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あと一歩の勇気を出すと世界が変わる


勇気を出した時


あと一歩の勇気って難しいな、と感じたのは、小学校4年生くらいだったかな。

私たち家族が住んでいた会社の社宅の隣に、国立大学芸術学部の寮があったのです。

そこでは、毎年学祭が寮の敷地内で行われていて、近所の人たちも模擬店などに
行けました。

両親と妹と一緒に行った時のことです。
そこにはステージがあって、いろんな学生バンドや、様々な面白いエンタメ?
を披露していました。

その中に「飛び入りのど自慢」があると知った父は、何を思ったのか、私と妹に一緒に出ろ、というのです。

私は完全に観客の立場で楽しんでいたのに、「はあ?わけがわからない」
という感じでした。

でも、父はそののど自慢出場希望の人を募っている間、ずっと「出ろ」と言い続けるのです。

「やだー、恥ずかしいし。何歌えばいいの?」

「なんでもいい!」

妹と顔を見合わせて、「歌えるのなんてない」というと、
「なんだ、つまらんのー。そのくらいできんと、将来も大したことはできんぞ」
っていうんです。

そんなことを言う父が、いやでした。
別に大したことできなくてもいい、とも思いました。

でも、馬鹿にしたように言われ、
それが、ちょっと悔しくて、また父に認めて欲しい気持ちがわりとあった私は、
父をがっかりさせたくなくて、「どうする?」

と妹に聞くと、妹は「どっちでもいい」という感じです。

「じゃあ、フィンガーファイブの個人授業歌おうか」

と当時流行っていて、テレビの前で2人で歌っていた歌を選んだのです。

ドキドキの瞬間

ドキドキしながらステージに上がり、学生のお兄さんたちに紹介され、名前や、何を歌うのか、などに答えていきます。
当時、目の前には100名以上の人がいたと思います。
心臓バクバクです。


そして、なんとか曲を歌い終わると、すごい拍手なんです!
だって、小学生なんて誰も出てないから、みんな小学生だから歌がうまかろうが、下手であろうが、関係なく飛び入り参加の私たちを応援してくれたんです。

拍手をたくさんもらって、参加賞でお菓子をもらって、「うまかったよー」
とお世辞を言ってもらって、ガラッと自分の気持ちが変わったのです。

勇気を出してみたら

「嫌だ」

って言っていたときには、全く想像もしなかった世界がありました。

一瞬で全く違う世界が見えました。


考え方もガラッと変わりました。
「意外とできる」
って思いました。


人前で何かをする、ということにそれ以降躊躇がなくなったのです。
だからこそ、今も講演なんてできるのかもしれません。

父は、小さいときだからこそ、その苦手なことを勇気を出してやってみることを
私たちに経験させたかったのでしょうね。
たぶん。

私の負けず嫌いな性格や、父を落胆させたくない気持ちをうまく刺激してくれたのでしょう。父はそこまで計算はしてなかったと思いますが。

強烈な思い出


あの時のことは鮮明に覚えています。

ステージに出るなんて、すごく嫌で嫌で仕方がなかったのに、
出るって決めて、ステージに立って、歌い終わって思いがけない拍手をもらったこと、その光景全てを覚えています。

自分の気持ちが、大きく一瞬で変わったことも覚えています。

なんでもやってみなければわからない。

やってみたら、案外うまくいくこともあるし、意外とみんな優しい、とも思いました。

強烈な印象として残っているのも、当然ですね。

あんなに大きなマイナスの気持ちが、一気にプラスの方向に針を振り切ったのですから・・・

あと一歩の勇気が出せるには


でも、このあと一歩の勇気が、普通はなかなか出ない。

だからこそ、その一歩を踏み出す背中を押すのが、親、先生、友人など、周りの人なんでしょうね。

その背中を押してあげると、絶対に新しい世界を見ることができるのですから、押したほうがいいと思います。

特に小さい時は、たとえ失敗しても、むしろその一歩を踏み出したことを褒めてもらえるのです。

大人になっても、この後一歩の勇気でチャンスを掴んだり、人と知り合ったりできたのですから、子供の頃の体験ってとても大事だな、と思うのです。

こんなに良い教育はないな、と改めて父に感謝しようと思いました。


上野 博美


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