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映画『COUNT ME IN 魂のリズム』


ヒュートラ渋谷にて

ドラマーたちに焦点を当てた音楽ドキュメンタリー。
友人にお勧めしてもらって、音響に特化した劇場”odessa”で観た。主にロック系、どちらかと言うとハードでヘヴィな人たちが中心なので、もっと爆音でもいいぐらい。
「夢は叶う」って、叶えた人は言う義務があるよね。気持ちが高揚する一本だった。

およそ太鼓を叩いて飯を食っていくような人たちは、ほんの幼い頃からリズムに取り憑かれているのだろう。ホーム・ヴィデオの記録なのか、鍋やらフライパンやらを裏返して叩き続けたりする姿も出てくる。予告編にもちらっと映る、初めて買ってもらったドラムセットに狂喜乱舞する様子は、その強い純真さにこちらも感極まってしまう。自分ももう泣いていた。

今やプロとして世界を股にかけるドラマーたちの原点がくっきりと見える。そしてみんな揃って語り口が熱い。
女性ドラマーも複数登場するのが好感持てる。そりゃ女性だってドラムぐらい叩くからね。

ドラムを通して見るポピュラー音楽の歴史にもなっている。
ジャズは意外にも幅広い人たちの要素になっている。普段ヘヴィメタルと呼ばれる種類の音楽を演奏していても、根っこにジャズの要素は包摂している。やはりね、とは思った。
ビートルズの登場、リンゴ・スターの存在がいかに衝撃だったか。
キース・ムーンの天才性と破天荒ぶり。私もロックのドラマーなら未だにキース・ムーンが一番好き。“Who Are You”というThe Who比較的後期の楽曲をドラマーの視点から読み解く場面があって、そこまで深くは理解していなかった。改めて聴き直してみようかな。
そのキース・ムーンに影響を受けたThe Clashのトッパー・ヒードンを始めとして、1970年代に入るとパンク・ロックの人たちが表れる。ザ・ダムドの人も不敵でニヤリとさせられた。「もう二度と働かねぇ」、パンクはこうでなきゃね。
スチュワート・コープランドの感性、頭の柔らかさも良い。
80年代はドラム・マシーン、通称リン・ドラムが席巻する。でも今からすれば一時的な現象で、人は人の作るリズムに最も心地良さを感じるのでしょうね。

自分は今でこそ音の大きなロックだけでなく、英語圏以外の音楽も聴くようになっているけど、Nirvanaについての言及とかもやっぱり嬉しかったな。

自分も音楽を聴き始めた頃、ドラムがやりたかったよなぁ。
スティックだけならすぐ買えるから入手して、段ボールとかで自家製の太鼓もどきを作って。そんなもの、すぐ壊れるに決まってるんだけどね。
日本の狭い家じゃドラム・セットは現実的じゃないこともあって、学生の頃はギターをかじっていたけど、生まれ変わったなら今度はドラマーになりたい。
バンドごっこをしていた当時の友だちと練習スタジオに入ったときは見よう見まねでドラムを叩いていたし、ずっと後年になって何もすることがなかった日々にも一人でスタジオを予約してドラムを叩き続けたりしていた。
そんなことも思い出す。


好きなドラマーは何十人でも挙げられそうだし、そういうリストを作るのもまた楽しいかもしれない。


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