宇部道路

30歳。新作映画を中心に3つの視点からレビュー。趣味で小説や脚本を書いてます。日曜には…

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30歳。新作映画を中心に3つの視点からレビュー。趣味で小説や脚本を書いてます。日曜には徒然なる日常の考え事や喜怒哀楽を週刊日記として投稿します。

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【創作ノート】はじめまして

▶︎自己紹介の代わりに心から尊敬するアニメーション作家・今 敏監督は、どれほど多忙な生活の中であっても、毎朝パソコンに向かい日々考えていることを書き綴っていたと、教えてもらったことがある。その文章の多くは書籍として刊行されているので、機会があれば是非読んでみてほしい。 そこに刻まれているのは、いまは亡き天才の叫びと悩み、そして、”創ること””生み出すこと”へと託す果てなき希望。つまりは、生命を削ってもなお絵を描き続け、数々の傑作を生み出した紛れもない歴史そのものなのだ。僕た

    • 【日記】“全身がん検査”と“蕎麦アレルギー”と“ベトナムで観た名探偵コナン”の話【24.4/22-28】

      特に理由はないんだけれど、毎週日曜日に更新するはずの日記がつい書き遅れてしまった。季節の変わり目だからか、飲み過ぎだからか、なぜかここ最近ずっと体調が悪い。そして眠い。GWも仕事ばかり。観たい映画ばかりが溜まっていく…。 ▶︎人生初の全身MRI検査4月22日。月曜日。 自慢じゃないけれど、僕はだいぶ不健康だと思っていた。ほとんど毎日お酒は飲むし、運動不足も続いているし、お腹もよく壊す。年齢や身長を考えると、おそらくかなり痩せている。それも健康的な痩せ方ではなく、心配になるよ

      • 【日記】“酔っ払い反省記”と“ちよだ文学賞”と“地下謎”の話【24.4/15-21】

        今週は本当に反省の1週間だった。どうしてこうも自分はダメな人間なんだろうと、悔やんでも悔やみきれない(つまりそれは悔やんだところで許されるはずもないという)自戒の念に襲われて、ただひたすらに悶々として過ごすしかなかった。そんな後悔と懺悔のなかで考えたこと。 ▶︎どうして僕は酔っ払ってしまうのか4月17日。水曜日。 僕には会社のなかに1人だけ心の底から慕っている人がいる。かつていた部署の上司。本当にすべてのことを尊敬していて、きっとその人がいるから僕は会社での仕事を続けている

        • 【日記】“人生初のアイドルライブ”と“東大寺”と“ジャ・ジャンクー”の話【24.4/8-14】

          今週は仕事で大阪と奈良に行った。久しぶりの出張が本当に楽しくて、なんだか「頑張ろう」って思えたような気がする。入学式のニュースが続く。終わりと始まりの季節。そんな一週間に考えたこと。 ▶︎はじめて「推し」がわかった気がする。4月某日。 ひょんなことからアイドルのライブにご招待いただくことになった。モーニング娘。やAKB48、乃木坂46などをはじめ、本当にただの一度もアイドル文化に触れてこなかった僕は、期待も半分に自分がどんな印象を受けるのかまったく想像すらできなかった。

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        【創作ノート】はじめまして

        • 【日記】“全身がん検査”と“蕎麦アレルギー”と“ベトナムで観た名探偵コナン”の話【24.4/22-28】

        • 【日記】“酔っ払い反省記”と“ちよだ文学賞”と“地下謎”の話【24.4/15-21】

        • 【日記】“人生初のアイドルライブ”と“東大寺”と“ジャ・ジャンクー”の話【24.4/8-14】

          【映画感想】『夜明けのすベて』であえて語られない「優しい」を考える

          ★★★★ とても温かい映画だった。まさに人間に「向き合った」作品であり、そこで丁寧に描かれる感情や関係性の機微が深く沁みる。だからこそ、この映画に癒され救われる観客もいれば、悩まされ苦しくなる観客もいるのではないか。僕は後者だった。その理由は、この映画が「優しい」と言わない優しい映画だからだと思った。 ▶︎あらすじ以下、ネタバレを含みます。 この映画に関するあらゆる議論や考察について、三宅唱監督×濱口竜介監督×三浦哲哉(映画研究者)の鼎談の右に出るものはないと思っているの

          【映画感想】『夜明けのすベて』であえて語られない「優しい」を考える

          【日記】“言えないおめでとう”と“花見”と“メアリー・カサット”の話【24/4.1-7】

          ようやく東京でも桜が見頃を迎えて、気温も暖かくなり春を感じる。早くも今年も1/4が過ぎ、変わりゆくことと変わらないことを考えるなどして。今週は色々と映画を観れて良かった。今年は本当に素晴らしい作品が多い。 ▶︎言えない「おめでとう」4月1日。月曜日。 新年度が始まった。 新しい生活、新しい環境、新しい人生。 そこには夢や希望が溢れるだろうか。 あるいは不安や後悔が満ちているだろうか。 僕が心から応援している人が新しいスタートをきった。 僕は本当に本当に本当にそのことが嬉し

          【日記】“言えないおめでとう”と“花見”と“メアリー・カサット”の話【24/4.1-7】

          【映画感想】『デューン 砂の惑星 PART2』はなぜこれほどまでに美しいのか。

          ★★★★★ あまりに美しい傑作。正直途中まではSFアクションというこの種のジャンル映画では史上最高なんじゃないかとまで思っていたほど。まさに映像がもつ絶対的なオーラ。この映画には崇拝し信仰したくなるほどの”映像美”が宿っている。 ▶︎あらすじ 以下、ネタバレを含みます。 ▶︎圧倒的なデザインの美学『メッセージ』(2017)の「バカうけ」とも称された宇宙船を思い浮かべてもわかるが、ドゥニ・ヴィルヌーヴはシンプルなデザインがもつ“美しさ”と“恐ろしさ”を心の底から信じているの

          【映画感想】『デューン 砂の惑星 PART2』はなぜこれほどまでに美しいのか。

          【日記】“大学時代の後悔”と“日本酒飲み放題”と“小説すばる新人賞”の話【24/3.25-31】

          今週は忙しかった。「小説すばる新人賞」に応募する作品をとにかく書き上げることに必死。あとは大学時代にほんの少し(だけどすごく)お世話になった教授の最終講義に出て、いろいろなことを後悔したり。観たい映画がたまりすぎている。 ▶もっと勉強しておけばよかった3月25日。月曜日。 大人になってから「もっと勉強しておけばよかった」と感じる人は少なくないのではないか。僕はよく思う。社会に出てから勉強不足を痛感し、あるいはただ純粋に学ぶことが楽しいと気がついて、本当にしょっちゅう思う。今

          【日記】“大学時代の後悔”と“日本酒飲み放題”と“小説すばる新人賞”の話【24/3.25-31】

          【日記】“京都”と“成功を支える人々”と“ちびまる子ちゃん”の話【24/3.18-24】

          ▶︎京都旅行の記憶3月18日。 土曜日から月曜日にかけて、京都に旅行していた。去り行く冬が最後にみせる悪あがきのようなしつこい寒さと、中継所でバトンを待ち構えるランナーのように逸る春の息吹。まさにその狭間にあるような季節の京都では、ある日は陽光に恵まれ、ある日は通り雨に打たれ、ある日は強い風に吹かれた。 京都ほど四季のうつろいに敏感な都市もないのではないかと思うけれど、それは寺院や街並みに色濃く残る「日本の歴史」を感じるからなのか、あるいは盆地という地形上の特徴からなのか、

          【日記】“京都”と“成功を支える人々”と“ちびまる子ちゃん”の話【24/3.18-24】

          【映画感想】『瞳をとじて』に描かれる映画というタイムカプセルとは。

          ★★★ ビクトル・エリセという眠れる獅子がごとき伝説の存在が、31年ぶりに手がけた長編。個人的には好きな“苦しい”映画だったけれど、たしかに過去の作品に活写された静かな雄叫びには及ばず、拡声された囁きのような印象だった。この作品にエリセはなにを託したのだろうか。 ▶︎あらすじ 以下、ネタバレを含みます。 ▶︎3つの感想1.ビクトル・エリセの物語 多くの人が言及していることだが、この映画は「ビクトル・エリセ」そのものである。事実、彼は公式HPに次のような言葉を載せている。

          【映画感想】『瞳をとじて』に描かれる映画というタイムカプセルとは。

          【日記】“太陽との対話”と“アカデミー賞”と“Audible“の話【24/3.11-17】

          ▶「太陽との対話」という革命僕のなかで、2024年のベストコンテンツが早くも決まってしまった感じがする。それは、映画、書籍、漫画、舞台、テレビ番組、展覧会と、どのジャンルをも含めてのベストなのだが、恐ろしいことにそのどのジャンルのコンテンツでもない。 僕が遭遇したのはなんだったのか。まさしく未知との遭遇。それは紛れもなく、これまでのあらゆるコンテンツとは違う次元に存在し、言うなれば新しい時代の幕開けであり、パラダイムシフトであり、そして革命である。その瞬間に立ち会えたことが

          【日記】“太陽との対話”と“アカデミー賞”と“Audible“の話【24/3.11-17】

          【映画感想】『落下の解剖学』が伝える”真実”と”事実”とは。

          ★★★★★【必見の傑作】 カンヌ国際映画祭にて最高賞パルム・ドールを獲得した本作は、サスペンス(ミステリー)の様式を借りて、家族、夫婦、あるいはあらゆる人間関係における”真実”と”事実”の断絶を描ききる傑作でした。「カンヌ好きそうだなぁ」というテーマと語り口でもあり、カンヌ映画の入り口としてオススメでもありました! ▶︎あらすじ 以下、ネタバレを含みます。 ▶︎3つの感想1.これぞカンヌ映画だ! 物語の概略をあらすじで引用したとおり、本作の基本的な理解としては、ある男性

          【映画感想】『落下の解剖学』が伝える”真実”と”事実”とは。

          【映画感想】『カラオケ行こ!』はなぜ根強いファンを獲得しているのか。

          ★★★★【是非見てほしい秀作】 ヤクザと中学生がカラオケで歌う。十中八九”出オチ”とも思われるこの設定が何重にも反響して、最後には見事な感動が押し寄せるから、あら不思議。細かい部分でくすくすと笑わせるコミカルな作風と、思春期の微妙な成長と変化をとらえたストレートな構成が見事でした。そしてなにより、、、「紅だーーー!!」 ▶︎あらすじ 以下、ネタバレを含みます。 ▶︎3つの感想1.完璧な「音楽映画」ではないか この映画は、ひとことで言ってしまえば、「歌がうまくなりたいヤク

          【映画感想】『カラオケ行こ!』はなぜ根強いファンを獲得しているのか。

          【映画感想】『ゴールデンカムイ』はなぜ「実写化成功」と言われるのか。

          ★★【見て損ナシ】 大人気漫画『ゴールデンカムイ』の実写映画化。原作未読でも結構楽しめる作品でしたが、おそらくプロローグくらいの内容なので若干の物足りなさはあり…。ただ、とにかくクマが強い!豪華な映像に「実写化への気迫」を感じました。 ▶︎あらすじ以下、ネタバレ含みます。 ▶︎3つの感想1.とにかくヒグマの迫力がスゴい 北海道が舞台の「ゴールデンカムイ」。 そして、北海道の”森”には、彼らが住んでいるのだ。 ヒグマ アイヌの人々に「キムンカムイ」(山の神)と呼ばれる

          【映画感想】『ゴールデンカムイ』はなぜ「実写化成功」と言われるのか。

          【映画感想】『PERFECT DAYS』が問いかける「幸せ」とはなにか。

          ★★★★★【必見の傑作】 役所広司がカンヌ国際映画祭で日本人として19年ぶりに男優賞を受賞した映画『PERFECT DAYS』はあまりにも美しい傑作でした。心の機微を描くプロット、自然で豊かなセリフ、そして見事な演技。「幸せとはなにか」を観客全員へ問う必見の作品です。 ▶︎あらすじ 以下、ネタバレ含みます。 ▶︎3つの感想1.役所広司の演技がエグい 本作最大の見どころは、なんと言っても主人公・平山を演じる役所広司の演技にあることはいうまでもない。カンヌ国際映画祭で男優賞

          【映画感想】『PERFECT DAYS』が問いかける「幸せ」とはなにか。