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自由の女神像の足はどうなっている?

アメリカ合衆国の独立100周年記念と米仏両国の友好を祝うため、フランスからアメリカに贈られたのが、この自由の女神像です。知らない人はまずいないと思いますが、彼女の足がどうなっているか知っている人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

数々の映画に登場する自由の女神像ですが、私は「ゴッドファーザーPARTⅡ」に出てくる自由の女神がもっとも印象に残っていますが、映画の話題は置いておきましょう。


❶ 自由の女神の足元には、何かがあった

自由の女神の両足は、揃えて直立不動で立っているのでしょうか、それとも仁王立ちのように両足を広げているのでしょうか?

彼女の足の長さは762cmだそうですが、この情報も本題に関係ないですね。

彼女の足がどうなっているか、現地に行って見てみると下の写真のようになっています。右足ははっきり見えますが、左足がよく見えません。

では、左足はどうなっているのでしょうか。


彼女の真後ろに来ると、右足はどうもサンダルのような物を履いているようですが、左足はまだよく見えません。

正面で遠目にみると、左足が確認できます。左足の部分を拡大してみましょう。地についていて踏み出すところに見えますが、その右側に鎖のようなものが見えます。彼女は鎖に繋がれているのでしょうか?

台座の上部分に見学者は上がることができます
台座からは近すぎて、ほとんど見えません

色々と調べてみると、左の足元にはちぎれた鎖があり、その鎖を踏みつけているのです。自由の女神は束縛の鎖を引きちぎって、まさに一歩踏み出すところだったのです。

これはとても象徴的ですね。様々な抑圧や奴隷制から解放されて前進しようという瞬間を捉えているので、自由を求めて前進しようとするアメリカ合衆国という国家を象徴していると考えられます。

さらに、右足の前には外れた足かせがあり、左足の前にある鎖と繋がっていると思われます。この足かせも鎖のことも普通に観光していると、気づかないですね。ヘリコプター観光やドローン撮影をすればわかりますが、世界各地から訪れる観光客のほとんどは、自由の女神の足元にある、踏み付けられた足かせと鎖は見ずに帰ることになります。

自由の女神像が、自由や米国そのものの象徴であることは知っていますが、実は、まさに今解放されて自由という大きな世界に踏み出そうとしている瞬間を捉えてるのです。

だから、「ゴッドファーザーPARTⅡ」で幼いコルレオーネが移民として米国へ入国する直前のシーンで、この自由の女神像が出てくるのは、まさにビッタリなのですね。



❷ 自由の女神像を製作した人物バルトルディとは、どんな人?

では、製作者のフレデリック・オーギュスト・バルトルディ(1834〜1904)とはどんな人物か調べてみましょう。彼の生まれ故郷フランス アルザス地方の中心的な町コルマール(Colmar)に行ってみました。

コルマールには、彼の歩んだ人生の記録や作品を展示してある博物館があります。

街には、いわゆる木組みの家(=木骨造り:もっこつ造り)が立ち並ぶ一画に、バルトルディ博物館はひっそりとありました。ありきたりの表現ですが、童話の世界に入り込んだような街並みです。

コルマールの街はいつも観光客で賑わっています
博物館の隣のレストランのテーブルが広がっています
バルトルディ博物館の入口
手前には、彼の作品“Les grands Soutiens du monde“のブロンズ像
「世界を支える偉大なものたち」

彼はこの裕福な家に1834年に生まれ、美術学校で学んだのち彫刻家として活動を始めた。
「自由の女神像」を発案したのは、歴史家エドゥアール・ド・ラブライエで、フランスとアメリカ両国市民の寄付で建造しようと提案しました。この大きなプロジェクトの指揮を任されたのが、当時新進気鋭の彫刻家のバルトルディでした。31歳だったそうです。これで彼の名は歴史に残ることになったのです。

しかし、自由の女神像の建造にあたっては、数々の難題が立ちはだかっていました。「プロジェクトX」のような彼の自由の女神の建造物語は、また別のnoteで書こうと思っています。

東京のお台場に自由の女神像があるのは一般に知られていますが、フランスには数カ所に自由の女神が建っています。実はコルマールにも自由の女神があったのです。コルマールに行くまで私は知りませんでした。それも意外な場所でした。

ヨーロッパによくある、いわゆるラウンドアバウト(roundabout)式のロータリーの真ん中にありました。知らないで運転しているとびっくりするドライバーも多いことでしょう。

もっと意外な場所に自由の女神像があるかも知れませんね。客寄せのためのマガイ物は除いて、こんな場所に建っていましたという情報があったらお知らせください。

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