見出し画像

明日、引っ越しをする。

縁もゆかりもないこの場所を生活の拠点にして、約5年半。
何の思い入れもなかったこの場所が、今では去るのが名残惜しいくらい思い出深い場所になった。
そんなこの場所、この家とも明日で最後。
段ボールがいっぱいになったこの部屋で今このnoteを書いている。

わたしは社会人になると同時に地元から上京してきた。
今のこの家を選んだのは、新築で駅近。尚且つ程よく田舎な感じが住みやすいと思って、特に内見もせずぱぱっと決めた。

初めての一人暮らしは中々に充実していたと思う。
実家暮らしの時は全くしなかった料理も、いざしてみると意外に楽しいことに気づけた。ただ皿洗いは嫌い、ということにも気づいた。

この家、この街での思い出を振り返ってみると、すべてにおいて元彼女の存在がでてきて、とても懐かしく切ない気持ちになる。

わたしが上京して間もない頃に、一人で寂しくないよう頻繁に電話をかけてきてくれたこと。
深夜に電話をしながら、お互いの家事をこなしていたこと。
休みを合わせてたくさん遊びにきてこの家に泊まってくれたこと。
コロナ禍でお互い仕事が長期休業になったときも、車を走らせて会いにきてくれたこと。一緒に周辺をお散歩したこと。
とにかく上げればキリがないくらい、彼女との思い出でいっぱいだ。

そんな思い出のあるこの家から、また縁もゆかりのないところに引っ越すのはやっぱり寂しい。
新たな家ではもうこんな風に彼女との思い出は作れないのかもしれないと思うと、余計にこの家を離れるのが名残惜しい。

気持ちだけは全く追いついてないけど、引っ越しは明日に迫っている。
なんだかんだ荷物をつめて、当日は感傷に浸る間もなくバタバタこの家を去っていくのだろう。

新しく住む家は、転職先から通勤しやすい場所にした。
正直今のこの家から通う気満々で今の職場に決めたのだが、思いの外始業時間が早く体がすぐ悲鳴を上げてしまったために引っ越すことにした。
いつだって行動を起こすときは、現実的な理由がついてまわるものだ。

何もなくなったこの部屋を見て、きっとわたしは寂しい気持ちでいっぱいになるのだろうし、新しい家で寝るときはどこかまだぎこちなく布団に入るのだろう。
気持ちは追いつかなくても流れに身を任せて過ごしていけば、それとなくいつの間にか自分に馴染んでいくのも理解している。

早く新しい家も好きになれるよう、思い出とともに引っ越しをしよう。

この記事が参加している募集

#忘れられない恋物語

9,097件

#今こんな気分

74,681件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?