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小説の登場人物を覚えやすくする方法

 小説を読んでいて、「この登場人物誰だっけ?」となることはないだろうか。

 小説は、映画やドラマ、漫画、アニメといった媒体と比較して登場人物が覚えづらい媒体だと思う。

 情報は文字だけに限られ、登場人物を把握するには作者の文章力のみならず、読者の想像力も要求される。

 登場人物があまり出てこない作品なら特に問題ないと思うが、これが警察小説などのように数多くの登場人物が出てくる作品ならば、彼ら全員を正確に把握して記憶するのはやや難易度が上がってくる。

 そして、それは海外小説なら尚更のことだろう。
 普段はあまり聞き慣れない名前のキャラクターが登場することも、決して少なくないわけだから。
 コールフィールドとか、エンディコットとか、マグラシャンとか(だからこそ、海外小説はカバー裏や最初のページに登場人物一覧が設けられていることが多いのだが)。

 しかし、僕は小説における登場人物を、正確に且つ鮮明に記憶する方法を考案した。

 この方法は数年前から無意識にやっていたことではあるが、今年になってそれを意識的に実践するようになった。

 その方法とは、実在する人間をイメージしながら読むことである。

 詳しく説明すると、登場人物のイメージに合っていると思う「俳優」を、各登場人物ごとに割り当てていくのだ。
 つまり、自分でキャスティングをし、配役を行うわけだ。

 自分はあまり人並みに俳優を知っている方ではないと思うが、この方法を使えば、「この名前の人物は誰だったか忘れた」といった事態を防ぎ、登場人物の存在を具体的に把握することができる。

 背の高いキャラクターなら、背の高い俳優。太っているキャラクターなら、太っている俳優、といった具合に、作品内の登場人物の設定と合致する人間を当て嵌めていく。

 これなら混乱することなく、一貫性を保って容易に登場人物を記憶することができるようになる。

 僕は刑事ドラマが好きでよく視聴しているため、それに出演した俳優たちをよく警察小説やミステリー小説の登場人物になってもらっている。

 このシステムの面白いところは、登場人物の見た目が具体的に定まるだけじゃなくて、台詞もその俳優の声で再生されるところだ。
 声が設定されると、より登場人物の感情や心証を理解しやすくなるのではないだろうか。

 このように、登場人物の容姿が現実味を帯びることで、どんな情景やシーンにおいても曖昧でぼんやりとしたイメージを払拭し、明瞭ではっきりとしたイメージを確立しやすくなる。

 つまり読者自身の裁量で、作品にリアリティを付加できるのだ。

 少し難儀かもしれないけど、登場人物が多い作品ならば新たな登場人物が出てくるたびに、「この人はあの俳優かな」といった感じでどんどん設定していくのだ。
 そうすれば、混乱や混同を確実に回避することができる。

 また、すでに映像化されている作品なら、実際のキャストを想像しながら読めばいいので、自らキャスティングする手間が省けて読書がさらに楽になる。
 例えば、僕は東野圭吾のガリレオシリーズが好きなのだが、もちろん湯川学は福山雅治を、内海薫は柴咲コウをイメージしながら読んでいる。

 俳優の存在を借りることで、作品によりリアリティをもたらす。
 この『俳優拝借システム』、小説を読む際においてかなり有効的なシステムだと思う。

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