論破王が論破されたと喜ぶ人のもの悲しさ
“論破王”ひろゆき氏が、立憲民主党所属の米山隆一衆議院議員により論破されたと話題になっています。世間のニュースに疎い私としては、阪神タイガースが38年ぶりに日本一に輝いたのと同じくらいの盛り上がりを感じています。
番組の配信以降もXなどでそれぞれに応戦が続き、一般の方のコメントなどでも、ここぞとばかりにひろゆき氏に牙をむく聴衆が噴出しています。ReHacQ−リハック−という番組はビジネス動画メディアということではありますが、いわゆる『プロレス』であるというのが私の認識です。ひろゆき氏は制作側の求めるヒール役を全うしておられ、誰にでも簡単にできる仕事ではないため、絶対王者陥落とここまで世論を賑わせることができるのは凄いな、と一視聴者として楽しませていただきました。
米山議員も、今回の出演を機にメディアに連日取り上げられ、ご自身のセルフプロデュースが望む方向に動いておられるようで何よりですよね。
米山議員が何度も仰られているように、過ちは誰でもあります。過去にどのような失敗をしようと、何度だって再起できる社会であって欲しいと思いますし、反省し成長していくことに人としての生きる意味がある、と私も思います。公職にありながら売春をしていたという過去は消えませんし、恐らくどのような功績を残されたとしても消えないレッテルを背負って生きていかれるのであろうと想像します。そういう意味において、ご自身の人生脚本に翻弄されながらもくじけずに奮起され、政治の世界で国民のために尽力すべく奮闘されるお姿に感銘を受けると同時に、ご自身の望む場所までたどり着き、多くの方に勇気を与える存在になっていただければと願います。
相手を組み敷いて“勝ち”の構図にしたかっただけでは?
さて、番組を拝見した一視聴者としての私の感想ですが、「議論になっていないのではないか……?」でした。ひろゆき氏の知識が乏しいと揚げ足を取り、論点をずらしているのはむしろ米山議員だったのではないでしょうか。私も保険制度には詳しくありませんが、米山議員の思案が実現したとしても、それで劇的に私たちの生活が改善されるという具体的なイメージをするのは簡単ではありません。大掛かりな政策で大変革を起こそうとされているのであろうことは伝わってきました。しかし、高齢者ドライバーの事故抑制のため免許返納を推奨されながら、車で行ける範囲に病院を、と言われたら混乱する高齢者は多いはずです。そういった一般感覚からの投げかけをひろゆき氏がしてくれたにもかかわらず、「知識もないくせにくだらないこと言いやがって」「お前のやり方は間違ってる」と上から抑えつけて自分の土俵で話を進めようとする強い大人の姿、皆さんもどこかで見たことありますよね。10代の思春期の頃に親や教師に対して感じた憤りを思い出された方も多かったのではないでしょうか。
米山議員は非常に知性が高く、熱心に学んでおられる勤勉な方なのだとお見受けしました。今回ご説明された政策はきっとこれまでにない画期的なものなのでしょう。それにより我々の生活がビビッドに変化するかは……ですが、それはさておき、有権者の声を代弁する一般人代表のひろゆき氏からの投げかけにより米山氏の方がCPが上がり反応していたのは明らかですし、「何も知らないくせに」「私はあなたが嫌い」というコメントはそのまま一般の有権者に向けられたものなのだと私は解釈しました。この方は有権者のことをそういうふうに見ているのか、と。
ひろゆき氏がインフルエンサーだから一般人ではないという定義ではなく、少なくともあの番組で彼に求められる役割は、視聴者が知りたいことを引き出す担当、なのですから。単に政策が垂れ流され、政治家の表の顔を視聴したいわけではないので、場外乱闘にまで発展させ世間を賑わわせたというのは、番組の制作者もひろゆき氏もプロフェッショナルの一言に尽きると思いました。
報道から番組を見る機会をいただけたこと、米山議員の政策やプロレス愛好家の多さを知れたことは大変有難く、私にとっては新しい世界でした。よろしければ皆さんもぜひご覧いただき、どう感じ何を思うのか、考えるきっかけにしていただけたらと思います。
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