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松木安太郎さんの組織論(マネジメント論)

機会があって松木安太郎さんの講演を聴いた。
最近の解説者としての松木さんのイメージだと、解説じゃなくてただのサッカー好きなおじさんみたいな感じかもしれないけど僕にとっては強いときのヴェルディの監督のイメージ。そんな凄い監督の話を聴けることを楽しみにしていた。

強い組織作りに大切なことをテーマにした講演は、非常に面白い1時間でした。

各人が強い個であること

当然のことながら各人の能力が高いことが大事。弱い人をたくさん集めるよりも強い人がたくさん集まったほうが強い。
能力が100の人と80の人がいたら当然100の人が勝つ。いくら気合いを入れたところで80の人は80以上だせない。
ただスポーツでは80の人が勝ってしまう場合がある。それは100の人が100の力を出せずに80以下になってしまった場合。能力を100%発揮することは難しい。メンタルコントロールが大事になってくる。そのメンタルコントロールを上手にサポートして100%の力を発揮させるのが監督やコーチの仕事らしい。
だから、有能な監督が100%の力を発揮させたとしてもプレーヤーの能力がそもそも低かったら勝てない。つまりまず強い組織であるためには各人の能力が高くないといけない。個が大事になる。

強い個になるためにはどうすればいいのか?

チャレンジを継続できるか

いくら努力しても結果がでないことはたくさんある。ただ努力をし続けなければ結果は絶対にでない。つまり結果が出てないときでもチャレンジや努力をし続けられる人が強い選手になっていく。

プロの世界は明確に結果が出る。だから結果が出ないときにはメンタルにダメージが来てしまう。すごく能力が高い選手でも結果が少し出ない時期があるだけで、引退してしまったりすることはたくさんある。

最初は好きでその競技をしていたはずなのに、いつの間にか記録や勝敗だけしか見れなくなってしまい、純粋に楽しめなくなり能力も十分に発揮できないような精神状態になってしまう。

そういう状態にならないマネジメントが大事になる。

内発的動機が大事

動機には外発的動機と内発的動機がある。

外発的動機:評価(勝敗)、報酬、体罰(恐怖)
内発的動機:興味、関心、充実感、満足感

つまり外発的動機は外環境からの影響によるもの。内発的動機は内面で自発的に沸き起こる意欲や感情。

どちらの動機も大事だけども、外発的動機はどうしてもコントロールがしにくく継続できないことが多い。常に勝ち続ける、成功しつづけることは難しい。その反面、内発的動機は興味関心なので、自分の感情で起きる動機のため自分でコントロールすることが可能で継続しやすい。

つまり「勝て!」「勝たないと意味がないぞ!」「成功したら賞金がいくらだぞ!」みたいな外発的動機ばかりを与え続けていると外発的動機となる報酬がなくなったときに、力が発揮できなくなってしまう。
記録が出なくなったから引退とか、1度負けた後に連敗しつづけてしまうとかはそういう例。

その競技を純粋に楽しむ、いいプレーをしたい、大きな大会に出てみたい等そういう選手自身の内発的な動機を選手自身が持ち続けられるようにサポートしてあげることが大事になってくる。想いが大事になってくる。

外発的動機だけでなく、内発的動機も持ってもらうことで、100%の力を本番で発揮してくれたり、努力を継続して強くなっていってくれる。

趣味が継続しやすいのは内発的動機が多いからだと思った。

チームスポーツで番狂わせが起きる理由

個人スポーツの場合は1対1なので個人の強さがそのまま勝敗につながりやすい。チームスポーツの場合は全員が常に100%の力を発揮してくれるわけではない。だから、チームスポーツでは良くジャイアントキリング(番狂わせ)が良く起きる。

例えば100の力を持ってる選手が4人いても3人が50%の力しか発揮していないチームと80の力を持ってる選手4人が全員100%の力を発揮しているチームだと後者のチームのほうが総合力が高くなる。
強い人が集まってて強そうに見えるチームが負けるパターン。

100%の力を発揮してもらうために

相互理解しあうことが大事になる。
お互いの能力の邪魔をしないようにして、さらにお互いの能力を発揮しやすいようにフォローし合うことで各人が発揮できる力を100%に近づける。

サッカーの日本代表は各チームからの寄せ集めになるので、短期間でどれだけ相互で理解しあえるかが大事になる。準備期間中だけでは足りないので、元々理解しあえてそうな選手同士で構成されたメンバー選びになる。だから上手いはずなのに選ばれない選手がでてきたりするし、クラブでは活躍するけど代表だと活躍しない選手がでてくる。
スペインがW杯勝った時はメンバーのほとんどがバルセロナの選手だったし、ドイツが優勝したときは、ほとんどがバイエルンの選手だった。クラブチームで一緒の期間が長いので、代表で集まったとしても力を発揮しやすい状態になっていた。
今回のW杯で香川と元々チームメートだった乾選手が呼ばれて活躍したのは偶然ではない。

全員が自分ごととして取り組む

サッカーの日本代表の人数は23人。試合に出られるのはスタメンの11人+交代枠の3人の最大14人。残りの9人は試合に出られない。その9人がどうせ試合に出られないからといって練習をさぼったり準備をしっかりしていないといざ試合に出ないといけない状況のときに100%の力は発揮できない。

それと試合に出ていない9人が試合に出ている人達にも影響を与えることは多い。スタメンじゃない人がベンチから一生懸命応援している姿をみて頑張るとか練習を真剣に取り組んでいるけど試合に出れていないあの選手のためにもがんばるとか。つまり選手が100%の力を発揮するには全員が自分ごととしてとらえチームが団結している状態が大事になってくる。
過去にもチームのまとめ役としてベテラン選手がW杯の代表として選ばれたことがあった。そういう人選は日本以外でもよくあることらしい。

まとめると

・強い個人が集まった組織が強い
・個人が強くなるためには継続した努力が大事
・継続した努力をするために内発的動機が大事
・相互理解しあえる組織が力を発揮しやすい
・全員が自分ごととしてとらえて全員が団結してる組織が強い

プロスポーツも僕らの仕事も変わらないなと感じた。
スタッフのビジョンを確認してモチベートする、協力しあえる環境作り、各スタッフが責任もって仕事ができるような意識づけ。

管理職がやることとサッカーの監督がやることは、ほとんど変わらない。原理原則を学ぶことは大事だなと再実感した。

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