見出し画像

【企業再生マネジメント】読んでみたまとめ①

なかなか上手く行っていない事業を棚卸ししよう、というプロジェクトがきっかけでこちらの本を勧めていただき読んだけど、
総合的には事業判断や改善の視点というか思考ポイントがわかったので大変為になりました。しかもどんな事業にも当てはまるのがお得ポイント!!笑
ビジネスパーソンなら読んで損しない本だと思う。(ちょっと古めの本だけどね!)

★本はコチラ(アマゾンへのリンク)
https://amzn.to/3DdYkeD

■内容
物語は「我社が沈む。あなたならどうする?」ってインパクトのある文章から始まる、、、、でもホントにこの仮説立てながら考えてかないと結構視野広めの「事業どうする論」ができない思考性になっちゃうな。と改めて思った。

はじめに・・・・(設定があってその問題解決のお話の進みと一緒に示唆があるタイプの本)売上2,500憶、3年連続赤字、そこの社長が主人公の設定。

赤字続きの会社、なんとか対処が急がれるその週明けの役員会議。
それぞれの役員から意見が出る。
・赤字対策の方法:どの役員の意見を採用するか?(①~⑥、ちなみに本の中では口語で長めに理由と一緒に書いてある)
①コストリストラ
②ITシステム強化
③★キャッシュフロー改善
④売上伸ばす、販促上げる
⑤★資産の処理
⑥投資
⇒早速問題がでてきたけど、この意見マジで会議で出てそうな話ですごく想像つきやすいのと、その判断の中で”借入金2,000億に対して自己資本400億”とか具体的な数字が出てくるのでバラバラなファイナンス系知識のおさらいみたいになって個人的には助かった。「あー自己資本比率17%はやべえな」とか「金利高いから経常利益出ないよね」とか数字聞いてパッと出てこないと考えられないもん・・・・・
⇒こちらのお答えは、★がついてる③と⑤です。
 初心者すぎて①もあげちゃいましたが、カットしちゃいけないところカットすると下がる一方ですもんね・・。沈没する会社が中開いたらやってたことあるあるでよく記事などで見てた気がする。

にしてもコストはフリーキャッシュフロー分しか使っちゃだめ、ってことは絶対!
・フリーキャッシュフロー:税引き後営業利益+減価償却費‐運転資本の増分-活動維持のための設備投資

そうこうしてるうちに、不採算事業の整理なんかもリアルに迫ってるから、MBO(マネジメント・バイアウト)の話なんかもがっつり出てくる。
・マネジメント・バイアウト
 参考 https://bizhint.jp/keyword/160036
マネジメント・バイアウト(MBO)とは、M&Aのひとつで、オーナー経営者や会社経営陣、従業員が参加する自社企業の株式買収を指す経営関連用語です。銀行や投資ファンドからの融資・出資によって、資金調達を行い、自社の事業部門、もしくは全てを買収し、独立した経営権を手にする手法を指します。

整理の方法は下記ももちろん検討の中に入ってきます。
・民事再生、私的整理、会社更生法
私的整理は債権者(銀行)の合意が前提。その分債務カットは少ない。
法的整理に関しては法的決定のスピードでは民事再生法が有利。
また会社更生法では経営者の交代が条件。

ただ、ここらへんのリカバーや整理って日本の企業はすごく苦手で、あわあわしてるうちに倒産・・ってのが多い気がする。(と作者も言っていて、下記のリバイバル元年に続く)

リバイバル=死にかけの人間に例えて、緊急度によって蘇生や輸血や手術してかなきゃいけないよね、という「やり方」と「方法」がフェーズ×時系列で描かれていきます。ファクトベースで淡々と具体的に書かれているので個人的には超わかりやすく、腑に落ちる内容でした。

<第1章:日本経済リバイバル元年>
・リバイバルマネジメント対象(こんな感じで「死に度」をざっくり分けられるんじゃない?って一覧。もちろん番号が小さいほど死にそうなやつ)
[リバイバル戦略/施策]
①破綻・実質破綻  「デイトレス・クリーニング」/精算・解散・法的整理
②破綻懸念     「ワークアウト」/私的整理・法的整理・事業分割・事業売却
③要管理      「ターンアラウンド」/私的整理・会社分割・事業再編
読ん要注意     「リバイタライゼーション」/事業ポートフォリオ変更・オペレーティング改善
⑤正常

・米国のリスクマネー還流
不良債権処理⇒破綻企業再生⇒停滞企業再生⇒次世代産業育成

・4つの貢献要素
リスクマネーの存在、リバイバル・オーガナイザーの存在、再生を請け負う専門家集団(ワークアウト・スペシャリスト、ターンアラウンド・スペシャリスト)、プロフェッショナル経営者の流動性

・日本に欠けているもの
リスクマネーの欠如、新陳代謝ルールの欠如、リバイバル経営能力の欠如


<第2章:リバイバル・マネジメントの基礎>
・目的:シェアホルダーよりもステークホルダーの為に
 ⇒株主、顧客、調達先、銀行、従業員

・手段:全ての知識を動員しながら走る
 ⇒ファイナンス、戦略、オペレーション、組織、法務・行政
  ファイナンス-キャッシュフロー・マネジメント、アセット・リストラクチャリング、EVA、CVA

  戦略-選択と集中、合従連衡戦略

・範囲:診断から手術、そしてリハビリまで
 ⇒緊急診断、緊急止血手術と腫瘍除去手術、本格外科手術、形成手術、人工心肺・移植手術、蘇生手術、リハビリテーション

  緊急止血手術と腫瘍除去手術-キャッシュフローを改善する施策の中で、3ヵ月~6ヵ月の間にかなりのキャッシュフローを創出でき、実行も容易なものに絞り込んで実行する。

  対象は①プライシング②ストラテジック・ソーシング③ヒューマン・リソース・リストラクチャリング④ワーキング・キャピタル・マネジメント+アセット・リストラクチャリング

・リバイバルマネジメントのプロセス
★「もう手術は必要ない、回復期に入るだけ」に持っていくことが大事(いつまでも手術を続け、長期にわたって出口のないリストラ漬けにしないこと)
 ⇒その一歩は「勝ちパターン」を確立すること

★ギアチェンジを行うことが大事
手術段階はトップダウン、リハビリ段階はボトムアップで従業員参加型スタイルが効果的

①緊急診断
テーマ:危険度診断、再生可能性診断
作業:(検査)キャッシュフロー分析、返済能力評価、時価バランスシート、ROIC Tree分析、事業価値分析
アウトプット:(診断)再生か死か、処方箋

②緊急止血手術と腫瘍除去手術
テーマ:短期キャッシュフロー確保、アセット・リストラ、有利子負債圧縮作業:(キャッシュフロー)プライシング、ストラテジック・ソーシング、ヒューマン・リソース・ストラクチャリング、ラーキング・キャピタル・マネジメント

(アセット・リストラ)売却、証券化、リース

③本格外科手術
 テーマ:事業ポートフォリオ再構築、機能アウトソーシング、バリューチェーン・リアラインメント
 作業:(事業評価)EVA、CVA、戦略ポートフォリオ
   (再構築)売却、合併、IPO、スピンオフ、MBO
   (アウトソーシング)システム、バックオフィス
   (バリューチェーン)整合性、バリューシフト
 アウトプット:コア事業集中、ノンコア価値破壊事業売却、アウトソーシング実施、ビジネスプロセスの改編

④形成手術
 テーマ:過剰供給、過当競争解除、産業の再編
 作業:ROICv Tree分析、再編シミュレーション
 アウトプット:産業再編

⑤リハビリテーション
 テーマ:オペレーショナル・エクセレンシー、成長戦略、マネジメント・スタイル・ギアチェンジ
 作業:(オペレーショナル・エクセレンシー)キーププロセスのベストプラクティス、トレーニング
   (成長戦略)ミニ成長ビジネス、M&A
   (ギアチェンジ)コマンド&コントロールから参加型へ
 アウトプット:価値パターンの確保、成長戦略の開始、マネジメントの交代

⑥人工心肺・移植手術(②~④の間)
 テーマ:私的整理
 作業:グッド事業vsバッド事業、リストラ再建計画、債務免除、他人資本スポンサー導入
 アウトプット:私的整理による再建

⑦蘇生手術(②~④の間)
 テーマ:法的整理(会社更生法、民事再生法)
 作業:法的ルールの下で再生計画、プリパッケージ倒産、新スポンサーへの売却
 アウトプット:法的整理による再生(大半は事業のスポンサーへの売却)


<第3章:緊急検査と再生・再建可能性の診断>
ここも死にそうな人間に例えつつ、まずは「どんな状態か」診断することが必要である、とのことから始まる。
[検査項目]
・キャッシュフロー分析
・自己資本比率/担保保全措置/返済期間指標
・純資産時価評価
・ROIC Tree分析
・事業別簡易経済価値分析
→緊急検査で診断しなければいけないのは、
 ①企業活動を存続させるための必要な投資を行い、有利子負債を返済できるか、キャッシュフローを確保できるか
 ②もし、いまその資金が不足していた場合、銀行借入れや社債を発行し充填できる体力を持っているか

[判断項目]
・維持する体力:借入金返済と最低限の設備維持費があるキャッシュフローか
・キャッシュフロー不足分の充填できる借り入れ余力があるか
・時価ベースでBSは債務超過に陥ってないか?
・何が原因で危機に陥ったのか?(構造的or一時的?)
・どの事業が問題なのか?(一部?全部?)



めちゃくちゃ長くなってしまいそうなので、ひとまず4章まで・・・!
「やばい死にそうだけどその場合どんなことやるの?」
→全体的にゴールはこんなこと
→その何やるかの判断するためにこれが必要
ってところまで。この次に、上記の緊急検査の結果から具体的に対処すること、が続きます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?