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女子は活版をかわいいという。印刷男子は活版をゆるいという。
活版印刷機を眺めながら飲める立ち飲み屋に行ってみた。
大好きなバイスもある。素晴らしい。ピンク色と仁丹を連想させる酸味は、ケミカル梅の中でも唯一許せる味だ。しかもシャリキン(凍らせたキンミヤ焼酎)でいただくスタイル。まさにサマー下町感まんさい。バンザイ。
活版印刷機といえば、文字を組むのかと思いきや、そういうアイテムが見当たらない。どうやって印刷をするか聞いたら、デモンストレーションしてくれた。凹凸のあるデザインの素をセットして、手動でガチャコンとレバーを動かすと「はい、1枚アガリ」となる仕組みらしい。超アナログ。
でも活版屋のおにいちゃんA(元印刷屋)は「活版印刷のよさって、正直よくわからないんですよね」と言った。は? かわいいじゃん。え? それが全然わからないの?
「オフセット印刷のほうが、正直難しいし、きれいに仕上がるんですよ」
そりゃそうだろうよ。今、商業で使われているのですもの。
「活版で出る“かすれ”とかは、オフセットじゃありえないんですよ」
そうでしょうね。
「でもそれが受け入れられている。そのゆるさに魅力を感じます」
……んー? なんだろう。思ったより積極的動機じゃないところが、むしろおにいちゃんたちの魅力なんじゃなかろうか。女子にはわからないメンズ的活版の魅力はどんどん発信したほうがいい気がするよ。そこに共感できる男子が集まれば、新しい活版の価値がうまれるような。
でも、紙と特殊インクの話をしていたら……。
「え、紙とかみて楽しいですか? いや、僕らは仕事なんでとくには……」
えええー、紙楽しいよ~? そう? 特に楽しくない?
なんか、互いに言葉が通じない異文化人と話しているような感覚になっていったけど、とりあえずシャリキンのバイスがうまいから、どうでもよくなった。
最終的に、バイスは神。
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