る夜なんかには、あの得体の知れぬ高等遊民が繰り出しているだろうとふと思った。サッシを開け放しでもしようものな…

佐藤佑樹
4年前

その場所に彼はいた 第一夜

 そろそろ日付も変わろうかという時刻、僕は寝つけなくって散歩に出た。ド田舎。レンタルショップすらない。明日も予定はなし。寝るには惜しい。  バイパスの側道を行く…

佐藤佑樹
4年前
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その場所に彼はいた 第二夜

 やはり、彼はいた。

 今日のような雨のじめじめと踊る夜なんかには、あの得体の知れぬ高等遊民が繰り出しているだろうとふと思った。サッシを開け放しでもしようものなら、蛙だとか夜烏だとかが、ゲロゲロバッバッと、まるでボーナスの入ったサラリーマンかのごとくに乱舞しているさまが、聞こえてくるのだ。
 良い夜に趣のある肴ですねえとでも呟きながら、またあの場所で飲んでいることだろう。
 美味しそうなつまみが

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その場所に彼はいた 第一夜

 そろそろ日付も変わろうかという時刻、僕は寝つけなくって散歩に出た。ド田舎。レンタルショップすらない。明日も予定はなし。寝るには惜しい。

 バイパスの側道を行く。綺麗に整備されてはいるが、悲しいかなここは地方のさらに片隅。ただでさえ往来もないのに、いまは真夜中。誰の姿も見えない。

 しばらくのらりくらりと歩いていると、微かに、音楽が聞こえてきた。
 こんな夜中に?
 こんな場所で?
 けれど気

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