見出し画像

今日から始めるフリーランス(※但し誰の参考にもならない)

今日、私は初めて仕事をもらった。

厳密に言えば「開業届を出してから初めて仕事をもらった」が正しい。

事の発端はあまりにややこしいので、一言で言うならば「流されて辿り着いた」である。
もうこの時点で受け身が過ぎる。


・ちゃんとした経緯


今から3年前、コロナの影響で暇していることを知った知人に「知り合いに、30歳過ぎてから大学行って、就活して、内定貰った人がいるんだよね」「コロナ禍の今だからこそ勉強するチャンスじゃない?」などとそそのかされた。
実はその知人は、社会人枠を増やしたので受験者を増やすミッションを担っていた学校からの刺客であった。知り合いの話ではなく、在学中の社会人学生の話をされただけ。
つまり、ただの営業であった。

長らく「転職したい」とは思っていたが、誰も『学生』にジョブチェンジしたいなんて言ってないのだが?

しかし、まんまと引っかかってしまったので、そこからは日中仕事して、夕方から学生をやる生活を始めた。
とはいえ現実はそんなに甘くはなく、仕事の繁忙期はほとんど学校に行けなかったりしたが、何とか2年で課程を卒業することができた。
が、知人の言うような就活はできなかった。時間がなさすぎた。

これは全面的に私に否がある。
私の課程はゼミに入る必要はないのに、他の社会人仲間が「1年だけゼミに入れてもらうんだけど一緒に入らない?」とか言って、確かにおもしろそうと思ってゼミに入れてもらったが、当の友人が失踪し、私だけゼミに入った。
そして、私がかつて学生時代に映像制作を専攻していたことを知った学生課の人に「どうせ1年だけゼミに入るなら、映像系のゼミもあるからお前入れ」とほぼ脅迫紛いの推薦によりゼミに2つも入ってしまった。
後から現役生に聞いたら「例年掛け持ちしている人は何人かいるけど、そのゼミの組み合わせは最悪」とのこと。おいこら学生課。

この件により、この学生課の人から「やらせれば何でもやる奴」と認識された。
これが、うっかりフリーランスになってしまった事の発端である。

1月も終わりの頃、全く就活(というか転職活動)せず、卒業後また今の仕事に戻りそうな私に、例の学生課の人が「映像の仕事やらない?」と話を持ってきた。

完全な身内案件なので、すごい要望なのだが
期間雇用
・映像作れる
・Adobe製品使える
・できれば絵心もほしい
・無茶振りも何とかしてほしい
・給料安いから他に仕事かけもちしてほしい
・すぐにでも仕事に取りかかれる内定もらってない人
である。
そんな究極の理想的な都合の良い人材、この世のどこにいるんだよ。ここにいた。

というわけで、学部の卒業証書授与式で何でか現役生に交じって卒業生代表挨拶して卒業したのに、まだ学校にいるのだが、この仕事が問題であった。

私は完全にアルバイト感覚だったのだが、契約上『業務委託』であった。確かに請求書を書いている。となると確定申告が必要なのはともかく、インボイス登録も必要なのでは?という疑惑が浮上してくるが、ここで「インボイス登録するには開業届が必要」という誤情報を得てしまった。

書類を書いて税務署に提出したら、職員さんに「別にインボイスに開業届いらないんですけど受理しますね〜〜〜」と有無を言わせない勢いで受理された。台風みたいな勢いだった。

それなら開業届書かなかったんだが?という後悔と開業届の写しを抱えて市役所に行ったのが9月。
こうして、うっかりフリーランスになってしまったのである。

・ゼミの先生から1件のメール


先程私は「在学中にゼミに2つ入っていた」という話をした。
片方は、現在勝手に研究室にパソコンを持ち込んで住み着いているゼミ。
もう片方は、例の学生課の人に入れさせられた映像系のゼミである。

この映像系のゼミの先生から「俺に来た仕事だけど忙しいからお前に回したいからちょっと顔出して」というメールが来た。
これが開業届を出してから初めてもらう仕事である。
とはいえ、それ以前に学校側から仕事をもらっているので、それだけであれば大して感慨深くはない。


ただ、そのメールには追伸があった。

その日付を、私はよく覚えている。
学生時代中に就活に失敗して、映像業界に就職することが叶わず、それでも転職活動していた頃、最後に不採用お祈りメールをもらった日であり、かつて学んだ映像のスキルを全て捨て、映像制作に携わることを完全に諦めた日である。

その日のメールを8年越しに開いてみたところ、不採用通知をくれた採用担当の名前が、どう見てもゼミの先生と同じ名前であった。

「応募してたなら早く言え!」と言われたが、完全に記憶から締め出していたので覚えてなかったのである。というか、もし覚えていたら絶対視界に入らないようにしていたと思う。ゼミなんか論外。

めちゃくちゃ笑って、笑いすぎて涙が出てきたが、どちらが先に出てきたのか、もう覚えていない。


フリーランスなんて別になりたくてなったわけではない。
どう考えたって固定給のほうが安定した生活が送れるに決まっている。
何ならもうすぐ今やっている仕事の契約期間が終わるから、それ以降の私は、フリーランスとして生活費を稼げる見込みも立っていない。

けれど、今日、私は、開業届を出してから初めて、かつて「即戦力にならないから」という理由で不採用通知を送ってきた相手から、今度は「お前なら任せられるから」と、仕事をもらった。

だから、今この時点からフリーランスの映像クリエイターとしてがんばってみようと思う。
前途多難か、前途洋々かは、全てこれからの私次第なのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?