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束の間の平日休み

15時。昼寝をしてしまった、と気づいた。

今日は社会人になり何度目かの平日休みである。
そして、今日は予定がなく、朝6時ごろに目覚め、「職場に行かなくては」と焦ったが、そもそも休日だったことに気づき、安堵し、スマホで動画を見ながらダラダラと過ごし、続きのアニメを見てみたり、12時ごろになり、あまりの袋麺を食う。
そして、すぐに食べ終わり、ベットでゴロゴロしながらアニメの続きを見ていると眠気が襲ってきて....

気づいたらもう15時だった。

貴重な休日に何をしているんだ、と少し自責した。

それから、せっかくの休日を「良い休日だった」と言えるような理由探しを始め、近くのスイーツを探したり、そもそも外に出るのもめんどくさくなったりして、結局17時ごろに溜まったプラごみを近くのスーパーのリサイクルボックスに入れるついでに今まで行けなかった駅周辺のカフェと惣菜屋さんに行くことにした。

かれこれそのお店は7年くらい通学、通勤で横を通るが行ったことがなかった。

社会人となり収入にも余裕が出て、平日休みとなり、土日休みの友人と予定が合わないことが多くなり、1人行動が多くなったこともあり、いくことを決心した。

入店してみると僕と、1人客のおばあさんしかいなかった。
前から思っていたが、大繁盛するような喫茶店ではなかった。
しかし、僕はこの物静かな雰囲気が好みだ。

店側もオーナーとバイトの女性しかおらず、店員さんもまた物静かな方だった。

僕の仕事も接客業なので、職業柄、飲食店の接客を見てしまい、品定めしているような気分をどうにかしたい。

助手?の女性の方は割と若い方で、私と同年代くらいに感じた。レトロな喫茶店で働く人のイメージはもっと歳上の人が多いと思った。

僕はチーズの上に目玉焼きが乗ったトーストとチーズケーキセットを頼んだ。が、店員さんも働き始めなのか、緊張しているのか、トーストセットと、ケーキとコーヒーの注文になってしまった。

しかし、先ほども言ったが、僕は接客業なのでとても緊張する気持ちもわかり、何なら自分が店員の立場の時、よく緊張するし、間違えてしまうので、「人間だし間違えることもある」とそのままの注文でお願いした。

僕が勤務中に間違えたら、僕は怒られる。

この1ヶ月でお客さんにも、上司にも怒られている。叱られていると言った方が良いだろうか。

もちろん、同じミスをしないように叱ってくれる人がいることはとても素晴らしいことだが、僕はその女性店員に、「オーダーミスをしている」と言えなかった。

この1ヶ月僕が接客を学んで得られたことは少ない。というのも僕の記憶力が悪いからだ。

しかし、僕は、休日やプライベートで行く飲食店の接客をいちいち評価することだけでなく、「お客様は神様」という考えがとてつもない気持ち悪い考えだと感じた。

もちろん、飲食店の常識や社会人としてのマナー、社員としての責任を持たない行動は非難されて当然だと思っているし、叱られるのも当然だ。

しかし、僕と同じかは分からないが、もし人と接するのが苦手で、それでも頑張って接客してくれていたなら許そうと思った。

この、接客を見定めてしまう職業病は僕にとってとても厄介でありながら、接客の大変さを知るものとなった。

お店側が最高のおもてなしを提供する努力を行うのはもちろんだが、お客側もお店の雰囲気を大切にしようとするようになればいいなと思った。


もう日が落ち始めた。

僕は貴重な休日の大半を寝て過ごしたが、今まで行けなかったお店と触れ、体感することができた。この新しいものに触れた時の喜びは毎回大きいのだ。

ずっと気になっていて行きたいと思っていたお店にやっと行けたのは、片思いの時の告白と似ているような気がするかと思ったが、違うかもしれない。

「良い休日」になった。

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