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【NOTEで読める】オススメの読み切り短編小説

よく来たな。
Noteで読める小説の中でもかなりグッとくる着眼点の読み切り中短編を紹介するよ。物語の要素として #人が死ぬ けど、それを含めて真摯に対応している作品たちだ。

『継母の連れ子がスヌープ・ドッグだった』

「父の再婚相手の連れ子と同じ屋根の下でドキドキ共同生活」という舞台設定を理解しやすく感情移入も容易な「お前の遺伝子が知っている物語」の定番フォーマットだ。

もし、その連れ子がハッパのジョイントをマキマキするスヌープドッグだとしたら?

お前の遺伝子に流れるラブコメ因子が迷走神経を発して、ありとあらゆる定番シチュエーションをCOOLなラッパーが上書きしていくことだろう。

帰宅直後の風呂場で鉢合わせる。着替え中に鉢合わせる。エプロンで手料理を振る舞われる。父と母は旅行に出て帰ってこない夜。台風と停電。触れ合う指先、スヌープドッグと。クラスで冷やかされたり委員長の機嫌が悪くなったり、副委員長のメガネが光ったり、いろんな部活の助っ人で活躍したりする、スヌープドッグが。

(実際にスヌープドッグはマーサスチュワートと料理番組とかをやっているので生活力が高い)

『シェイドウォーカーズ(個人の感想です)』

定番の呪術的サイバーパンクの世界観に「それはもしかしてただの思い込みかもしれない」というスパイスを振りかけた極上の逸品。

定型的な仕事人フォーマットに挟み込まれる(現代人が見れば)膝から崩れ落ちるようなしょうもない迷信の数々に笑いが漏れるが、後半の「迷信を根拠に実行される善意の殺戮」が明らかにされるにつれ観る者の笑顔を引きつらせる強烈な風刺を放つ。(これって我々の世界の話なのでは?)

正統派アクションと不確かな迷信が交差するクライマックスのアクション、そして決め台詞の見事さは記憶に残るであろう最高のエンターテイメントとなっている。

『あと一秒でも残業したら俺は過労死してしまう』

美しい夜景は過労死ラインでできている。
視覚化された「過労死ライン」がどんどん迫ってくるというシチュエーションホラー。彼らに対しては過労死ライン以外にも業務の締め切りや「残業制限時間」等のありとあらゆる社会的しがらみが襲い掛かってくる。それらを回避しながら業務を進めるも、やがて事態はすでにオフィスビル全体に広がっていたことが判明する終盤の展開は、超絶ホラーです。すごく怖い。

これはサラリーマン的な業務以外にも普遍的な恐怖概念でありヒューマンビーイングにはぜひ鑑賞してほしい作品です。何もしてないのに事態が悪化する流れや気が付いたら真綿で首を絞められるように逃れられない(茹でカエル状態)になっている状態は胃がひりひりする絶妙な演出です。

ラストシーン、私にはゆっくりと迫ってくる過労死ラインがうっすらと見えていました。「イット・フォローズ」だこわいよ。

いじょうです。

小説関係はなかなか手を出しにくいのでみんなも教えて欲しい。そして、もうすぐ「逆噴射小説大賞2019」が開幕する。

インクトーバーがはじまる……!

#Note感想文 #小説 #コンテンツ会議 #過労死ライン #スヌープドッグ #疑似科学 #キャッスルドラン



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