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地域観光の考え方

<この記事のまとめ>

① 対象地域がどれだけの資源を持っているか把握する
② 対象の地域資源を好む人がどれほどいるのかを調べる
③ 資源周辺のおもてなし状況を明確にする

地域ぐるみの観光って?

地域で観光に取り組む場合、まずはその地域にどんな資源があるのかを探るところからはじまる。

多くの人はここで「史跡」とか「城」とか「自然」とかを連想して、該当するものがあれば、そればかりを強調してくる。反対に該当しない場合は「何もない」と肩を落とす人もいる。

そこがそもそもの間違いで。

地域の観光資源とは、その地域に根付いているすべてのモノ・コトが対象になるということを知っておく必要がある。

地域の観光資源としてひとつの可能性はこれ。

「あなたのまちの人気の日常はなんですか?」

日常的に地元で人気の城があればそれが観光の可能性を秘めているし、毎日地元客であふれている食堂だって観光の可能性を秘めている。

地域ぐるみで観光に取り組むということは、地域全体に存在する日常を注意深く確認して、どんな素材があるのかを把握することがとても重要になる。

問題なのは、それを誰がやっているのか、だ。

私の場合は、自分でやることにした。

色々と方法を考えた結果、最終的に「地域密着型の地元メディアを創り上げること」が近道だと判断した。そして誕生したのが「うえだNavi編集部」だ。これについては、また別の記事でまとめることにする。

地元と全国の人気度調査

地元で人気のスポットに、全国的にはどれくらい共感してくれる人がいるのかを調べると、その地域資源の集客できる規模が見えてくる。もちろんその調査規模を世界に広げれば、今、話題のインバウンド観光にもつながる。

一昔前は、その調査がとても難しかったのは事実だが、今はインターネット社会。ある程度であればいかようにでも調べることが出来る。人気度をPRするために自ら来場者数を発表しているところもあるくらいなのだ。

全国に似たようなスポットがどれほどあって、そこには年間どれほどの人が訪れているのかを調べるだけで、集客イメージはできるようになる。

この調査をせずに「地元で人気だから観光地としてPRしよう!」とか「この地域にはこれくらいしか史跡がないから」という理由で、無理矢理、観光路線に持っていこうとするから話がややこしくなる。

そのスポットを訪れたいと思う人が全国に100人しかいないものを、どれだけPRしたところで、お客が増えるわけではない。それなのに、観光予算を付けてしまった当事者は、なんとか形にしなければと躍起になって押し売りを始める。欲しくない上に、押し売りをされて楽しめる人などこの世に誰一人いない。

この調査と同時に確認するのが、どれくらいの来訪者を想定するのかという数字での目標設定。

これがなければ、受け入れるために必要な準備ができず、地域全体のモチベーションも上がらない。

信州上田での事例を出すと、アニメ映画「サマーウォーズ」を活用したアニメツーリズムを行った際に、この対策を入念に行った。

この事例についてはまた別の記事にて説明することにする。

共感者の多そうな観光スポットが見つかったら

探って、調査して、いよいよこれは外部からお客さんが来るかもしれないと思えたら、やっと観光のスタートラインに立てた状態だ。

現代の観光PRは、インターネット時代のおかげで、昔ほど大金をかけた宣伝広告をする必要もなく、観光宣伝のプロがマネジメントすればある程度の集客は見込むことが出来る。

さらに、今までとこれからの観光業界は、大きく仕事の内容が変わっていく。昔はプランを売り込みに行く必要があったが、今はお客さんの方が趣味趣向で自ら調べてくれる時代である。

そんな恵まれた時代の地方観光が行うべきなのは、訪れたお客様が目的達成と同時に、その地域で経済活動を行う環境を整えることのみであるということ。

その受け入れ態勢においても考え方はシンプルであり、目的地との関係性、営業している期間や時間、名物や銘品などの情報を最大限に提供しておくことである。

情報の置き所は、そう、インターネットで調べられる世界の中に。

旅のしおりはお客様が自ら作る時代。

しおりを作成するために必要な情報を100%提供しておくことが、今後の地方観光の重要課題となる。

「観光地だから」という縛りで無休だとか、ずっと営業をしなければいけないとかではなく、地域の日常を楽しむことも旅の醍醐味の一つであり、来訪者が自分たちの都合を調整しながら計画を組む必要もあるため、お互いに理解をした状態をつくるのが理想的な地方観光の形と言える。

以上が、私が考える、地方で無理なく観光を始めるときに必要な考え方である。

上田ブランド研究所
所長 池松勇樹


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