井上 聡 ── 沖縄・読谷村で拾った“スポークン・ワーズ”
“この沖縄そばをぜひ、みんなに食べてもらいたくて(笑)”
「この沖縄そばをぜひ、みんなに食べてもらいたくて(笑)。やちむん(焼き物)や琉球ガラスのお店もあるから、観光客が楽しみながら地元作家たちの作品に触れられる、大切な接点になっていると思う」
“単に『好き』でもいい。エコでありエゴでもある”
「食品といえば、デンマークはオーガクニック食品でも世界をリードしているんだ。日本は認証こそ厳しいけど、水へのこだわりなんかを見ても、メンタリティーはオーガニック食品と相性がいいと思う。地球のためというよりも自分のためのこととして、もっと広まるといい。単に『好き』でもいい。エコでありエゴでもある」
“居心地の良さを奪い合うんじゃなく、共有する”
「リゾートホテルのビーチって、普通は宿泊客以外お断りだよね。でもここはそうじゃない。この岩陰で子どもたちが生き物を探したり、大人たちはビールを飲んだり……僕の家族も大好きなところ。居心地の良さを奪い合うんじゃなく、共有する。こんな場所がもっと増えていったらいいのにね」
“作家たちと地域の住民、観光客のちょうどいい関係こそ、みんなで守るべき知恵だと思う”
「人間国宝の陶芸家が共同の窯を作ったのがきっかけで、この里ができたんだ。ここなら観光客に煩わされずに制作に集中できるし、煙を気にせず窯焼きができる。作家たちと地域の住民、観光客のちょうどいい関係こそ、みんなで守るべき知恵だと思う。デンマークで働いていた父親もガラス職人だったから、そのことも思い出すんだ」
“何事も反対するのが一番簡単だけど、僕は新しい道を考えていきたい”
「最初は戸惑ったけれど、『米軍基地の跡地に何が建つのかな?』とか、街を見つめる視点が広くなった気がする。車社会、教育から環境の問題まで、何事も反対するのが一番簡単だけど、僕は新しい道を考えていきたい。それこそが自分のやるべきことだと信じているから」
“デンマーク人にとっては、政治はただのツールなんだ”
「政治のこともよく考える。地域によっては支持政党がアイデンティティになってしまっているよね。親の世代から何党だ、とか。でもデンマーク人にとっては、政治はただのツールなんだ。支持政党は時期と内容と、求める生活によって変わってもいい。だからパパとママで政党が違っても、喧嘩にならない。あくまでツールだから。道具では喧嘩しないでしょ」
“お互いを尊重する姿勢を遊びながら身に付ける。これ以上に大切なことは他にないんじゃない?”
「その日の遊び方から無人島キャンプの計画まで、子どもたちが自分で決めて行動する。本当に楽しそうだよね! 背景の違う子どもたち同士が、お互いを尊重する姿勢を遊びながら身に付けていく。未来を考える上で、これ以上に大切なことは他にないんじゃない?」
“沖縄で人の縁がどんどんつながって、リスペクトし合える仲間に恵まれた”
「デンマークにいた子どもの頃は白人たちと違う自分の顔が嫌いだったけれど、今は自然なままの僕でいられる。ここのオーナーをはじめ、沖縄で人の縁がどんどんつながって、リスペクトし合える仲間に恵まれた。今の暮らしにとって、それこそが何よりの宝物だね」
沖縄リサーチ取材:2023. 1/20〜21