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カウンセラーの基本姿勢のポイント

 カウンセラーの基本姿勢として、どの講座でも必ず教わるのが『受容・共感・自己一致』だと思います。カウンセラーの資格をお持ちの皆さんはご存知ですよね。しかし、カウンセリングの際に、毎回これが完璧にできていると言える方がどの位いらっしゃるでしょうか。

【受容】
相手を受け入れることですが、そこには“無条件の肯定的配慮”が大前提となります。相手がどのような人物であろうと、行動や言動が気に入らなくても、評価したり区別することなく、ありのままを受け入れることです。

【共感】
クライエントさんの感情を、あたかも自分が感じているかのように理解し、クライエントさんの体験している世界を共有する作業です。時にはクライエントさん以上に気持ちを理解することで、クライエントさんの感情が動き、自然と思考が展開していく場合もあるくらい、共感には力があります。

【自己一致】
カウンセラー自身が嘘偽りのない態度であることです。表面的な見せかけのお世辞や慰めは、クライエントさんに一瞬で見破られ、信頼関係が崩壊してカウンセリングが破綻します。相談を聴きながらカウンセラー自身がどのような気持ちになっているか、そこで気付いた自分の至らない部分からも目を逸らすことなく向き合える強さが求められます。

 この3点全てをフル装備した状態で、カウンセリングの頭から終わりまで、クライエントさんの話に全集中して傾聴します。
これが意外と膨大なエネルギーを要します。
もちろんはじめのうちは出来ません。自転車の乗り始めのように、左に行きたくても右に寄ってしまったり、こっちを気にしていたらあっちがおざなりになってしまったり、おもちゃのロボットのようなぎこちない自分に情けなくなりますが、経験を積む中で意識しなくても自然とスイッチが入るようになっていきますので、諦めることなく辛抱強くトレーニングしていくことが必要です。  

 とはいえ、目的地も分からずに走り続けていれば疲れて嫌になるだけですので、どこを目指していけばいいのか、ポイントのようなものがあります。それは、クライエントさんになりきり、クライエントさんの見ている、感じている世界を隅々までリアルに想像することです。そして、頭の後ろの方だけは自分を残しておいて客観的な視点を保っておく、という感じでしょうか。感性と理性を同時に働かせるのです。  

 感受性や想像力を鍛えるには映画やドラマなどの映像作品で登場人物になりきってみるのがおすすめです。同じ作品でも見るたびに違う人物になりきってみると、色々な見方が学べます。 
 論理的思考を鍛えるなら、推理小説ですね。活字を脳内で映像に変換しながら結末に向けてあらゆる可能性を探る作業を繰り返し練習してみてください。  

 人によって、感性の鋭い方、論理的思考が得意な方とそれぞれあるかと思います。一度に全部をやろうとすると分からなくなってしまうので、まずは自分の特性を知るところから始めてみてください。どんなに大きな問題も、分解して小分けにすれば、1つ1つが小さくなるので、取り組みやすくなります。この考え方は、カウンセリングや自分自身が問題に直面したときにも活用できますので、ぜひ覚えておかれるといいかと思います。

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