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1型糖尿病⑥~入院4、5、6日目~

この記事はわたくしうえこの、1型糖尿病発症前からのレポートです。
前の記事はこちらからどうぞ
1型糖尿病⑤~入院生活のはじまり~

マガジンにもまとめたよ!
うえこの1型糖尿病(IDDM)レポート

前回は入院してから3日目を書いたので、今回は4日めから。

入院4日目、忙しい月曜日

入院ってやっぱり暇だなと思ったのは、初日が金曜日でもう週末だったからだ。
各種検査も、リハビリも、糖尿病教室も、週末はお休みだ。

6時起床。
週末もそうだけど、6時をすぎると看護師さんが起こしに来る。
病院は規則正しい。
起きる、顔を洗う、着替える。
デイルームにお茶を取りに行って、体重をはかってくる。
看護師さんがきて血圧と血糖値を測り、体重を聞いてくる。
寝起きに体温もはかる。

あと前日のトイレの回数を聞いてくる。
受診直前は、なにか飲めば30分くらいでトイレに行きたくなった。
1日10回以上行っていた。
夜中も2~3回はトイレに起きていた。
それが、入院して、インスリン治療を始めるとぐっと回数は減った。
夜中は1回だったり、行かない日もあった。
夜、トイレに行きたくなって目が覚めることがなくなるというのは、本当にありがたい。

さて朝食を済んで8時半頃に、白い巨塔でおなじみの往診タイムがやってきた。
これも週末にはなかったので初めての体験だ。

ロマンスグレー先生
女医先生
眠たい先生

3人がぞろぞろと病室にやってきた。
復習すると、ロマンスグレー先生はおそらく最初に受診したクリニックの石坂浩二似の先生と仲がいいと思われる。
50代後半か60代か、穏やかで優しそうな笑顔を浮かべている先生だ。
女医先生はハスキーボイスで、私と同年代か上か下だ。
そんなには離れていないと思う。
かわいい。
眠たい先生はあれだ、多分年上だ。
そして今日も眠そうだった。

さらっと話をして往診は終わった。
そんなもんなのか。
基本的には入院方針というか、
これは教育入院で、あなた(私)はおそらく1型糖尿病で、今後はインスリン治療と、食事運動療法をしていきますからね~
みたいな話だったように思う。

あっという間に昼食の時間になり、その後色々と検査名の書かれた札を渡された。
今日はこれらをやってもらいますからねと。
ハードスケジュールだ。
・体組成計検査 タンパク質とか色々わかるらしい
・血圧検査 両腕両足に器具をつけて動脈硬化などを
・心電図検査 1分、3分、深呼吸をして1分と何回もやる
更に後日やる眼圧検査の予約をとったりもした。
忙しい。

インスリン指導

検査を終えると、看護師さんと別室へ行き、インスリン指導が行われた。
現状では、食前に看護師さんの手によってプスリと注射してもらっているが、退院したら嫌でも自分でやらないといけないので、インスリンの扱いや、針の付け方、取り方等の指導を受けた。
針はペットボトルの蓋と同じ向きで回す、と言われたが、普段ペットボトル飲料を飲まないので、ちょっとピンとこなかった。

そうこうしてる内に時間がたち、15時ごろにまた保護猫カフェのボランティア仲間がお見舞いにきてくれた。
事前に連絡があり、読みたい本の作家名を伝えていたのだが、なんと5冊も買ってきてくれて、お代は結構!と言うのだ。
ふとっぱら!
事前に、食べ物はダメだと伝えておいた。
間違いなくフルーツの盛り合わせを買ってきたに違いない。
定番のやつ。
楽しい人なので、楽しく会話をし、入院して四日経つが毎日誰かきてくれて、寂しさもなかった。

この日入浴室を16時半から予約していたが、同室のアカウミさんがその前に使っていて、早く上がってきたので、
なんと通常より長めに入浴室を利用することが出来た。
浴槽をさっと洗い、熱めのお湯をためる。
今思えば入浴剤があったらよかったな。
前日に旭川からきてくれた友人からのお見舞いに、いろんなメーカーの1回お試しパックみたいなシャンプーとコンディショナーがあり、こりゃ粋なお見舞いだねと思ったのでけど、
これは本当によかった。
頭から身体から、全身をしっかり洗い浴室にはいると、なんとも至福の時間だった。
寝そうになった。

さて、月曜日と言うことで、院内LAWSONで週刊ジャンプを購入した。
これはもうずっと読んでるので、大事。
そんな風に4日目は終わった。

入院5日目

この日から、丸1日分の尿を溜めることになった。
トイレの隅っこに大きな容器を用意され、毎回、取っ手つきのカップへ尿を直接入れ、大きな容器に移すのだ。
なんかゲンナリするが、これは膵臓の検査だと言う。
詳しいことは忘れたが。

血糖値測定

朝、昼、夕、そして寝る前に血糖値の測定がある。
指先に、穿刺(せんし)器具を当てて、小さな小さな穴をあける。
グッと圧をかけると、ぷくりと血がまあるいドーム型になって出てくる。
そこへ、血糖値をはかる機械に装着したセンサーチップの先をちょんとつけると、ずずっと吸い込まれて、機械の中で測定され結果が表示される。

穿刺
地味に痛い。
同じ指ばかりもいけないので、左右の10本の指、その都度違う指に穿刺をした。
なんとなく習慣化した最近では、
朝は小指、昼は薬指、夕方は中指、そして寝る前には人差し指と言う、やりどころが決まった。
たまに親指にやってみたり。
正直な話、インスリン注射より穿刺が痛いよね。
インスリン注射の針はね、ほそーくて短めで、場所によっては全く痛みはない。
ただ痛点に当たるととんでもなく痛いので、いまだに緊張する。

リブレ

リブレ、と言うものがある。
これは、直径2cmくらいの丸い薄い、ボタンのような形をしていて、二の腕につける。
シリコンの針がついていて、バネを利用した器具とセットになっていて、バチンッ、と装着する。
バチンッ、の衝撃はすごいが、痛みはほとんどない。
これは肉体の間質液内の、グルコース値を測定できるもので、穿刺で指から値を出さなくても、血糖値と近い数値を見ることが出来る優れものだ。
測定器を、腕につけたセンサーにかざすだけで、数値が表示される。
しかも1日の数値の変動を線グラフにして表示してくれる。
8時間記録されるので寝ている間もバッチリだ。
これが、一度つけたら二週間稼働するのだ。
すごい便利。
ただ、グルコース値と血糖値には差が生じる事もあるので、やっぱり穿刺して実際の血糖値をはかる必要もあり、測定器はそれも出来た。
これを、5日目に装着した。
お風呂も平気。

リハビリと糖尿病教室

9時からリハビリルームで、運動のリハビリをするのだと言う。
体力が落ちているので、元の状態に近づけるためのリハビリだとか。
てか、そもそもそんなに体力がないのだけど。
有酸素運動と、筋トレ的なことをやるらしい。
エアロバイクとプランクなど初心者向けの筋トレだ。
1時間程、これを週末以外毎日やるのだ。
あと万歩計的なものを腰につけて過ごすように言われる。

糖尿病教室も始まった。
4階の病室に入院している1型、2型の糖尿病患者がデイルームに集まり、
女医先生、眠たい先生、栄養指導の先生、看護師さんなどから、糖尿病についての基礎知識や、治療法、インスリンについて、合併症などなど、学ぶのだ。
これは約30分。

母、くる。

実家にも入院は伝えていた。
まず忘れてった充電器やらを宅急便で送ってもらって、これは無事2日後に受け取り済み。
母も仕事があるので、非番の日にきてくれたのだけど、久しぶりに札幌にこれて嬉しそうだったのがちょっと笑う。
お見舞いのあと近代美術館に行くとか言ってて余計笑う。
お見舞いはついでか???

ともあれ、着てくれてちょっと嬉しかったが、娘としては伝えておかないと行けないことがある。
1型糖尿病は、遺伝とか関係ないから!
だから親は、自分のせいかもとかそういうの、考えないでいいからね!
誰が悪いとか何が悪いとか、なんもないからね。
こういうところで、親は自分を責めてしまうと聞いたことがあるので。
知らないと言うのは怖いよね。
簡単に人を傷つけられるから。
私も悪くない、親も悪くない。
これはそういう、なんか知らんけどなっちゃった的な病気だ。

と言うわけで、母には入院の保証人?みたいなのに記入してもらった。
いるんだね、こーゆうの。
天涯孤独の人とかはどうするんだろうか?
職場の人とかに頼むのかな?

母は17時過ぎに、ワクワクと病室を後にした。
美術館見ごたえがあって楽しかったらしい。

5日目の夕飯はエビチリと大学芋が出てきて、また軽くテンションが上がった。
やっぱり食事って大事だな。
自分で作らない栄養バランスの整った料理、最高か。

夕食後は4階の廊下と1階の、初日に受診した際に居た各科の待ち合いゾーンを、うろうろと歩き回ると言うリハビリ運動をした。
これは推奨されている運動で、というかそこくらいしか歩けないのだけど、入院している糖尿病患者たちが、同じところをうろうろと歩き回るのだ。
無心になるしかない。
食後に30分歩くのが私の目標になった。

入院6日目

早朝5時にトイレに起きて、丸1日尿を溜めきった。
Cペプチド尿検査が始まった。
また別の容器に尿を溜めるのだ。
これは尿中の糖の濃さを調べるとかなんとかで、インスリンの自己分泌がどの程度あるのか、みたいなことがわかるとかなんとか。

インスリンってなんだ?

そもそもインスリンってなんだ?

お米やパンなどの炭水化物は消化されて、糖になる。
糖は血液の中を流れて体内を回る。

インスリンは、臓器のひとつである膵臓の、膵島(すいとう)またはランゲルハンス島と呼ばれる部分から分泌される、ホルモンのひとつだ。
インスリンは、血糖値、つまり血液の中に流れる糖の量を減らす役割がある。
減らすと言うと語弊があるかな?
インスリンは、血液の中にある糖を、エネルギーに変える。
人が生命活動を行うのに必要なエネルギーに変える。
そういう、糖をエネルギーに変えるという、指示を出すのがインスリンというホルモンの働きなのだ。

だから、インスリンが正常に膵島から分泌されていれば、食事をして体内に増えた糖を減らしてくれるので、血糖値は下がる。

1型糖尿病ってなんだ?
それは、膵臓の膵島が、なぜか壊れて、インスリンの分泌をしなくなってしまう病気の事で、基本的には治らない。

インスリンの分泌がなくなると、血液の中の糖が増えてしまう。
高血糖の状態になるんだけど、身体は何とかして糖を減らそうと、尿として外に出そうという働きを起こすんだけど、この時、血中の水分を引っ張っていくので、多尿になる。
そして身体は水分不足になるので、喉がめちゃめちゃ乾く。
糖をエネルギーに変えられないので、エネルギーにするための糖を欲しがる。
喉も渇くので、結果、甘い飲み物を欲しがる、
悪循環が始まる。

糖をエネルギーに変える働きが無くなるので、生命活動が鈍る。
でも身体は頑張るんだ、生きようとする。
糖の代わりに別のものをエネルギーに変えようとする。
それは肉体そのもので、だから体重が突然減る。
どんどん痩せていって、やがて死ぬ。
ケトアシドーシス、と呼ばれる。
高血糖が続くと、ケトアシドーシスを起こし、動くのもやっとで、頭も回らないし、大抵倒れて救急車のお世話になるらしい。

わたしは、ラッキーだったと思う。
初診の血糖値は500近かった。
体重が、2日前くらいから急に落ちはじめた。
これらの事を踏まえると、おそらくケトアシドーシスを起こしはじめていたのではないだろうか。
もし、金曜日の朝にクリニックに行っていなかったら。
土日は仕事も休みで、たぶん保護猫カフェに掃除のボランティアに行っていた。
もしかしたらそこで倒れていたかもしれない。
それならまだいい方だ。
一人暮らしなので、自宅で倒れてたらと思うとゾッとする。
本当に、ラッキーだったと思う。

自分で血糖値をはかる、そしてインスリンを打つ

入院6日目にして、とうとう自分で穿刺をして血糖値をはかる日が訪れた。

①測定機械にセンサーを取り付ける
②アルコール綿で指先を消毒する
③乾いたら穿刺器具で指先にバチンッ!
④指先に圧を込めて血を出してセンサーにつける

測定結果を専用のノートに記入して、次はインスリンの自己注射。
今までは看護師さんが二の腕に打ってくれていたが、自分で打つ時は、お腹だ。
慣れたら二の腕や太ももなど、打ちやすいところを自分で模索したらよいという話だった。

お腹。
お腹に、自分で、針を刺す。
こんな経験、初めだ。
想像してほしい。
お腹に、針を刺す。
服の裾をまくりお腹を出して、インスリン注射を手に持った。
お腹に針を向けたところで、私の頭の中の人が、言った。

おいおい、お腹に針だと?
針ってもう刃物みたいなもんじゃない?
もはやこれは切腹!!!

切腹。だと?
切腹…なの?!
切腹だわコレ!!

頭の中では完全にこれは切腹と言うことになり、すごく怖くなってしまった。
5分くらい注射を持ったまま躊躇し、
あー!もうだめだ!さよならみんな!うえこは!切腹!します!!!
と、勢いよく打ったら、
なんも
大したこと無くて呆気なかった。
なんだったんださっきの恐怖は。
切腹って(笑)
いやほんと、おっかなかったよー

そんな血糖値測定とインスリン自己注射を終えると、昼過ぎに旭川の、別の友人がお見舞いにきてくれた。
ちょうどこの時期に、大好きなマスキングテープの限定イベントか札幌のチカホで行われていて、それに行くついでのお見舞いだ。
いや、お見舞いのついでのイベント参加なのか?
わたしもそのイベント、すごく楽しみにしていたので、入院で行けなくなってガッカリンコだったのだが、
友人はイベントの限定マステを買ってきてくれたりした。

自己注射で怖い目に遭ったが、可愛いマステを目にして心に潤いとゆとりがもたされることになったのだ。

この日の糖尿病教室では、低血糖について学んだのだが。
低血糖。
これは、糖尿病とは切っても切り離せない、とても気を付けないといけないことなので、しっかり学んだ。
次の記事でちょっとまとめたいと思う。

栄養指導

この日、糖尿病教室の後に、個別栄養指導が行われた。
個室で行われる。
退院後の、生活に合わせた食事を考えていくと言うような内容で、
血糖値の急上昇、急降下をなるべく起こさないようにするための食事のアドバイスなどがあった。
炭水化物が糖になる、それを遅らせることが出来る方法があるのだ。
それこそが、食物繊維、野菜だ。
炭水化物を食べる前に、食物繊維を食べる。
すると胃で、食物繊維はまず、ねばねばの状態になると言う。
そんな状態の胃に炭水化物が入ってくると、ねばねばの食物繊維に引っ掛かり、消化を遅らせるのだ。
そのため、糖としての吸収が遅れ、高血糖を防ぐことが出来る。

わーお。

これが退院から2年半経つ今の私の食生活に、根付いている。

次は快適入院生活を目指した事を書こうかなあ~
ちなみに入院6日目の朝の体重は47kg
初日43kg。
めっちゃ増えてる。

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