「旅に出ると、ハプニングが追いかけてくる(接客編)
旅に出ると、何かしらのハプニングが起きる。
ネタとしてはありがたいけど、ゆっくりのんびりリフレッシュしたいと思っている私にとっては、
「なぜ?」と思うこともしばしばある。
今回も「まさか」の初体験の出来事だった。
(かなり長編ですので、お時間あるときにご覧ください)
フェリーに乗って行った伊王島観光から戻り、預けていた荷物を受け取り部屋に入った。
なかなかアンテイークだけど、重厚感もある。
バルコニーが開いたのも、すごいなーと思った。
景色にも満足。
さあ、スーツケースから洋服を出してハンガーにかけよう、と思って、クローゼットを開けた。
ハンガーがザーッと並んでいる姿を想像して。
実際クローゼットを開けてみると、そこにはハンガーにギンガムチェック柄のワンピースが掛かっていた。
、、、、、
人は、想定外のことが起きると、自分に都合の良いように考えるのだとこのとき思った。
「あ、新しいタイプのパジャマ、部屋着?」
と思ったが、左側を見ると、さらにワンピースが数枚掛かっている。
すぐに、気持ち悪くなって、ろくにそれらの洋服を見ずに、フロントに電話をした。
「あのー、クローゼットに洋服が数着掛かっているんですけど」
部屋を変更されるかもしれないと思いながら・・・
「申し訳ございません。すぐに引き取りに参ります」
「部屋は移動しなくていいですか」
「はい、大丈夫です」
と言われたけど、なんだか嫌な気分。
だって、クローゼットの中は掃除してないと言うこと。
そして忘れ物チェックをしてないと言うこと。
そしてここは、ビジネスホテルではないと言うこと。
前日にどんな人が宿泊してたか、なんて知りたくない。
せっかくの旅の良い気分が、シューんと萎んだ気がした。
しばらくすると、部屋をノックする音がする。
部屋を開けると、中年の男性スタッフが現れ、「申し訳ございません。服を引き取りに来ました」と言うのだが、「引き取り」と言う言葉も、気に入らない。
この服はお客様のもののはず。
もし言うとしたら、「頂戴に参りました」の方がいいんじゃない?と、一瞬思う。
そう思っていると、バタン、とドアが閉まる。
ここで二つ目の驚き。
えー、ホテルスタッフがお客様のお部屋に入る際には、ドアが完全に閉まらないように、ドアロックの金具を使って、閉まらないようにするんじゃないですか?
それでなくても、一応私女性なんですけど。。。
(女性と思われないかもしれないけど)
もし、ここでセクハラされました、って言われたらどうするんだろう、なんて余計なことを考えながら、「ちゃんと教育されていないんだな」と思う。
どんどん気分が沈む。
そんな私の思いなど、考えもしていない中年男性スタッフは、服を確認して、ハンガーから服を次々に取り外し、合計4着ほどの服を手に抱えている。
私は、つい「びっくりしました」というと、「私もびっくりしました」と言う。
ここで3つ目の驚き。
はあ?
ここであなたの感想を言う???
と、だんだん呆れてくる。
こちらが気になっているのは、クローゼットの中の掃除はしたのか、と言うことなんだけど、多分そんなことには、頭が及ばないらしい。
やはりとても難しい「お客様の立場に立つ」と言うことが、ここでも明らかになる。
もし私だったら、「びっくりしました」と言われた時点で、再度「大変申し訳ございませんでしたと言って、自分の感想などは決して言わない。
スタッフが腕に抱えているワンピースを見ると、そのうちの一つにはまだ商品の札がついている。
購入した服を、そのままかけていたのか?
後から気づいたのは、この買ったばかりの服は、購入した店でもらったハンガーにかかっていたのだが、このホテルマンはそのハンガーも置いて行っていた。。。
3つも驚きとショックがあって、気分が沈んだ。
次回はないな、と思いながら、気分を紛らわすためにも散歩に出た。
結果的に散歩に出てよかったのだ。
旅の楽しみの一つは、食。そしてお土産だ。
グラバー邸に向かう坂道の途中に、「文明堂総本店」と言う、錚々たる名前の店がある。
文明堂、といえば、誰でも知っているカステラの名店だ。
「カステラ一番、電話は二番、3時のおやつは文明堂」
という名キャッチコピーで有名だ。(40、50代以上の人はおそらく知っているはず)
何かお土産にいいものはないかな、と思って入るとすぐに目に入ったのが、「特選カステラ」
何が違うのか、と聞くと、卵の量が違う、選ばれた職人が作っている、砂糖にもこだわっている、と聞く。
確かに値段は少し高いが、せっかくなので買うことにした。
和三盆、黒糖、抹茶、だったら、あなたはどれを買うだろうか?
結局私が買ったのは、これ。
黒糖。
お支払いをしているときに、ガラスケースに貼ってある紙を見て、質問をした。
「え、文明堂って暖簾分けされているんですか」
そういうと、後ろの方にいた、ベテランの女性スタッフの方が、わざわざ答えてくれた。
「はい、東京の文明堂とは暖簾分けをしていて、完全な別会社です。そのため商品も全く違います。ここでしか買えない商品ばかりです」
と、とても誇らしげにいう。
「東京の方で有名だと思っていました」
「皆さんそうおっしゃるんですけど、うちは総本店です」
と、完全にそのプライドにタジタジとなった。
(すごく軽くて、美味しかった。今までのカステラとは、全く違う。ネットでも買えるようなので、ぜひお試しあれ)
その後ちゃんぽんを食べに行こうとすると、なんと今日はお休み。
精霊流しがあり、爆竹が鳴り響くため、ほとんどの店が休業するのだと、近くの以前行ったカフェで(ここは開いていた)聞いた。
でも、すでに頭はちゃんぽん、でいっぱいなので、なんとリンガーハットに行ってきた。
リンガーか、。。。と思ったが、その帰りに「出島」を通って帰れたので、よかった。
次回はここにもきてみようと、目星をつけた。
精霊流しの際には、通行止めもされ、電車以外は動かなくなる。
まるで街が止まってしまったかのようだった。
爆竹もすぐ近くで、すごい音がする。
爆竹には「魔除け」の意味があり、中国から入ってきた文化らしい。
それにしてもすごい音だった。
長崎は、オランダと中国との貿易が続いた街。
日本文化とは違う文化がある。
それを感じることができた1日だった。
それでも長崎はなぜか私は好きだ。
原爆資料館には、小学校の頃の修学旅行で行き、途中気分が悪くなって出てきた経験から、2度と行けないと思うが、一度は行ったほうがいいと思う。
奇しくも、ウクライナとロシアの戦争が続いている。
戦争が、悲しみ以外(ときには憎しみ)何も生まない、ということを知るためにも。
世界唯一の被爆国であるということを知るためにも。
長崎市内に流れる川を見ては、「原爆が落ちたときに、この川に人が殺到したに違いない」と思いながら、歩いた。
長崎の原爆は元々の予定では、長崎ではなく、私の地元北九州の小倉に落とされる予定だったと、小学校の平和教育で聞いたとき、長崎の人たちに申し訳ない、という気持ちを持ったのを覚えている。
北九州市では、長崎原爆の日には必ず式典を行なっているし、平和のまちミュージアムという記念館も建っている。
旅に出ると、少しばかりでもその土地の歴史に興味を持つ。
今自分が立っているこの場所に、何百年前に立っていた人たちがいる。
どんな人たちで、何を思っていたのだろう、と思いを馳せる。
帰りは土砂降りの雨の中を歩いて帰ったが、それも良い思い出だ。
そして、職業柄どうしても気になっていたことが明日分かる。
私が客室乗務員経験者でなければ、マナー、接遇講師でなければ、このハプニングも気にならないはずだが、やはり明日まで見届けねば、と思って眠りについた。
明日は、最終回。
長い物語にお付き合いいただき、ありがとうございます。
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