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「ALONE 孤独のサバイバー」で真の強さを考える【ヒストリーチャンネル】

ドーモ、今日はヒストリーチャンネルとかいう歴史専門チャンネルでやっているカウチポテトにうってつけなサバイバルリアリティショー「ALONE 孤独のサバイバー」の話をする。なお、最新シーズン3がヒストリーチャンネルで放送中だ。

追記:Amazon Prime VideoでEP1が視聴可能です。

明日から孤独になったらどうするか考えといて

この番組は10人くらいのサバイバル志願者を募って「最後の一人になるまで自給自足で孤独なサバイバル」を強制するという番組だ。特徴的なのは撮影スタッフが同行せず志願者自身が撮影機材を担いでオモシロ映像を撮影する義務が課せられているという点だ。志願者はオーディションの時点で撮影機器の扱いに習熟しており、むしろ撮影が得意な志願者が有利という採用基準もある。サバイバル期間中はカメラマンとも他の参加者とも接触することのない孤独の世界が待っているが彼らは優勝賞金目当てに参加しているため総じて士気が高く最後の一人となるまで戦い抜く決意だ。

過酷なオーディションを経てサバイバーとして採用された彼らは孤独な生活の準備を開始する。規定された量のサバイバルグッズを彼らは準備する。防水ターフにナイフに手斧。忘れちゃいけない火打石(ファイヤスターター)。魚を獲るなら釣り針や網が必要だ。グリズリーには?猟銃!ピューマ対策に猟犬!縄張りを荒らすパーリーピーポーはゴリラの着ぐるみで脅かす!!14インチブラウン管とタクティクスオウガ!!あ、スーファミも……!!

ダメダメ、そんなに何でもかんでも持っていけない。限られた制限(持ち込みは10アイテムまで)の中で取捨選択するところからサバイバルは始まっているのだ。そして志願者は一年中「明日から無人島で生活する」ことだけを考えているのでそこに迷いはない。彼らは専門家であり決して一般人が真似してはいけない。

過酷すぎる環境と戦え

サバイバル試練場は南国の無人島ではない。アラスカに近い海岸線や南米の山岳地帯が舞台だ。降水量が多くジメジメしている。濡れた衣類で生活するとやがて訪れる冬の前に低体温で死ぬ。キャンプ地の選定を見誤れば一瞬にして水浸しになり死ぬ。海岸線で足を滑らせれば死ぬ。サバイバルとは死なないことであり過酷なキャンプ地では人はあっけなく簡単すぎる死を迎える。

また、過酷な土地での生活では、当然ながら大型肉食獣(ピューマやグリズリーやまおうおばば)が出現することを考慮しなくてはいけない。危険なモンスターの縄張りからは離れたいところだが、その縄張りには豊富な餌場があるという魅力との裏返しだ。サバイバーの判断が問われる。

孤独は貴重な資産?

時はまさに世紀末。スマーフォンとSNSによって人類は電子的な共同体に隷属させられている。そんな時代だからこそあえてデジタルピューリタンな旅をして「孤独は貴重な資産」とか言い出すライフハック人間(インタビューで土器をこねる)は孤独を甘く見ている。あえてじゃない文字通りの孤独がここにはある。

バリボーは救ってくれない

強すぎる意思と硬すぎる決意はリタイアを早める諸刃の剣となる。
人間は何かの目標のために行動している間は強いが、新しい家族のために賞金を得ようと強い決意で臨んだ志願者が悪天候で行動をやめた途端に虚無の暗黒に襲われその場でリタイアしたこともある。逆に楽観的にキャンプの住環境リフォームや将棋盤を作りエンジョイ勢として朗らかな表情を見せたサバイバーがやりきった顔でリタイアすることもある。本当の強さとは......孤独とは......。虚無の暗黒が挑戦者を待つ。話し相手はいない。ここにはウィルソンはいない。バリボーは救ってくれない。

自撮りを甘く見るな

サバイバル生活は撮影行為との両輪で行われる。
トレ高が低いサバイバーは恐らく何らかの処分が下されるので志願者はそれぞれ創意工夫を凝らした映像を送ってくる。山を登る姿を俯瞰とあおりで。ボートの舳先につけたGoProで水面を征く。目前に迫った肉食獣の眼光転落事故誤って斧で手を切っちゃった光景凍った海へ転覆するボート、こういったファウンドフッテージ風の残酷描写が続くがカメラマンはいないので助けてくれない。孤独は危険だ。(※緊急ヘルプボタンがあるのでヤバいときは救護班が駆け付けるぞ!)

強さという弱さもある

シーズン2で特に印象に残っているエピソードがある。

高いカラテを持つ参加者が己の暴力衝動を抑えるためにサバイバル生活へ参加するが何日目かの夜間にグリズリーの影に怯えてテントへ逃げ込むことになる。そこで彼女が体験したのは(このクマなら殴り倒せる)という暴力への逃避であった。彼女は己を恥じこの日にゲームを降りた。

なんて悲しいんだ。その強さゆえに勝利できないとは……!!

というわけで、真の強さとは何なのかを考えながら予想のできない「ALONE 孤独のサバイバー」でみんなもワオワオしようね。

『ALONE~孤独のサバイバー~S3』https://www.historychannel.co.jp/detail.php?p_id=01324

S3完結後の感想



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