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初見感想『ゴジラマラソン2020』の記録

よくきたな、お望月さんだよ。
2020年に(ツナ缶の神にそそのかされて)開始した『ゴジラマラソン』の記録を振り返ってみようと思います。年末進行で中断していますが、2021年も継続していくのでよろしくお願いします。

お望月さん:社会派トートロジスト。たまにガラスを突き破って編集部に乱入してきては頼んでもいない映画感想文を置いて窓ガラスを突き破って去っていきます。GODZILLAや特撮はほとんど未鑑賞。(シン・ゴジラとファイナルウォーズは見たことがある)

2020年鑑賞作品(13作品)

すでに鑑賞済みの「シン・ゴジラ」「ゴジラ FAINAL WARS」「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」を除いた作品をランダムでシャッフル再生しています。鑑賞順序に意図的な操作はありません。

ゴジラマラソン感想の感想

1. ゴジラ対ヘドラ

1作目。公害が社会問題になっていた時期に作成された社会的メッセージの強いゴジラ作品。主人公は公害が生み出した公害怪獣ヘドラである。
ヘドラは、三段変形をする上に飛行するだけで地域住民を溶かして殺しゴジラすら寄せ付けない恐怖の物体。宇宙からの使者であるという説もあり、宇宙人が地球環境に適応して最大強化されるというのは『宇宙戦争』に対するアンサーであろうか。
作風は非常にサイケでパンク。顔面が魚クションしたゴーゴー人類や戯画化したヘドラのアニメーションパートに困惑するが、松明村人の襲撃、雀荘丸ごと皆殺し洗牌等の見所も多数。公害問題を先送りする人類への痛烈な皮肉を効かせたエンディングも見事。

2. ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃

2作目。地蔵を蹴ると村が滅ぶからスタートするハイパーオカルト大怪作。インターネット、円盤石(CD)に日本創生怪伝説、ありとあらゆる怪人怪獣のオンパレードながら妙に張り切ってる防衛軍も大活躍。
怨念の集合体となった交渉の余地が一切ないタイプの白眼ゴジラが大迫力で横浜桜木町を更地にするクライマックスは都市破壊ポルノとしての面目躍如。凄まじい怪作品でした。

3. GODZILLA 怪獣惑星

3作目。都市破壊ポルノというジャンルがあるじゃないですか。今回はその対象が地球そのものなんですけど、なんというか色気がない。デカければいいってもんじゃないんですよ。
とはいえ、基本ストーリーの「二万年後の地球への帰還」というのはかなり良くて、正気にて大業は為せぬ、を地で行く主要人物たちのドラマが長期的にどのように転がっていくのかは見もの。
ゴジラさんもめちゃくちゃマッシブな新フォルムで登場するんだけど、スーツが重すぎるのか怪獣アクターさんが疲れ切って動きが悪い。素材は良いのに色気の出し方をわかってないという感じだ。小説版は、都市破壊大作戦の評判が良いのでマラソン後にでも確認してみたいところですね。

4. ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃

4作目。周囲では「再利用」「使いまわし」「予算不足」「怪奇」等の声が上がっていたものの、評判に反して大傑作でした。
公害、共働き、誰もいない家。少年が夢想するのは怪獣達のいる所、怪獣島で暮らすゴジラたちの姿。少年はミニラと遊び、学び、成長していく。怪獣島の冒険で自分より大きな怪獣へ立ち向かう勇気を得た少年は、いじめっ子ガバラとも向き合い、怪獣島の怪獣達のように仲間になっていく。
ふんわりとした夢ゴジラだけど、家族と離れた少年にとって、良い思い出とは「いつか見た過去のゴジラ映画」しかないんだよな。人間はありあわせの材料だけで己の天国を作らなければならない時がある。つまり、『落下の王国』そのものじゃないか。大冒険の後に大人たちの優しい視線を感じることができた。傑作です。

5. ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

5作目。都市破壊ポルノというジャンルがありますが、本作は首都東京を丁寧に破壊することで滅亡感に説得力を与え、かつ崩壊した地下鉄道をバイクでチェイスする等の「もしも」を丁寧に拾った意欲作だと思います。
機龍と呼ばれるロボゴジラの挙動も生ゴジラと差別化されていて、都市を傷つけずにゴジラを破壊する、遮蔽を利用したミサイル曲射シーンは文明の強さと弱さを描く本作の白眉だと思いました。

6. 怪獣総進撃

完全管理された怪獣ランドという割られるための檻が出現し、案の定、スカッと割られるのが楽しさのピーク。あとは陰惨なサイコ殺人シーンが連続し人間同士が不審に陥り、怪獣達は戦争の道具として右往左往してキングギドラは集団リンチで総括される。ショック描写が凄まじく人間が躊躇せず身投げをするシーンは完全にトラウマが植え付けられ何十年も苦しめられることになる。

7. ゴジラの逆襲

7作目。白黒作品ながら都市破壊特撮がめちゃくちゃ恐ろしく灯火管制された大阪が滅茶苦茶に燃える。地下鉄に逃れた囚人が鉄砲水に飲み込まれるシーンが恐ろしくて仕方がない。
第一作と異なり、核戦争(ゴジラ)に対する抑止力を持たない日本はどう世界と向き合っていくべきなのだろうか、というめちゃくちゃ真面目なアプローチが真に迫る。観客も製作者もあの戦争の経験者なのだ。
多くの犠牲を払い第二のゴジラは撃退されたが、これが最後のゴジラとは思えぬのだ。

8. ゴジラ(1984)

8作目。大満足。独立原子力国家『ゴジラ』による超大国を巻き込んだ核熱大戦争。ハードな殺人描写や特撮による新宿大破壊にはたまらないものがある。うっかり誤射されたソ連の核ミサイルに対応する米国という構図も時代の希望を反映しており楽しい。
ゲスト俳優のかまやつは加点だけど武田鉄矢は減点。ただの武田鉄矢じゃん。新宿から三原山へワープするあっさり目のエンディングだが、官邸主導の人工地震炸裂シーンの総理のあの顔を見れたので十分だと思う。

9. ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘

9作目。イタコスタートとゴーゴーダンス耐久レースでなんだこれ……と不安になったが最終的にむちゃくちゃ面白かった。不良トンチキ集団がなんだかんだで人々を救い核テロ組織《赤イ竹》を(ゴジラとエビラで)壊滅させるという痛快で大らかな筋書き。このテンポの良さが逆に好ましい。
エビラはデザイン実力共に好感度が高いが、ゴジラはややジェネリック感が強く武器を使うタイプのゴジラだ。
序盤のゴーゴーダンスがさまざまな意味を持ち最後は祈りと重なる等、ふしぎな魅力のある作品。

10. ゴジラ対メガロ

10作目。良くも悪くも正義のメカロボジェットジャガーの顔面が全部の印象を持って行ってしまう。ジェットジャガーが急に巨大化して敵怪獣を唖然とさせ、ゴジラとタッグを組んでメガロをボコボコにする大活躍を見せる。
メガロ?いましたっけ、そんなの。という空気。
ストーリーに関してもシートピア工作員のストーリー周りが雑すぎて出演者に演技プランが伝わっているのか心配になる等の不審な点も多い。
完全にタッグマッチとなった怪獣プロレスでは、脇に徹してヤングライオンのジェットジャガーを立てるゴジラさんの円熟さに心打たれました。

11. ゴジラ FINAL WARS(再鑑賞)

10作品の履修後に再鑑賞。「こりゃ怪作だな。怪!」という印象は薄らぎ、過去のゴジラシリーズから換骨奪胎しつつオールスター総出演、とにかくスピーディーに景気よく怪獣をボコボコにしていこうという意欲を感じる。怪人総進撃。いやいや、これは中々の傑怪作ですよ!!

12. ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

履修後は未鑑賞。とにかく楽しそうで良かった。

13. シン・ゴジラ

履修後は未鑑賞。ゴジラ(1984)の比較も含めて再建が楽しみ。

未来へ

『ゴジラ』シリーズおもしろいですね。
時代性に即した、水物っぽさとか、時間を経て発生している味とか。
特撮弱者の私も、怪獣のなんたるかが分かってきた気がします。

残りの作品は、こんな感じです。地球はVSシリーズの連発に耐えられるのか。沢口靖子に託された地球の命運は!? ご期待ください。

ゴジラ
キングコング対ゴジラ
モスラ対ゴジラ
三大怪獣 地球最大の決戦
怪獣大戦争
怪獣島の決戦 ゴジラの息子
地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン
ゴジラ対メカゴジラ
メカゴジラの逆襲
ゴジラvsビオランテ
ゴジラvsキングギドラ
ゴジラvsモスラ
ゴジラvsメカゴジラ
ゴジラvsスペースゴジラ
ゴジラvsデストロイア
ゴジラ2000 ミレニアム
ゴジラ×メガギラス G消滅作戦
ゴジラ×メカゴジラ
GODZILLA 決戦機動増殖都市
GODZILLA 星を喰う者
GODZILLA(エメリッヒ)
GODZILLA ゴジラ(ギャレ)



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