見出し画像

休職していた時の話

休職期間中、当たり前だけど仕事はお休み。
仕事で上司に怒られることもないし、仕事で嫌な思いをすることもない。
それまでゴールデンウイークや年末年始はおろか、3連休すらろくにとれなかった事を思うと、突然休職期間に入ったところで何をしていいのかわからない。いや、何もできなかった。
そもそも精神疾患が原因で休職に追いやられているので、何かしようという気になれない。どれくらいかは覚えていないけれど、休職期間に入ってしばらくは、寝て起きて何かを食べて、時々散歩に行って、帰ってきてまた寝る。といった暮らしだった。

休職期間中は国から傷病手当金が支給され、それまで会社からもらっていた給与の3分の2が保障されていたので、無給ではなかった。
とはいえ、元々生活に余裕があったわけではなかったので、休職期間に入ってからも、妻には働いてもらっていた。
休職期間に入り、社宅に住んでいられなくなったため、妻の実家に移住(?)することになった。
そこでも妻には働いてもらっていた。特にすることもなかったので、料理や掃除、洗濯などの家事は基本的にやらせてもらっていた。たまに「なんで全部やらないといけないのか」と思った時もあったが、今考えてみるとこの家事が自己肯定感を整えてくれて、病気の療養につながっていたのだと思う。
もっとも、四六時中家事をしていたわけではないので、空いた時間で散歩に行ったり、読書をしたり、映画を見たり、おばあちゃんとコーヒーを飲んだりとそれなりに好きなことをしていた。

結局、休職期間は8か月にも及んだ。
8か月間という期間の療養が必要だったわけではなく、精神科の先生が融通を利かせてくれて、傷病手当金に必要な書類を作成し続けてくれたこともあって、これだけ休むことができた。
その気になればもっと長い間休むことができたが、妻の実家にこれ以上迷惑をかけるわけにもいかなかったし、十分療養させていただいたので復職することにした。

幸い、前職の経験を活かすことができる職場が見つかり、特に苦労することもなく転職することができた。
ほぼ何もしていない休職期間だったが、いろんな意味でかけがえのない時間を過ごすことができ、今後の人生においても大事な経験となった。

仕事をしていた時は、「自分が休むと周りに迷惑がかかるから」と休職なんていう選択肢は全くなかったが、幸か不幸か休まざるを得なくなり、結果として人生が好転するきっかけとなった。

あの時、苦しくて仕方なかったけど、振り返ってみると意味のある出来事だったことを思うと、今つらいこともきっと意味のある事なんだろうなと思う。いや、今は今でつらいからそうは簡単に思えないけれど。

自分は自分。何かに縛られず、周りにいる人、傍にいてくれている人に感謝し、今を生きよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?