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【書評46】センスは知識からはじまる 水野学 (著)

センスを身につけたい。。

誰しも一度は思ったことがあるのではないだろうか。

センスのある人といえば、元メジャーリーガーのイチローさんや大谷翔平選手、アップルのスティーブ・ジョブズ氏などがパッと思いつく。

彼らに共通しているのは仕事で圧倒的に結果を残していること。
自分が手の届かないような人たちを「センスのある人」と一言で片付けているのかもしれない。

センスのある人って言うのは褒め言葉でもあるけど、自分への言い訳にも使える言葉だ。

「あの人は天才だから」と「あの人はセンスのある人だから」は思考停止してしまう言葉でもある。
なぜなら、結果を出している人の行動とか継続とかに目を向けられていないから。
結果を出す人はみんな圧倒的努力とか継続とかをしてきているから成功しているだけだ。

本書のタイトルは「センスは知識から始まる」。
センスは、持って生まれたものじゃないんだと伝わってきた。

WEBライターとして、成果を出したいと言うのが今の目標。
そのために本書を読めば、かなり参考になるだろうと思った。



筆者紹介


水野/学
クリエイティブディレクター。good design company 代表取締役。慶應義塾大学特別招聘准教授。1972年東京都生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、1998年にgood design company設立。美しいだけでなく「本当に売れるデザイン」に重点を置き、ブランドづくりの根本からロゴ、商品企画、パッケージ、インテリアデザイン、コンサルティングまで、トータルにディレクションを行う

内容


本書ではクリエイティブディレクターとして活躍する筆者が、センスとはなんなのかや、センスの身につけ方を教えてくれる。

「センスは生まれつきのもの」「センスは身につかないんじゃないか」「自分はセンスが悪い」「センスを身につけたい」

こんなふうに思っている人に役に立つ本。

アイデアとは、生まれながらのセンスによるとんでもないひらめきから誕生するのではない、と筆者はいう。
筆者のアウトプットだけを見ると、「どうやってこんなの思いつくんだ?」と思う。

しかし、実際は地道で普通のインプットを繰り返したり徹底的に考え抜いたりした末に、考えが生まれ出ているという。

センスとは特別な人だけが持っているものではない。だから、やるべきことをやって時間をかければ誰でも手に入るとか。


本書の構成は下記の通り。

Part1 センスとは何かを定義する
Part2 「センスのよさ」が、スキルとして求められている時代
Part3 「センス」とは 「知識」からはじまる
Part4 「センス」で、仕事を最適化する
Part5 「センス」を磨き、仕事力を向上させる
Epilogue 「センス」はすでに、あなたの中にある


part1でセンスとはなんなのかを教えてくれる。

センスとは、数値化出来ない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力のことだという。

例えば、おしゃれは数値化出来ないが、その時代や個性、季節などに合わせて最適化すれば「センスがいい」といわれる。


part2では、センスの良さが時代によって求められてきたことを解説してくれる。

これからの時代は、どんな職種にもセンスは必要になるという。

例えば、世界一のパン職人が作っているパンでも、見た目が虫の形をしていたり安っぽいビニール袋に入れて渡されたりするのでは、味も美味しく感じられない。

事務職などでも、会議資料や企画書などがまとまっていて読みやすいかどうかで優秀かどうか判断される。

上記のように、味や中身が一緒でも、見え方一つで相手の心に響くかどうかが決まってしまう。

見え方のコントロールとは、ブランドを高めることだと筆者は言う。
そのブランド力を高められることが、センスの良さ。

センスを磨くには、あらゆる事に気が付く几帳面さや、人が気づかない点に気づける観察力が必要。


part3では、センスは知識から始まることを教えてくれる。

イノベーションは知識と知識の掛け合わせだと筆者は言う。

世の中にもうあるAと、自分が知っているBを組み合わせて新たにCを作るということ。
これを高い打率で出来るのが優秀なクリエイターなんだとか。

つまり、アイデアとは既存の知識から生まれるということ。

今まで全くなかったものをポーンと市場に出しても、人からは見向きもされない可能性が高い。


part4では、センスで仕事を最適化出来ることを教えてくれる。

流行っているものだからセンスがいいとは言い切れない。
流行の服でも、サイズ感や個性が着てる人に合わないと「センスがいい」とはいわれない。

効率よく知識を増やすコツは3つある。
・王道から
・流行を知る
・共通項を探る

王道のものは、その過程でムダなものが省かれたり改良されたりした結果、確立されている。
だから、王道のものはすでに最適化されていると言える。
王道のものを知ることで、同じジャンルで製品を最適化するときの参考になる。

王道を知ったら、流行を知ること。
最も効率がいいのは雑誌だという。

筆者は毎月男性誌、女性誌、ライフスタイル誌など何十冊も目を通すという。
時代は常に変化していて、定番商品があっという間に変わる場合があるから。
こうして知識をアップデートすることがセンスアップにつながる。


共通項を探るとは、分析や解釈をすることで自分の中に落とし込むということ。
その知識を生かしてアウトプットすると、人からセンスが良いといわれるようになる。


part5では、センスの磨き方を教えてくれる。

センスを磨く上で注意したいのが、好き嫌いで物事を見ることだという。
なぜなら、客観情報の真逆にあるものだから。

仕事をすすめる上で大切なのは、自分の好き嫌いではない。
「誰が、どんな時に、どんな場所で使うものなのか」を考えること。

センスを最適化する時に最も大切な考え方。

そして、センスを磨く方法は知識を蓄える事、客観的になることだとか。

不勉強と思い込みがセンスアップの邪魔になる。
思い込みを外すトレーニングとして効果的なのは、いつもと違うことをする。

例えば、靴下を履く順番を変える、通勤路を変える、読む雑誌のジャンルや本を変えるなど。
行ったことがない店ややったことがないことにチャレンジするのも効果的。


心に残ったところ


センスがいい商品を作るには、「普通」という感覚がことのほか大切です。

普通を得るには、知識を得ることだと筆者は言う。

文章を書く場合、あいうえおしか知らない人間と、「あ」から「ん」まで知っている人間では、わかりやすい文章や喜ばれる文章をかけるのはどちらか明確だ。

だから、普通の感覚を得るためにとにかくインプットすることだなと思った。

本、気になるお店や場所、人との会話など。
どんなことでも貪欲に取り組むことからしか、普通の感覚は得られないんだなと。
そして、普通の感覚がないとセンスがいい商品は作れない。


多くの人が冒険せずにガラパゴス島に閉じこもっているのは、おそらく怖いのではなく面倒だからでしょう

おっしゃるとおりだ。
自分の中に閉じこもっていると自分の世界は広がらない。

なんで閉じこもっているかというと、言い訳はいろいろ思いつくが、新しい行動をするのが面倒なだけなんだ。

勉強、ダイエット、早起き、読書などとくらべて、へやでダラダラしているのはよほど楽だ。

SNSやYou Tubeを見ていれば楽しいし、時間も過ぎる。
苦しい思いをしたり悩んだりすることは少ないだろう。

よく考えるとわかるが、今のままだとドンドン差がつくことに気付かされる。
優秀な人ほど毎日勉強しているし、仕事で成果を上げて経験値も積んでいる。
数年単位で見ると差は大きく広がるだろうから、そんな人達と対等に渡り合えるわけがないなと思った。

冒険しないのは確かに安全かもしれない。
だけど、もっと大きなリスクを抱える可能性があることは覚えておきたい。


まとめ



センスに関して考える貴重な機会だった。

センスは生まれ持ったものではないから、磨けば大丈夫だと分かったことが最も大きな学びだった。

取り立てて才能があると思えない自分でも、磨き続ければ「センス」っていう一見漠然としてるものでも身につけられる。

そう思うと、わかりやすく書く技術なんてのも磨き続ければ身につくと言えるだろう。

人と話す、本を読む、色んな所へ行ってみる、、
インプットする方法は様々。

一日で身につくものではない。
だったら、諦めず磨き続けるのみ。

筆者に感謝。


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