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オレも天下の回りもの。【海に落ちた】【本あげます】【冒険開始の合図】

魚を見ていたら海に落ちた。自転車に乗ったまま水面を覗き込んでいたので自転車ごと落ちた。水をかけどもかけども進まない。荷物を背負って服を着たまま泳ぐのがこんなにきついとは知らなかった。うっかりすると顔を水面から出しておくことすら危うかった。通り掛かった男性が上からロープを伸ばしてくださり、なんとか梯子のあるところまで泳ぎ切った。海の底まで落ちた自転車も駆けつけた漁師さんが救出してくださった。命は無事、自転車も無事、お金も濡れたが一応無事。しかしスマホがどこにも見当たらない。きっと今頃海の底だろう。全身ずぶ濡れでクッタクタになりながら動転した頭でどうしようかと考えた。疲れたやらクソダセえやらお恥ずかしいやらとともに、少しだけほっとしている自分がいた。この「損失」を、むしろちょっと清々しいと感じている自分がいた。すべての資金繰りを白紙に戻した。あれの予算はこうで、今月はこの支払いを済ませて……という生活上のちまちました考えをスマホと一緒にザバンと海に捨てた。帰宅後すぐにネットで新しいiPhoneを一括で買い、動画撮影用のピンマイクを買い、ついでにスピアフィッシングを始めるためにウェットスーツを買った。生きているうちに、やりたいことを、やりたいときに全部やってしまおう。そのために必要な支出があるならば、それは「生活していくこと」よりも優先順位が高いのだ。

気質の合わない地域祭りから避難したくて一週間ほど由布院に逃げた。これといって予定はなく、ぶらぶら町を歩き、本を読み、料理をして過ごした。休暇を満喫して一週間ぶりに自宅に入った瞬間、余計な物が多いと感じた。辛抱できずにソファクッションをすべてゴミ袋に入れた。自分では大切にしているつもりだったインテリアが埃でベタベタになっていた。暮らしていた時はまったく気付かなかったのはなぜなのだろう。

あとは本が余計だった。私は蔵書を溜め込むよりも、まだ読んでいない本をどんどん読んで生きようと思った。そのため持っている本をすべて『VIVID文庫』と称して人にあげることにした。決して「要らない本」ではない。私が気に入って購入し、心から読んで良かったと人に言えるラインナップだ。残った本は8/1に古本屋にGOするので、欲しい人は7/31までに名前と欲しい本のタイトルを書いてインスタグラムでメッセージを送ってほしい(送料1冊360円かかります。現地まで来られる方はご連絡ください。先着順のため、ご希望の本がすでに旅立ち済みである場合があります。VIVID文庫について詳しくはこちら)。

経験上、「損失は冒険の始まり」だ。冒険は、安定した生活が守られているうちは決して始まらない。日々の仕事や支払いに追われながらちまちま資金繰りをするのは冒険とは真逆の人生だ。すべての冒険は損失から始まる。もう本当にどうしようもないというところから始まる。もうだめだっ! から始まる。こうするより他に選択肢なんかなかったというところから始まる。いいぞもっとやれ。人生は冒険だ。勢いづいていろいろなものを処分した。東京時代のイベント衣装も、音楽制作の機材やソフトもすべて捨てた。役目を終えたものたちよ、今までありがとう。ここから先は別を行く。すがるな。滞るな。流れていけ。新しい風を迎え入れよう。すべて総入れ替えだ。

「金は天下の回りもの」という言葉がある。「金」の部分はいろいろなものに置き換えられる。本は天下の回りもの。物は天下の回りもの。水は天下の回りもの。どんなに水を使っても、地球の水の総量は変わらない。場所を変え、姿を変えて、ぐるぐると移動しながら回っている。同じように、自分の持っているものの総量も変わらない。たくさん持っている人は、心の中にあったものが具現化しているだけだ。持たない人は全部心の中にあるだけだ。オレも天下の回りもの。キミも天下の回りもの。場所を変え、姿を変えて、ぐるぐると移動しながら回っている。かつて大事にしていたものを手放すのは怖い。だが案ずるな。なくなるわけではない。場所を変え、姿を変えて、ぐるぐる回っているだけだ。安心しろ。未知を歩め。出会いを楽しめ。

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