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残された母のこと



8月に父が亡くなり、母は一人暮らしになった。
とは言っても、同じマンションに私の妹夫婦が住み、私も車で10分程度の場所に住んでいる。
私も妹もちょくちょく様子を見に行っている。

それでも、母が苦手なこと(事務的なこと)は代わりにやったり、確認しているし、母もそれを求めてくる。
娘としてそれは全く苦にはならないし、できることはやろうと思っている。

先日母が役所に行くと言うので一緒に付き添いで行くことにした。
ただ母が肝心な書類を忘れてしまい、その日は手続きができなかった。
母に、「言ってたのに」「聞いてくれたらよかったのに」とつい言ってしまい、最後には「ひとりで行けるよね」とまで言ってしまい、後で罪悪感を感じてしまった。
(私が忙しい時期だったと言うのは言い訳に過ぎないが)
母も80才を超えているのだから、これからは、「分かってないもの」と思ってこちらから確認をするようにしようと思った。

翌日母は一人で役所に行き、手続きを完了した、と電話で聞いた。
ちゃんと自分で書類の管理や、今後のこともしっかりと決めていた。

多分母なりに反省し、考えて行動したのだと思う。


さらに、「これからは何時に帰らないといけない、とか考えんでいいから自分の好きなようにしようと思う」と言う言葉が母の口から出てきた。

今まで、自分のことは後回しにしてきた母から、こんな言葉が出てくるなんて思ってもいなかった。

直前に、私が最近新しく始めたことや、やりたいことを次々に話したからかも知れない。おそらく、「刺激を受けた」のだ。

「年寄りを年寄り扱いせず、刺激を与え、甘やかしすぎず、
自分でできることは自分でしてもらう」と言うことが大事なのだろう。

私が話をすることで、母が自分の年齢を忘れ、その人生がある限り自分のやりたいことに夢中になってくれたらそれでいい。
ようやく手に入れた自由(父には申し訳ないが)を満喫してほしい。
そして、こちらが気にかけながらも自分でできることはやってもらう。
その方が逆にしっかりしてくるように感じた。

老いていく親に接するのは、子供として初めてのことなので、いろんなわからないことがあるだろうが、親に対する感謝の気持ちは日に日に強くなる。当たり前だと思っていたことが、親の大きな愛情ゆえのことだったんだ、と今更ながらに気づく。

人生、死ぬまで学びだ。


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