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博多駅前ストーカー刺殺事件の加害者インタビュー動画を見てたら悲しくなってきた。事件についての考察と、今後やりたいこと

私は博多に住んでいます。
先月の16日に、うちから徒歩15分の博多駅前にて、女性が刺殺されるという事件がありました。
ちょうどその頃副業の関係で事件現場から徒歩2分程度の場所におり、「女性が人通りも多いところで刺殺された」「犯人は逃走中」という情報しか入ってこなかったため、
「人を殺したばかりの人間が近所を彷徨いているんだ」と、すごく怖かった覚えがあります。
夜に街を歩いていて、電柱や建物の影に人がぽつんと立っていただけでビビり散らかしたり。
次第に、「もともとトラブルになっていた女性を狙った事件だ」「ストーカー殺人だ」という情報が小出しにされていって、通り魔や快楽殺人者ではないことがだんだん分かってきたため、不謹慎ではありますが、次第に「この事件は自分とは無関係だ」「自分が狙われることはおそらくない」と安心してきて、この事件を俯瞰的に見るようになりました。
すぐに犯人も逮捕され、しばらくは犯人の人相や挙動について、ネットではお祭りが続いていたように思います。
恥ずかしながら、私も犯人の顔を見て、「なんかポケモンのビリリダマに似てるなあ」と思ってツイートした記憶があります。

事件現場をよく通っていたのですが、しばらくは献花が絶えなかったのを見て、「ああ、本当に事件現場ってこんな感じになるんだ」としみじみ思っていました。

先日、「事件から1ヶ月」という導入で、福岡の放送局TNCが、現在留置所にいる加害者男性を取材した動画がYouTubeに配信されていました。

この動画を見て、なんだか悲しくなってきました。
最初は何が悲しいのかはっきりしなかったのですが、ある程度いろいろ考えてみて、ここに言語化してみたいと思います。

※この記事では、「加害者男性:寺内被告がインタビューで話したことに嘘はない」という前提で考えています。話の内容や男性の態度からして、あまり嘘はなさそうだと判断しました。

動画の概要

被害者女性:川野さんと加害者男性:寺内被告の出会い

寺内被告は大阪府出身。2021年から、福岡・中洲の飲食店グループにてアルバイトをしていました。
声が太く明るい強面のイケメン。私の彼への印象です。ムードメーカーになれて、男女からモテそうな感じでした。
川野さんとは、同じ飲食店グループで働いていたのが、交際のきっかけだったそうです。
川野さんは初対面のときから寺内被告を「イケメン」だと気に入っており、寺内被告からすぐに交際を申し込んで付き合うことになったようです。
しかし、その飲食店グループでは、従業員同士の交際は禁止。発覚した場合、男性側から罰金をオーナーに支払わなければならないルールだったようで、2人は隠れて交際していたようです。

ストーカー扱いから、本当のストーカーになってしまうまで。周りに守られる被害者女性と、周りから追い詰められる加害者男性

交際から半年が経った2022年10月。
寺内被告が酔って川野さんと喧嘩になり、被告の酒癖の悪さに嫌気がさしていた川野さんは、一方的に別れを告げたそうです。
その後、川野さんが警察署に「別れようと言ったのに聞いてくれない」と相談をして、寺内被告は警察から警告をされてしまいます。
これがきっかけで、寺内被告は川野さんとの交際をオーナーに知られてしまい、100万円を支払うことになりました。

一方的に川野さん側から接近を拒否された上に、オーナーには100万円を支払うことになってしまった寺内被告。
警察からの警告を無視し、川野さんの職場に変装をしておしかけます。
これは復縁を迫るというよりは、一方的にストーカー扱いされた上に罰金まで1人で背負うことになったことへの不満を川野さんにぶつけたかったのが動機でした。
しかし、変装をして会社に押しかけたのはストーカー行為だったと、寺内被告は振り返ります。
寺内被告は、「ストーカー扱いした上に交際を表沙汰にされ、100万円の罰金を背負わされたことを謝れ」と川野さんに要求しました。
しかし、川野さんからの反応は冷たいものでした。
「うちは関係ないよ。国家権力や国民のみんなが守ってくれるからね」と言い放つ川野さんに、寺内被告は「そういうことを言うんやな」と思ったそうです。
オーナーも川野さんに同調し、「近寄るな」「連絡もするな」と冷たい態度を取ります。
警察からは、ストーカー規制法に基づいて、川野さんへのつきまとい禁止命令を寺内被告につきつけました。

事件当日。口論の末、気づけば…

寺内被告は、川野さんに対して「嫌いと、イラつきと、怒りと、全てが混じっていた」と話しています。
そんな状況の中、被告は事件現場にて偶然川野さんと再会します。
怒りの思いで川野さんに近づいた被告は口論に発展しますが、運の悪いことに、その日被告のカバンの中には包丁が入っていたそうです。
なぜ包丁があったのか?
被告には、街でトラブルになっていた相手が存在し、その相手からの襲撃に備えて、2022年9月から、常にカバンに刃物を忍ばせていたそうです。
川野さんからは「警察」「警察」と言われ、周りからも「ストーカー」だと罵られ、寺内被告の辛い思いや状況に対して謝罪の言葉すらない…
川野さんの態度にも腹が立って…
「出会う場所とタイミング、向こうの言い分とか全てが積み重なった。今までのことが走馬灯のようになって、記憶飛ぶくらいに刺した」と、寺内被告は語ります。
事件のときは怒りが爆発して頭が真っ白になって、気づけば地面に倒れる川野さんの後頭部が見えたそうです。
逃走中は自殺を考えていた、と被告は語っていました。

事件から1ヶ月。苦しみ続ける加害者男性

1/18に被告は逮捕され、その日はちょうど川野さんの誕生日だったそうです。
それを聞いた寺内被告は、思わず涙を流したと語ります。

記者「事件について後悔は?」
被告「もちろんありますよ、後悔。あいつの幸せを奪ってしまった」
記者「時間を戻したい?」
被告「戻したいですよ。その気持ちがあるから寝れないんやないですか。俺は叩かれてもいいんですよ。俺は。死刑やったら死刑でいいんですよ。まさか俺がストーカー事件を起こすとは思わなかった。ストーカー事件を起こして捕まった人の気持ちが今はわかる」

【独自】博多ストーカー殺人 元交際相手の男「記憶飛ぶくらい刺した」「死刑でいいんです」 TNC記者が接見 / (TNC報道ワイド「記者のチカラ」 2023年2月17日

現在、留置所に勾留されている寺内被告。
夢に川野さんが出てきて、夜中に飛び起きて川野さんの名前を叫ぶこともあるようです。
今も事件がフラッシュバックして眠れず、寝ても夜中の3時か4時に目覚めてしまう。今は睡眠導入剤を飲んでいるそうです。

動画を見て思ったこと

この動画を見て、なんとも後味の悪い思いが込み上げてきました。
思ったことを、何点かまとめてみたいと思います。
動画で話されていることを信じた上での考えなので、どうしても寺内被告に寄り添った内容になってしまいますが、ご了承ください。

最初からストーカーだったのか?ストーカーにされてしまったのではないか?

川野さんが警察署に「別れようと言ったのに聞いてくれない」と相談していたとき、被告はストーカー行為をしていたのか?
その後に寺内被告が川野さんの職場に変装して訪れたことに対して、寺内被告は「あれはストーカー行為だった」と自覚しています。つまり、ある程度寺内被告は自分の行為がストーカー行為かどうか、俯瞰して見れるのです。
しかし、川野さんが最初に警察に相談した時に、寺内被告がどんなストーカー行為をしたのかは語られていません。
「なんでだよ」「納得できない」という思いで、別れ話が拗れてしまっただけなのかもしれない。それなのに、勝手に警察に相談されてストーカー扱いを受ける。完全に自分が悪者として扱われる。
寺内被告は、本当に最初からストーカーだったのか?周囲からストーカー扱いされた結果、モンスターになってしまったのではないか?と私は思います。

男側のみに課せられたペナルティ

従業員同士の交際は、男性側に罰金100万円。この事件で一番納得いかない部分です。
解雇ならわかる。なぜ罰金?しかも、100万は法外だと思います。なにか大きな損害を与えたわけでもない。それに、なぜオーナーに?なぜ、男性だけがペナルティを背負う必要があるの?
その仕組み自体が納得できない上に、もともと共犯だった川野さんからなんのフォローも謝罪もないのであれば、そりゃあ怒りも溜まりますね。

四面楚歌

この動画からわかる部分にしか言及できないので実際はどうだったのかはわかりませんが、寺内被告には全然味方がいなかったように見えます。
川野さん周りは完全に川野さんの味方。オーナーも完全に川野さん寄り。
おまけに、同時期街でトラブルになった相手が襲撃してくる恐れがあり、刃物を持ち歩かなければ安心できないような状況。
私、副業で中洲の夜の街界隈に出入りすることがあるので、敵に回すと洒落にならない人々が存在することはなんとなく知っています。
トラブル相手の襲撃に怯えるだけでもストレスの大きさは計り知れません。そこに、周囲からのストーカー扱いが加わってしまう。もし私がその状況に置かれたら、完全に壊れてしまうと思います。

記者に対しては異様に饒舌だった

被告は、記者からの質問に対して、想定以上に前のめりで答えていたようです。
「こういう気持ちだったんですか?」と質問すると、すぐ被せてくるように「です!です!」と答えて。
今まで人と話せていなかった分、何か自分の気持ちを伝えたいと前のめりになっている印象だったそうです。

私、「人と話せない」っていうことは逮捕前から続いていたんじゃないかなあと思います。
川野さんとのトラブルについて、親身になって聞いてくれていた人、いなかったんじゃないかな。
「話聞こうか?」って親身になってくれる人、無条件で味方になってくれる人。そんな人が必要だったんじゃないかな…と。
そういう人がいないために壊れてしまった人、被告以外にもたくさんいると思うんです。
特に男性は、そういう孤独や不満やストレスを全部独りで抱え込んでしまう人が多いと言います。
その副作用は、自殺や事件や事故で、いつかは誰かの身に降りかかってくるものだと思っています。
もし、事件前の寺内被告に出会えるなら、なんとか味方になってあげたいな。

孤独に生きる男性にとって、決して他人事ではない

この事件についての動画を見て。
単なる猟奇殺人・自分勝手な殺人ではなく、現代に生きる孤独な男性の身に深く関わってくる事件だと感じました。
突きつけられた孤独や周りからの冷たい態度によって、人は簡単に壊れてしまうし、壊れた場合の影響は計り知れない。
報道直後は、寺内被告の人格についてTwitterや掲示板では批判したり茶化したりする声が多く見られました。
結構な強面で、雰囲気も所作もヤカラっぽいのが災いしてしまったのでしょうか。特に、オラついた感じの写真が一番出回っていたので、その印象にニュースを見た方々は引っ張られてしまったのだと思います。
しかし、動画で本人の語る内容を聞いて、内面は我々と大差ないんだということがなんとなくわかりました。
決して、もともとクズ人間だったヤカラが、いつかは何かやらかすと思ってたら本当にやってしまった…みたいな事件ではないのです。
ネットでは、「こういう救いようのないクズが元々いて、それを社会から隔離する方法がないから被害者が出る」みたいな論を展開する人がいますが、私は違うと思います。

彼には何が必要だったのか

やはり、話を聞いてくれる人や、味方でいてくれる人が必要だったのではないかと思います。
100万の罰金を課されてしまった寺内被告に対して「元気出せよ」とご飯を奢ってくれる人。2時間でも3時間でも、川野さんに対する恨み言や悪口を聞いてくれたり、ある程度は同調してくれたりする人。「オーナーに罰金」というシステムに疑問を持って、抗議してくれる人。トラブル相手からの襲撃を怖がる寺内被告と、一緒に外で歩いてくれる人。遊びに連れ出してくれる人。代わりに、川野さんに対して「ちょっと酷いんじゃないか」と抗議してくれる人。
そういう人が多ければ多いほど、寺内被告は事件のトリガーから遠ざかって行ったんじゃないかな。

私がもし事件前の寺内被告と親しかったら、この記事で紹介した施設に連れて行ってあげたいかも。

まとめ・今後やってみたいこと

この記事では、過剰なまでに寺内被告に寄り添って、彼の起こした事件は他人事ではないんだということをまとめてみました。感情がこもっているので、乱筆乱文失礼いたしました。
文章の書き方とか勉強しても、感情が絡むとダメですね。
寺内被告がやってしまったことは、確かに最低な犯罪ですが…こういう追い詰められた背景があったんだってことも弁護士からちゃんと主張してもらって、更生に向けた適切な刑罰が下されると嬉しいです。
服役を終えて刑務所から出た時も、また孤独や四面楚歌な状況が起こらないよう…周りからサポートがあるといいな。

今後やってみたいことなんですけど、彼のように追い詰められたり四面楚歌になったりで壊れてしまう人間が出ないような活動をしてみたいですね。
今年の春から始めてみたいなと思っています。

今のどうしようもない状況を吐き出したい人ってたくさんいると思うんですけど、そういう人たちの吐き出したい思いを受け止める…みたいな。

今でもいのちの電話やカウンセラーがあるんだろうけど…。
いのちの電話はなかな繋がらなかったり、やりたい人がいてもハードルがべらぼうに高いから常に人手不足だそうです。
カウンセラーに関しては、相談したい場合は有料のものがほとんどな上に、値段がめちゃ高い。30分1万とかもザラ。風俗なみ。
私も「誰かに相談したい」って思ってググって見た時、「悩み聞いてもらうにもこんなに金がいるのか」って、病みが加速した記憶があります。
まあ、カウンセラーにも資格があって、適切な対応ができる分値段が上がってしまうのは当然だと思うんですけどね。

私が考えているのは、いのちの電話やカウンセラーのように心理的に適切なアプローチをしたり、さとしたりするようなものではなく、ただ話を聞いて味方でいてくれる友達のような存在。
相手が怒っていた場合は一緒に怒って、泣いていた場合は同情してあげる。
アドバイスはあまりしないしできない。でも、とにかく味方でいるよっていう安心感を与えられる存在。
同じようなことを考えている人って結構いるらしく、ココナラなんかではそれに似たことをしている人が多いみたいです。
私も、近いうちやってみようかなって思います。ココナラでやる場合はシステムの関係上有料だろうけど、
近くに住んでいたり、DMが来たり、スタエフで声をかけてくれたりしたような人に関しては無料で対応したいな。
孤独な人が多い現代社会、孤独な人たち同士、味方同士でいられるような雰囲気にしたいですね。

#この春チャレンジしたいこと

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