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惜しい接客を、ナイスな接客に変えるポイント (勝手に、覆面調査員・デパート編)


デパート編


先日デパートで買い物をした。


デパートといえば、それなりの接客スキルを持っている人たちが集まる場所だ。


今までにも「素晴らしい」と思う接客をデパートで受けた経験は何度もある。
さらにデパートには、外商部と言う、お得意様のみを対象とした、デパートから自
宅まできてくれる部署を持つ。


そのおもてなしや接客スキルを体験した事がは、残念ながらないのだが、小説で読んで学んだ。


高殿 円著 上流階級 1、2、3


外商部の方々ではないが、今回のお買い物でもナイスな接客の方と、惜しいなという接客をした方がいらしたので、一応元客室乗務員という、接客を仕事としてきた経験から気づいた、その違いを書いてみようと思う。


1店舗目の接客


まず行ったのはコスメエリア。


名だたるブランドがひしめき合う、綺麗なお姉さんが沢山いるエリアだ。
ただ今回はお世話になった方々へのお礼で、ハンドクリームやボデイクリームを
想像していた。


香りが良くて自分ではなかなか買わないなと思うもの。
香水でも良かったがこれは好き嫌いがあると思ったので、ハンドクリームなら今の時期きっと使っていただけると思った。


ちなみにプレゼントには大きく2種類あると思っている。
一つは残るもの。食器やフォトスタンド、ハンカチなどだ。
一方は残らないもの。
お菓子、ハンドクリーム、ネイルなどだ。


今回は残らないもの、つまり気軽に受け取って欲しいと思った。
そうして各ショップを見に行ったところ、わりと放っておいてくれるお店で、2、3の質問をして2つの購入を決めた。


ところが、プレゼントなのに手渡し用の袋が有料らしい。
勝手にカチーンと来た。

私は自分勝手なポリシーがある。
(だいたいポリシーなんて勝手なものだが)

・プレゼント用の袋はかわいいのが基本。
・プレゼント用の袋は無料と有料が選べる。
・デパートに入っている店、高級店を売りにしているお店は、ギフト用の袋は無料がデフォルト。


だってデパートの袋に一つのブランドを感じてわざわざデパートに買いに行く、
昭和、バブル世代ですよ、私。

今日日若い人はデパートなんて行かないのだから、デパート利用者層である、
昭和、バブル世代のニーズに合わせて欲しい。

それも叶わないと分かった時点でキャンセルしたかったけど、諦めた。
持ち帰りの袋さえくれないと言うことなので、次回からは絶対に買わないと心に決め、サイレントカスタマー化した私。
(サイレントカスタマーとは、不満があってもその場では言わず、2度と利用しないと決めるお客様のこと。ほとんどの人は不満は言わないので、ある意味怖い)


私が持参したショッピングバッグを出すと「入れましょうか」と
一見ちょっと気の利いた事を言われた気がしたけど、不満を抱えたままの私には
逆効果。

「ここで接客ワンポイント解説&お節介アドバイス①」


相手の精神状態がマイナスの時には、まずそのマイナス感情をゼロに戻すことの方が先決。


この場合、お店のルールである、ギフト用の袋も有料、ということは、このスタッフには何もできることはない。


ただ、できることもある。


「大変申し訳ございませんが、ギフト用の袋も有料となっておりますが、よろしいでしょうか」

など、クッション言葉を入れて、相手の意向を聞くことはできた。


この一言があれば、例えお店側の方針を変えなくても、サイレントカスタマー化は防げた。でもここまでの接客教育はされていない様子。
たった一人のサイレントカスタマーから、あっという間に100人のお客様を失う、と客室乗務員時代の先輩から言われたことがある。
(飛行機の乗客の場合は、サイレントパッセンジャーと言う)

お客様の感情がマイナスになったのかどうなのか、は接客要員として気づかなければならない。これができなかったら、接客は適性がない、厳しいけど。


私は、一見気遣いを見せているように見えて、実は誤魔化しているようにしか見えない提案を
「いえ、自分で入れます」と言って断った。
(頑固ですねー、怖いおばさんですねー私)


「ここで接客ワンポイント解説&お節介アドバイス2」


マスクしてコロナ対策するなら、できる限りお客様の私物には触れないと言う事が大事なはずなのに、その点は全く守られず。
やってる事がチグハグだとお客様は安心してお買い物はできない事例を経験。

それでも諦めず他店舗を巡った。


2店舗目の接客

あるブランドでは、じーっと商品を見ていると一人の若い女性スタッフが出てきたが、黙って立ってるだけ。
声をかけてくるのかと思ったがそれは一切ない。
まるで見張られてる感じなんですけどーーー
私が何か言ったら答えようと言う受身姿勢。

「ここで接客ワンポイント解説&お節介アドバイス3」


相手が自分よりずっと年上のおばさんだったら、なんて声かけようかって考えると怖いよねって言う気持ちは分かる。

でも一応販売のプロとしてそこにいるなら、どんな声かけをするか考えようよ。

例えば、
「何か気になる商品はございますか」
と声をかけてくれたら、「実はギフトで探していて・・・」と私も言えた。
そこから買ってもらえなくても、商品紹介はできたし気に入った商品があれば、買っていた。
その機会損失をしている。もったいない。

結局一言も言葉は交わさず、立ち去った。
受身姿勢がお客様を逃したケース。


3店舗目の接客

次に行ったブランドでは、私が周りをぐるぐる回っていたら、一人の中年スタッフの人が追いかける様にやってきた。


「何かお探しですか?」


そう、どんな時でも使えるこの言葉でいいのにねって思う。
さすがです。

だって探してる様子なんだから。

そこで「ギフト用にと思ってハンドクリームとかって思ってるんですけど」と言うとすぐに見せてくれたが、外資系コスメは全て物が大きい。


「もう少し小さいのでいいんですけど」
と言って、帰ろうかと思った時、さっと商品を出してきた。

(さすが、ベテランの気概を見たように思った)

「ハンドクリームではなく、ヘアミストですがプレゼントに良く出ています」
と言う。サイズも小さくお値段も予算くらい。


「香りは?」と言うとすぐに香りを吹き付ける紙を出してさっと渡してくれる。
色々と探してる客は逃げ足が早いことを充分に分かっていて、
このテキパキとした判断と動作になるのだと思う。

香りも良かったが、他のお店も見ようと思って「ありがとうございます」と
御礼を言って立ち去った。

「ここで接客ワンポイント解説&お節介アドバイス4」

全く立ち寄ったことがないお店だったけど、このお店への私の評価は、Good
つまり次回何かプレゼントや自分用のリップなどを買う際に、選択肢の一つに
仲間入りした。←重要

その理由は、

① お客様の探し物に沿った商品紹介と提案

② 最後まで諦めず、短時間で多くの情報を伝える迅速な判断と行動

③ 決して押し付けない接客「よろしければ」などのクッション言葉を使っていた

さらに思ったのが「ベテランの人の真似をしようよ、若者」って感じ。


別のお店の受け身姿勢だった若いスタッフにやる気を出させるのも、
仕事の面白さを体験させるのも(教えるのではない、体験しないとわからないから)
ベテランの仕事。


若い人はベテランの真似をするのが仕事。


これがうまくいけば、きっと若い人もちゃんと売り上げを上げられるのに、と
思った。
教育の大切さを実感しながら、次の店舗へ。


4店舗目の接客

次は誰もが憧れるブランドコスメ店。
私が商品を見ているとすぐに声をかけてきたのは、若い女性。

「何かお探しですか」

そうそう、若くてもちゃんとできる人はできるんだよね。

「プレゼント用で、ハンドクリームなど探してて」

と言うと、すぐに見せてくれ、クリームも手につけてくれた。
ただそのうちの一つを大アピールしてくる。

「期間限定で、○周年記念商品で、、」
ここでガッカリ。

今彼女が売りたいのは、いや会社から言われてる売るべき商品はこれなんだなーと
わかる。
でも私はその香りは好きではない。
だけど言葉には出さず、「それはちょっと・・・」と曖昧に言った。

さらにボデイクリームを見せてもらうと、ボデイローションとボデイクリームではボデイクリームを推してくるし、(ボデイクリームの方が高い。でも人の好みはそれぞれで、私は実はここのボデイーローションを愛用していた時期がある。でもそれは口に出して言わない)その中でも、先ほどの香りが入ってる物を推してくる。


「あなたの欲しい物ではなく、私のお勧めを買ってよ」
と言わんばかり。


売れるはずはない。

このまま何人か同じ接客をしていたら気弱な人や店員に勧められたものを買う、「買い物が苦手」の人は買うが殆どの人は買わないだろう。

「ここで接客ワンポイント解説&お節介アドバイス5」


・ギフトって言ってるのに予算を聞かない
・それはあまり好きじゃないって言ってるのに再度押してくる
・自分が説明をするばかりで、お客への質問がほぼない。
「この香りはお好きですか?」「お好みの香りはございますか」など、こちらの以降は一切聞く質問がなかったのだ。

人は、自分が大事にされている、と感じることが誰でも好きだ。
その反対は、「自分のことを無視されている」と感じることは、何より嫌いだ。
お客様は、自己中だから。自分を大事にして欲しいと思って、お金を払いに来る。
そう思っていて、ほぼ間違いない。

その接客の基本が、わかってない、または完全に無視している。自分の売り上げのために。


この若いスタッフに接客を教えたのは誰なんだろう・・・以前いた、ベテランの方々は良い接客をしていたのにな、と思った。

確かにこの若いスタッフの積極性はとても良いのに、お客様視点がないから売れないと思う。
少なくとも私は買わなかった。
今後このデパートのこのお店には行かなくなる。他のデパートに行くだろう。

5店舗目の接客

諦めかけて出口付近にあるがブランドには、ギフト用商品が綺麗にデイスプレーされていた。
かわいいし予算の範囲だしじーっと見ていて、他のお客様に接客中の店員さんに2、3質問をしていたら、すぐにもう一人のスタッフを呼んで下さった。

「お伺いします」

と若い女性スタッフにいくつか商品を見せて頂いてるうちに「かわいいー」
と思って購入しようと決める。
ただ1店舗目の苦い経験から、包装や、袋の確認は忘れない。

なんとここでは、かわいい袋が無料!
さらにかわいいギフトボックスは有料で300円から選べると言う。
リボンも二色から選べて、ファンデーションのサンプルまで下さった。それもギフト用と私用に‼️

この違いは何?

さらに言うと価格もリーズナブル。

「ここで接客ワンポイント解説&お節介アドバイス6」

・素早い対応
・連携プレーが見事
・こちらの意向に沿った説明だけしてくれる
・一生懸命な接客
・袋が可愛くて、無料。リボンとサンプルプレゼント付き。
・コスパが良い

これだけ揃うと、買いますよね。(笑)

おそらくこの店舗では、「性格の良さ」を大事にして採用をしている。
スキルが不足していても、迅速に、そしてお客様のために一生懸命な様子が見えると、年上の人は特に可愛がってくださる。
年上に可愛がられる性格、って、若い時の財産。
それをわかって採用をしているのだとすれば、ここの人事はすごい、と興味を持った。
(採用、教育マニアです(笑))

このお店は次回からリピートするし、他の方にお勧めします!

まとめ

「惜しい接客の特徴」
❶受身姿勢
❷お客様の意向無視
❸売りたいものを推す
❹お客様に質問せず喋りまくる接客

「惜しい接客をナイスな接客にするポイント」
❶お客様に必要な質問をする
❷何かお探しですかと自分から声をかける、いらっしゃいませ、だけでも良い(最近この言葉あまり聞きませんね)
❸お客様の望んでる物またはそれに近い物をできる限り提案する
❹デパートの入ってる店は、ギフト用は少なくとも袋は無料にする事。それを見込んだ価格設定にすれば良い。ケチケチしない。できる限りかわいいショップ袋にする。この袋の贈り物を贈りたいと思うから。
お店の宣伝にもなる。

最後に

頼まれてもいない勝手な接客観察だったが、顧客心理を自分でも感じながら接客を受けた様に思う。
店員の人達はこの心理を知ってるだけで、きっと売り上げは上がると信じている。
もし効果があったら、是非教えてください!(笑)

そして顧客心理に基づいた、プロの接客接遇の実地研修を希望する企業、
店舗様のお仕事依頼を受け付けております。
採用
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全て可能です。

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次回また面白い接客ネタをお届けします!どうぞお楽しみに!

採用、人材教育、接客コンサルタント
上野 博美


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