イタリア旅行記(その1)
まえがき
ここ最近、自分の考えをまとめるためとは言え、noteに仕事やプライベートの嫌な感情を吐き出すことが多くなってしまった。
これは良くない傾向だぞ…と思い、気を取り直して何か楽しい記事を書けないかと模索してみたところ「旅行記」なんかどうだろうと思いついた。
僕は子どもの頃から旅行が好きで、大人になったらいろんな国に行きたいと常々考えていた。
(とか言いつつ、成人後に行った国は中国/アメリカ/イタリア/ドイツ/フランスの五ヶ国…少ない)
今回はその中でも人生初のヨーロッパ体験となったイタリア旅行記について記そうと思う。
思い立ち
2012年末、初めてヨーロッパ旅行を決行した。
前年まで適応障害やうつに苦しんでいたが、症状も無くなりつつあった際に大学時代から付き合いのある友人(先輩)から「海外脱出しようや」とお誘いがあった。
それまでに経験した海外旅行は修学旅行や大学のゼミ、新婚旅行という、ほぼ自力で何もかも準備するものではなかった。
(新婚旅行は嫁の尽力が大きかったので頭が上がらない)
僕も友人も赤の他人に合わせることが苦手なため、ツアーは考えられない。
求めているのは非日常的刺激に満ちた珍道中なのだ。
チケット手配やホテルの予約はもちろん、現地での移動も何もかも自分たちの手で何とかする。
当然のように、ガイドさんや通訳さんなんていない。
「これは面白そうだ!」と、早速取り掛かることにした。
今回の旅程はローマを拠点にピサ&フィレンツェまで足を延ばす8日間の旅だ。
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ちなみにイタリア旅行までに訪れた海外は下記の通り。
中国…上海、蘇州:高校の修学旅行
中国…吉林、長春:大学院時代、教授のかばん持ち
米国…ハワイ:新婚旅行
中国への旅行経験の場合、「お楽しみ旅行」的な部分が強かった。
行程は勝手に組まれてるし、言ってみればクラスメイトとの「お泊り会」だ。
ハワイについては「アメリカの熱海的なとこじゃないの?芸能人とかも毎年行ってるし、ミーハーな感じだなぁ。」とバカにしていた。
行きの飛行機の中では嫁は『るるぶ』とかの旅行雑誌を熱心に読み込んでいたが、僕はと言えば「自動車メカニック解説書」なんて本を読んでいた。
それくらい、ハワイに興味が沸かなかった。
が
南の島の魔力かわからないが、何もかもが無条件に楽しかった…
一週間後の帰国時には「帰りたくない。ハワイに住む。」と言って駄々をこねる始末。
何なら嫁よりも「I ❤ Hawaii」な頭になって帰って来たのだ。
帰ってきても「オレ、シゴト、キライ。ハワイ、カエル。」とか言ってた気がする。
このように、どちらも楽しいことは楽しかったが、日本人の団体行動なので「異国感・非日常感」は薄味だ。
アドベンチャー感も薄い。
「言葉通じねぇ!」とか、「オラたちだけ異分子だ!火炙りになるぞ!」っていう、危機感とは無縁だ。
例えるなら、異国情緒漂うハウステンボス(長崎)から民家が見えているような、安堵感とガッカリ感が付いて回るような感じ。
異国感があったかと言われれば「…あった…と、思う。かも?」くらい。
もちろん中国もハワイも、海外ならではの刺激はあったし、存分に楽しむことはできた。
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ちょろちょろと国内旅行に出かけ、数回の海外旅行を楽しみながら院修了/挫折/就職/結婚/病気を経て、もう三十路に差し掛かっていた。
「海外旅行…そんなこともありましたね…」と、海外旅行の「か」の字も頭から消え失せていた時、上に記したように大学の時の先輩から海外旅行のお誘いがあったのだ。
話を聞くと、先輩も仕事内容に疲弊してたことや「一味違う飲み歩きもしたい」ということを兼ねて一時的に海外脱出したいとのこと。
困ってる人がいたら助けない理由は無い。
僕:年末年始、カプチーノ飲みに行くわ。イタリアまで。
嫁:はぁ?何言ってんの?(←本当に行くとは思っていない)
と、きちんと嫁に伝え、旅券とホテルを吟味してネットでサクッと予約完了。
良い時代になったもんだ。
ここから大人しく準備に取り掛かれば良いものの、あることを思いついた。
「…休みの間だけ、髪型変えてみようかな。」
思い付きの旅行と同様、思い付きの髪型変更だ。
折角の休みだし、非日常を味わいたい。
当時夢中で聴いてたD'Angeloのデビューアルバム『Brown Suger』のジャケ写に憧れて年甲斐もなくコーンロウにしたいがために美容室へ走った。
(鏡台の前で)
僕:コーンロウって、どれくらいの長さでできますかね?
美容師さん:うーん…結構伸ばさないといけませんねぇ…年末なら間に合うかな?
ということで、コーンロウにすること決定。
夏前から髪を伸ばし始めた。
準備(モノ編)
髪の毛は自然と伸びる。
もちろん、毎日のケアに加えて「髪が伸びる(生える?)」と言われている海藻類も大量に摂取した。
とりあえず、旅行に必要な物も準備・調達。
パスポート(大学院時代に作ったものがまだ使えた)
頑丈なスーツケース
トラベルベスト:スリ対策用
スマホケース一体型バッテリー
デジタルゲージ:荷物の重量オーバー防止・確認用
携帯ウォシュレット:大痔主なので、マスト
ムヒHD:コーンロウで頭を洗えないため、絶対に痒くなるから
就寝時用キャップ:コーンロウ保持用
「あれ?これだけ?」と思うが、パーティーに出かけるわけでなし、あとは普段の生活で使っているものを厳選して持って行けば良いだけなのだ。
準備(コトバ編)
この旅の最大のミッション。それは言葉(イタリア語)だ。
ネット情報によると、イタリアは英語が通じないらしい。
僕の英語も怪しいので、お互いに何を言ってるかわからないという最悪の事態もあり得る。
経験上、言葉が通じない/意思疎通ができないってのは考えている以上にショックだったりする。
それより何より、うっすらとでも意思疎通が取れないと最悪の場合は文字通り「路頭に迷ってしまう」事態になりかねない。
こりゃヤバいぞ…と思い、付け焼刃ながら四ヶ月でイタリア語を叩き込んだ。
通勤中/昼休み/帰路/風呂/就寝前はもちろん、休日の空いている時間は参考書に齧りついていた。
総勉強時間はカウントしていないが、旅行中にホテル/レストラン/タバッキで日常会話を交わしながらやりとりができるレベルに達することができた。
今となってはほとんど忘れてしまっているイタリア語だが、少し勉強していたことを人に話すと「イタリア語って難しいんでしょ?」と言われる。
確かに、男性名詞/女性名詞や冠詞の別、単数/複数の複数変化等は限りが無いし、訳が分からなくなる。
そして「イタリア人は良くしゃべる」というステレオタイプが正しいのか、かなり早口だ。
しかし、勇気を出してカタコトでも良いから話しかけてみると、真剣に耳を傾けてくれる。
イタリア人は良くしゃべるのと同様に、良く聞く。
良く聞いてくれるので、こちらの意を汲んでくれるのだ。
言葉が通じれば楽しさが増す。
読めることも面白いが、話せることはもっと楽しい。
話を元にもどすと、僕のような付け焼刃でも日常会話には困らないくらい、発音に関しては諸外国の言葉よりも圧倒的に取っかかりやすい。
(ドイツ語は難しかった…それはまた別の記事で。)
英語の各種子音を始めとした所謂「外国語」は日本人には中々ピンと来ない。
英語だけでなく、フランス語の「R」やドイツ語の「ä/ö/ü」、中国語の各種ピンインや舌根音も中々に厄介だ。
それを考えると、ある程度大らかなイタリア語は日本人にとって取っつきやすい言語だと個人的には思う。
と、にわかながらもイタリア語を勉強するにあたって僕が参考にしたのは下記教材。
・書籍
CD付 ゼロから話せるイタリア語
・メディア
NHK イタリア語講座(TV&ラジオ)
TuneIn Radio
・アプリ
Google 翻訳
Busuu
nemo
指さし会話
月を表すイタリア語
…その他諸々のアプリ10個程
書籍の全てのページ内容を全て覚える勢いで頭に詰め込み、空き時間はとにかくアプリで勉強し、通勤中や家にいる間はテレビ・ラジオ・音源でイタリア語を流して聞き続けた。
そうすると、一週間くらいで聞き覚えのある単語が耳に入ってきたり「こういう時はこう答えるかな…?」というフレーズが咄嗟に頭の中に浮かんできたりするようになる。
果たして通じるのかどうか、現地到着までワクワクドキドキだ。
いざ出発
髪も無事に伸びたため、出発日前日にコーンロウにして一旦帰宅。
実物を見た嫁に軽く引かれつつ、いざ行かん、イタリアへ!
(その2へ続く)
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