夢と記憶

高校の体育祭か何かに遅刻する夢を見た。

学校までの道のりがわからず、慌ててタクシーを呼ぶと
「私も遅刻だから乗せて」
と言って女の子が車内に入ってきた。
その子は何故か、私が小学生の頃の同級生だった。

小学五年の秋頃に、突然学校に来なくなった女の子。
その子の不登校の事情を知る同級生は一人もいなかったし、先生は「転校した」とも「病気になった」とも言わず、まるでその子が最初からいなかったかの様に振る舞っていた。
結局卒業するまでその子は学校に現れず、数年後、私は親から
「そういえばxxちゃんっていたじゃない? お父さんが逮捕されて引っ越した子……」
と、あっさり真相を聞かされた。

そんな子と、夢の中のタクシーに乗っている。
ちらりと様子を伺うと、笑いながらこっちを見ている。
顔つきも服装も全部、小学生のまま見た目が止まっている彼女。
普段はもっとデタラメなのに、こういうところだけはしっかりしているんだな、と夢を恨めしく思ったのは、私の中で二度と成長しないであろう彼女を見て、少し悲しくなったからだ。

微妙な気持ちで目が覚めた。

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