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【ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル】は20年くらいスーファミとかの話ばかりをしているお前らを肯定する応援歌だ。

『ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル』を劇場で鑑賞してきました。ぜひ劇場へ見に行ってほしいんですが、個人的に中盤くらいから理由もわからず号泣してしまい、いまだに理由がわかりません。感想を書いていけばわかるかな? 試してみよう。(必然的にちょっと深めにストーリーへ言及します)

(注意)本記事の後半部分は鑑賞済みの方か20年くらいプレステとかの話ばかりしてるお前を燃やすための小枝を集めた記事です。

Filmarks上に鑑賞直後に書いた感想はこちら。

ゲームシステムについてのプレイヤーレビューはこちら。

ジュマンジの復讐

物語は前回のエンディング場面から始まる。砂に埋もれたボードゲームを拾い持ち帰ったものの「ボードゲームなんてダッセーよなー。帰ってプレステやろうぜー」的なあんまりな扱いを受けジュマンジは放置されてしまう。

ここで私は怒り爆発ですよ。お前らボードゲームなめんな。大人数でプレイしたらこんなに楽しいゲームはないんだよ?相手の表情とか偶然が生むアクシデントとか奇跡のプレイングとか……そういった「体験」はなかなか代え難いものがあるんだよ!やい、ジュマンジ! そんなプレステ野郎は 無理やり引きずり込んでしまえ!!

ところがそんなアナログゲームファンの切なる声をふりきり、ビデオゲームへ姿を変え生まれ変わってしまうジュマンジ。大丈夫か? しかし、新ジュマンジはその不安を良い意味で裏切っていくのです。

ピープルズサブカルクソ野郎 爆誕!

ロック様ことドウェイン・ジョンソンの演技力がやばい。主人公ことスペンサーくんのサブカルクソナードの表情や動作を嫌味なく演じきっている。どこでその演技の引き出しを身につけたの?ヴィン様に習った? とにかく、彼に備わった肉体的説得力とあふれだすフェロモンは劇場の熱狂と爆笑をかっさらっていった。すさまじいカリスマ性の強さは、ドウェイン・ジョンソンがロック様の演技をしていると考えればどれだけヤバイかわかるだろう。吹き替え版でもナードとフェロモン太郎モードの切り替えが絶妙で最高すぎる

このロック様は中身がナードなので「これがゲームである」と認識するのがはやく順調にシステムへ適応していく。スペンサーは「残機はリソース」や「リスポーン利用のデスルーラ」等の非情な判断を下す近代ゲーマーだし、パッシブスキルの(あふれだすフェロモン)に困惑したり自身のアバターのたくましさに惚れ惚れしたりゲームアルアルを一手に引き受ける。君もウルティマオンラインとかで自分のアバターや衣装がカワイイと思ったことがあるだろう?

とにかく彼は最後まで最高の筋肉アバターとしての役目を果たした。肉体の強弱に関わらず自信を持って行動することの意味を知ったスペンサーくんは最後の戦いに向かう。

フレフレフリッジ、お前がナンバーワンだ。 

一方、元親友のフリッジは「ネズミ男」のアバターを選んでしまい苦悩する。
それまで自身が身につけた身体能力や体格を失い、わけもわからず動物に詳しいだけのクソナードになってしまう。そんな中で彼は腕力に頼らないクレバーな戦い方を身につけていく。実社会においても本来の彼より腕力の強い奴らはいくらでもいる。仲間と協力し必要ならば命を張って仲間を守り、それでも美味しいところは自分で決めるエゴの強さを持つ。真の意味での強さを手に入れた彼はもっとも伸びたプレイヤーではなかったか。

元々JBの女子力は高い(個人の感想です) 

筆者の知人に『嫁がジャックブラックに似てきた』というボヤく人物がいたため、比較的スムーズに女性化を受け止めることができました。元々JBは女子力たけぇーなーと思っていたのでギャップ萌えすることもなく(え?みんなJBに萌えてなかったの?)くらいの気持ちで応援してたわけですが軽々しく想像を超えてくるJBにひたすら殴られ続けました。予測可能回避不可能。

で、他のレビューでもJBのオモシロばかり注目されてますが中身の彼女の成長ぶりについては眼を見張るものがあります。最も劇的な肉体変化を遂げた彼女は自分以外の人間にも感情や事情があることを知り、学習が身を助け、献身が仲間たちからのソンケイを高めることを知る。やがて外面だけではない「人間」を知っていくことになるんです。それでも彼女自身の芯の強さは変化する前から変わることなく、自身を失わず自己を保つ姿勢が仲間たちを感化して攻略へ導いていくわけです。

新しい自分と本来の自分の両方を肯定して愛する。ウェルカムトゥジャングルのテーマを貫く主人公にふさわしいキャラ立てです。

それを重々しく感じさせない高木渉の吹き替えの見事さよ!クラップトラップ並みに謎の自信と訳のわからないおしゃべりを続けるのでファンにはオススメデスヨ!ハッハーッ!

ジュマンジはほぼプリキュアだから新しい自分にチェンジできる

セクシー冒険家ラウンドハウスに憑依したのはイケてない女子代表のマーサ(おまさ)協調性に乏しく(嫌われる前に距離を取る)自己評価の低い女の子だ。それがアバターに憑依して以降は美形でアクションもこなす露出多めのグレン・ラガンみたいな名前の女優によく似たスタイルに大変身をしてしまう。変化の大きさに動揺を隠せないまま冒険を重ね、かつては雲の上の存在と考え距離を開けていたべサニーとの友情を育んでいく。この《あんまり仲の良くない友達との距離の詰め方》がとても良くてJBことべサニーの良いところをぐんぐん引き立てている。おまさは残念なセクシーさを努力により克服。自信と献身(この授業はなんか意味があるんすか?とか言ってたあの子が!)を身につけてラウンドハウスのぽてんしやるをいかんなく発揮していく。

この成長シークエンスはハートキャッチプリキュア的であり、変身した理想の自分へチェンジすることに成功するも、今までの内向的な自分を切り捨てたりせず、共に「わたし」の側面として立体的に成長していく過程がある。

妖精ファイター、内向的少女、短気なチビ、ボーイッシュ、孤高のセンパイ という組み合わせにも謎の符合を見せるので、ジュマンジはほぼハートキャッチプリキュアだから小さなお友達から大きなお友達までまんべんなく楽しめるぞ。

ここから先は私情がめり込んで放射状に地面が割れています。ややネタバレにならない程度に核心に触れている部分もありますので通行にはご注意ください。

20年間ゲームばっかりやってたヤツ……つまりお前のことだ。

(画像はイメージです)

ジュマンジには隠しキャラが存在している。それが、20年前にゲームへ取り込まれたアレックスだ。彼はジュマンジ世界を生き延び現地時間で数か月間にわたりサヴァイヴを続ける猛者である。しかし、彼はライフを失い、あと一度失敗すれば消滅する生活を安穏としたシェルターで過ごし……モスキートの恐怖におびえながらマルガリータを飲み干しているうちにまどろみ年老いて……やがて死ぬ。昔は簡単に飛べたはずの飛行機乗りとしてのプライドと腕前を錆びつかせ銃の撃ち方を忘れた腰抜けだ。彼は脱出のチャンスを求めながら諦めかけていたがフェロモン太郎達に出会ったことで勇気を振り絞り最後のチャンスにかけることになる。

このキャラクターは20年間の何かが蓄積した存在であり、我々の世代(ファミッ子)メタファーでもある。彼(我々は)は20年前にあんなゲームさえしていなければ、今頃は順風満帆に進学をして就職をして職場でちょっと強気だけど映画の趣味がよい意味で悪いベイブと知り合い、メタルやメタリカとかを流しながら面白い映画よりもおもしろくない映画のマウンティング合戦をしているうちに子供が生まれ、やがて年老いた父親と共に三世代で和やかなホリデーシーズンを過ごす、そんな平凡な生活を送っていたはずだ。そんな失われた20年を象徴するキャラクターだが果たしてそうだろうか?

30年前、20年前、15年前、10年前に僕らが言われた「ピコピコばかりしてるとバカになるぞ」「ゲーム脳で社会不適合者になるぞ」「フローラを選ぶヤツは死んだ方がいい」「せっかくだからって赤い扉を選ぶな」「ポケモンは人生じゃないぞ」「オンラインゲームの向こうに友人なんていない」

そんなことなかったよね? きっとこのレビューを読んでいる人にもいると思うけど、ピコピコしててもおまえはかしこいし、社会にしっかり適合して、最愛の伴侶(デボラ)を得て、人生をARする位置情報ゲームをして、オンラインの向こう側に友人を得た人も多いはずだ。もはやゲームを楽しむことは何かの代償を支払う堕落行為ではなく、人生を豊かにする共に歩むべき友人なのだと思う。アレックスは娯楽で得た経験は人生を豊かにすることを象徴した人物なのだろう。

ジュマンジをクリアしたアレックスはどこかへ消えてしまったが、その経験は必ず人生のプラスになったはずだ。いつか再会できるだろうか。その時は「お前……ベサニーか!?」とか言ってくれるだろうか。

結局、なぜお前は号泣したのか

ゲーム以外のアニメでもマンガでもラノベでもいい。お前の大好きなちょっとバカにされてきたカルチャーは、親から子に受け継がれ新たなブームを巻き起こしている。 ファッションや音楽の30年周期説に加えてゲームの25年周期、サブカル20年周期。シブヤ系はなんか元気だし、お前は今でもガンダムでいく。バ還暦みうらじゅんは3世代のファンを引き付けている。

私はたぶん20年~30年くらいの時間の蓄積に弱い。バーフバリでも25年間という時間の重みを感じるたびにむせび泣いたし、あの放課後居残り倶楽部のあいつらは20年前に行方不明になったアイツを故郷へ返すために団結してその目的を果たした。親子ほどの年齢差とそれを超える友情の尊さが心に沁みたのだろう。

作品全体を貫く全体的な「肯定感」。背中を押して一緒に駆け抜ける気のいいあいつら、不幸な20年を取り戻すために足掻くあいつ。こいつらはオレでありワタシなんだ。

未来へ

全ての冒険が終わり大音量で劇場に鳴り響く「Welcome to the Jungle」。完璧なスタッフロールだ。冒険を振り返りながら珍プレーやチンプレーの数々にすすり泣く。 #グッバイキンタマー!!(えの素) 
テーマ曲は最高潮。フィニッシュは往年の空耳#悦子の母乳だ ! 」で大爆笑。笑わされ泣かされ、また笑わされた最高の劇場体験でした。

劇場を出た後に「泣くとこなんてあった?」と馬鹿にされたけど、ないといえばないし、あると言えば全シーンが涙腺刺激ポイントだね。

この作品は、毎年クリスマスとかに地上波放送をスタッフロールまですることを義務付けたい。未来永劫。(ドンドコドコドコドンドコドコドコ……)

(追記)ゲームマスターのジレンマ

最終局面では、どっちかというゲームマスターとしてのジュマンジ本人に感情移入していた可能性があります。最終的にはクリアしてほしいけど、簡単にはクリアしてほしくない。できれば抜け道を通らず正攻法で、それでいて予想できない機転を利かせて困難をクリアしてほしい。クソゲー扱いせず楽しくゲームを終えて日常へ帰り、また仲間を連れて遊びに来てほしい。

ゲームマスター業務やスーパーマリオメーカーでステージを作ってみたり、パーティーや余興を仕切ったり、子育て中ならセガレに適度な試練を与え続けることの難しさと楽しさがわかると思う。

アバターの職業スキルとプレイヤー自身のスキルを調整したりね。いつの時代もゲームはプレイヤースキルがものをいう。ノープレイヤースキル・ノーゲーム。プレイヤースキルに優れたプレイングは観ていて気持ちいいねー。そして、終盤になると残機カウントを始めてたね。(この残機とスキルだと……あいつらあれを狙っているな!)とかね。なぜかこの点でも号泣ですよ。いったい何に感情移入しているんだ私は。#ジュマンジ期 か。


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