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誰にでも強みはある


長い間面接指導をしてきて、「誰でも強みがある」と、感じている。
10年以上前にある大学の就職セミナーで自己研究セミナーをしていた時のことだ。
紙に自分で思う自分の強みやセールスポイント、そして周りから褒められたことを書き出すワークをしてもらった。

学生の皆さんが書いている間、私は教室をぐるぐると回っていた。

うん、うん、いいね。

明るいとかももちろんいいですよ

などと声をかけながら。

そんな時ある男子学生が一つも書けていないのを見つけた。

「何か褒められたことでもいいですよ。ありませんか」

と小声で聞くと、「自分には長所なんてないっす」と答えた。
私は、そんなことはないと思っているので、「絶対ありますよ。誰でも少なくとも三つくらいは。
例えば、早起き得意とか、人の顔は絶対に忘れないとか、どこでも寝れる、食べ物の好き嫌いがない、皆勤賞をとったことがあるとか。ありませんか」

それを聞いた男子学生は「そんなことでいいんですか」と言った。
「十分ですよ。シフト勤務の仕事なら早起き得意な人は、苦にならないし、どこでも寝れるってことは、睡眠は取れてるから元気ですよね。」
と伝えると、この男子学生は何かを書き始めた。

「強み」「セールスポイント」と言うと、どうしても誰もが簡単にできないものを想像するが、そんな人は少数だろう。

私が、「誰にも強みがある」とふと思ったのは、ある女性のブログで「私は53歳。これからどう生きていこうか」ということを見た時だ。
知り合いでもある、バリバリと仕事をしているその人の年齢を改めて知った途端、「若い。53歳なんて全然若い」と呟いていた。

この若さが、強みだと。
若さが強み=残り時間がおそらく長い、ということだ。
死へのカウントダウンは、生まれた時から始まっているが、もちろん誰にも自分の死がいつなのかは知らない。
それでも、若ければ若いほど残り時間が多い「確率」は高い。

53歳は若いのか?
と思った人もいるだろうが、この女性は見た目にはもっと若く見えるし、自分で仕事をしているし、それだけのキャリアを積み重ねてきているから、53歳なんて十分に若い。
(少なくとも私よりも若い)
若さを決めるのはあとは、体力と気力、脳年齢だろう。
この女性は、何の問題もなく、若いのだ。

もう一つ、「人には強みがそれぞれある」と感じたのが、本を読んでいた時だ。
今読んでいる本が、すごく面白くて文庫本4冊のうち、一冊はKindle Unlimitedで無料で読み、続きが読みたくて購入した。
その本には地方での暮らしがすごくよく描かれていて、そこには農家や漁師、便利屋など、地方ならではの仕事をしている人たちが集まっている。
農家長男として生まれたことで、農家は嫌いだけど、自然と作物のことや染め物の染料のことが身についている人。
海のそばの田舎暮らしが長いから、海と魚のことは熟知していて、実際に取った魚を晩御飯にする人。
一切の農薬を使わず、有機農法でもない、自然農法で野菜を作るお年寄り。
全て経験から、または見よう見真似で身についた知識量に圧倒された。
そしてそれぞれのできることを、仕事に結びつけようとする新入りの若者の発想力を見て、「ああ、人には必ず強みがある。あとはそれをどうやって見つけ、自覚し、仕事に生かすか」だと思った。
他人が自分の強みを見つけてくれることもある。
「これ、できるよね?」
「これ、知ってるよね?」
と言われた事は、周りが認めている強みだと思っていい。

自分の強みに気づいて活かす。
人と比較する必要はないし、日本一でなくて良い。
年齢も、育った環境も、学んだことも、経験したことも全て見直してみると、強みは見つかる。

絶対に誰でも強みがある。
これからも若い人はもちろん、中年、私の親世代にも言い続けようと思う。
なぜなら自分を最大限に活かせた時、魂が震えるほど嬉しいからだ。


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