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【開催レポート】中四国エリア 庁内デジタル人材育成 情報交換会

ベネッセは、2023年12月15日に「中四国エリア 庁内デジタル人材育成 情報交換会」を開催しました。
当社が人材育成支援を行う7自治体にご参加いただき、担当者間で自治体ごとの取り組みや課題について意見交換を行うものです。
今回はその開催レポートをお送りします!


情報交換会開催の背景

全国の自治体において、庁内のデジタル人材の育成に関する取り組みが非常に活発になっています。
しかし、まだまだDXにおける人材育成の定義や進め方に課題を感じている自治体も多いのではないでしょうか。
そのような中で、自治体同士が横のつながりを持ちながら、「自治体らしい人材育成の形」を模索することが求められると考えています。

ベネッセでは、2023年に発足した「全国自治体リスキリングネットワーク」をはじめ、自治体担当者同士が横のつながりを持てる場や先進自治体の知見の共有ができる場を提供するべく、定期的にイベントを開催しています。

そこで今回は、中四国エリアの自治体間で取り組みや課題を共有する場として、オンラインにて「庁内デジタル人材育成 情報交換会」を開催しました。

参加いただいた自治体

岡山県・岡山市・広島市・島根県・山口県・香川県・高知県の皆さま

【情報共有】デジタル人材育成計画と現在の取組みについて

今回ご参加いただいた7自治体の皆さまから、デジタル人材育成計画とその取組状況についてお話いただきました。

【情報共有の内容】
・DX推進計画
・DX人材育成計画の概要
・研修対象者の設定の仕方
・具体的な研修内容 など

すでに具体的な人材育成計画を策定し、研修を実施している自治体もあれば、現在計画中という自治体もあり、取組状況は様々でした。

計画が動き出している自治体では、研修の対象者を役職者・中堅職員・一般職員とデジタル推進関連部署の職員などで区分し、それぞれの業務で必要なスキルが身につけられるような工夫を重ねている点が非常に印象的でした。

また研修の実施方法についても、オンラインと集合型のハイブリッド形式をはじめ、ワークショップや実技を含めた形式など、柔軟な方法で学びの場を提供している自治体が多くありました。
加えて、研修の成果の一つであるITパスポートなどの資格取得について、受験料の補助を実施する例も共有いただきました。

Udemy Businessを活用したオンライン学習を実践しているいくつかの自治体では、受講者向けの推奨講座一覧を共有したり、通勤中も耳だけで受講できる「耳活におすすめの講座」を設定したりしている事例も共有いただきました。
中には、Udemy Business受講前後で「ITへの知識が深まった」「デジタルに対する抵抗が減った」と答えた職員が大幅に増加した事例もありました。

これからデジタル人材育成計画を策定する自治体にとっても、今回の事例共有はとても参考になる内容だったのではないでしょうか。
先進事例を聞いた自治体からは、「デジタル人材とは何か、職員の階層ごとに求められるデジタルスキルは何なのかをしっかり定義し、年度ごとにブラッシュアップしつつ育成を継続したい」というコメントをいただき、今後に向けた意気込みが感じられました。

【ディスカッション①】人材育成計画・人事部門との連携について

デジタル人材育成に取り組むうえで、「人事部門との連携」を課題に挙げる自治体はとても多いです。
ディスカッション①では以下のテーマで対話を行いました。

【ディスカッション①の論点】

  • 人事部門が作成する人材育成基本計画と、デジタル人材育成方針をどのように連動させている?

  • デジタル人材育成の研修受講歴をどうやって人事部門へ情報共有している?

  • 人事異動や人材評価への反映はどのように取り組んでいる?

人事部門との情報共有、研修の担当範囲のすみわけ、人事制度とのつながりの構築という点では、多くの自治体から「課題意識がある」というお話が挙がりました。

徐々に人事部門との連携を始めているところや、デジタル関連の研修履歴をどこまで人事評価に反映するか調整中の自治体など、取組状況はさまざまですが、関心度の高いテーマということもあり非常に活発な議論が交わされました。

人事部門と連携してデジタル人材を効果的に育成し、研修受講に前向きな職員がしっかりと評価される状態を作るために、今後も制度設計を整えたいという参加者の皆さまの前向きな姿勢が印象的でした。

【ディスカッション②】デジタル人材育成にて期待される成果・KPI

デジタル人材育成を通して職員の成長を促し、研修などで学んだ知見が現場で活かされるためには、人材育成の成果計測とKPI設定が不可欠です。
ディスカッション②では以下のテーマで対話を行いました。

【ディスカッション②の論点】

  • 研修によって職員の知識がどの程度定着したのかをどう測る?

  • 意識の変容や、現場での実行度合いの見える化はどうしている?

  • デジタル人材育成がIT資格の取得につながった数値などは計測している?

次年度以降もデジタル人材育成に継続して取り組み、庁内での予算確保と意義を浸透させるうえで、効果の測定・検証・見える化は避けられません。
このテーマについても頭を悩ませる自治体担当者はとても多いのではないでしょうか。

デジタル人材育成は学ぶことが目的ではなく、デジタルの知識が現場で活き、県民や市民サービスに還元されてこそ意味があります。
KPIを設定したいが、受講時間を厳しく管理しすぎてしまうと受講者の学ぶ意欲が下がってしまう可能性もあり、とても難しい課題です。

参加者の皆さまからは、すでに受講者アンケートで意識の変容について数値化を試みている例や、業務への活用度合いを把握できるように努めたいとする声も聞かれました。

今回の情報交換の場が、課題解決への新たなヒントとなったり、デジタル人材育成の実施と効果測定の道筋を整えるアイデアにつながるなど、前向きな議論の場になりました。

さいごに

それぞれの自治体でデジタル人材育成の取組が進む中、「他の自治体はこの課題をどう乗り越えているのだろう?」「先進的に進めている自治体の例をぜひ聞きたい」という自治体の皆さまからの声を多くいただきます。

ベネッセでは、今後も全国の自治体同士が定期的に情報交換・交流できる場を設けてまいります。担当者同士の横のつながりをきっかけに、それぞれの県や市町村でやりとりをして活発な情報共有が生まれれば大変嬉しく思います。今後もぜひ多くの皆さまのご参加をお待ちしています。