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インド滞在記 #7(2004年~2005年)

2004年11月26日 ガヤ:ふと気づいたら、知らない人のおうちで、知らないおっさん2人と添い寝していた話。

ハウラー駅を昨夜10時に出発したガヤ行きの列車は、なんとそれほど遅れることなく、朝6時前にはガヤ駅に着いてしまったのでした。遅れてほしいときには遅れてくれない、いけずな列車である。

実のところガヤは、ブッダ・ガヤに行くための経由地として設定していただけなので、同日中にバスに乗って、そのままブッダ・ガヤに到る予定でした。はい、当初は。ですが、結論から申しますと、その後におこったハプニングで、結局ブッダ・ガヤには辿り着けず、ガヤでおかしな2日間を過ごすことになったのでした。

さて、本題に戻りましょう・・・。

(定刻通りとはいえ)予想外に早く到着してしまったので、観光案内所もバス窓口も列車予約窓口も、まだ空いていません。同じようなバックパックを担いだ外国人らしき旅行者も見当たりません。さらに、いつもなら「待ってました~!」と頼んでもないのに群がってくるリクシャーやらタクシーのおっさんたちもあんまりいません。

相変わらず「次のバスはとりあえず現地ついてから探してみよう」とか「駅で出会った旅行者について行ってみよー」とか、ゆる~い考えだった私。おもいっきり早朝の(しかもインドなのに寒い)お外に、ほっぽり出され、いきなり路頭に迷いました。

さてどうしたものか?と、まだ眠い目をこすりながら戸惑う私。とりあえず同じ列車から降りてきた、近くにいたインド人青年に話しかけてみました。

「ブッダ・ガヤへ行きたいんだけど、バス乗り場はどこか知ってる?」

この質問から、予想外の急展開が起こりました。ブッダ・ガヤに行きたいという私の話を聞いたインド人の彼、

「(僕も行くから)一緒に行こう!」

ガヤからブッダ・ガヤまでの距離がどんなものなのかとか、どうやってブッダ・ガヤまでいくつもりなのかとか、細かいことを何も確認せず、このインド人青年に手を引かれるままに、気付いたら2人でサイクルリクシャーに乗っていました。

この時点では「おー、今回もなりゆきまかせ感あるなー」とかまだ余裕かましていました。

サイクルリクシャーに揺られていたら、そのインド人青年(名をラウールと言ふ)のおじさんと名乗る男が原チャで横づけしてきて、ブッダ・ガヤに行くはずなのに、気付くとなぜか私もラウールとともに、そのおじさんの家へ向かっていました・・・原チャに3ケツして。

今、私、その名前も知らぬインド人のおじさんファミリーの家にいます。

さて、図らずも電撃訪問となった知らないおっさんのお宅では「おたべ、おたべ」と差し出されるまま、朝メシ、昼メシとごちそうになり(もちろん、睡眠薬等が入っていないかは警戒しつつ)、水やおやつといった細々したものも「気にすんな、気にすんな」と全てごちそうしてもらい、私としては(目に見えぬ)恐怖を、少し感じはじめていました。(が、「なんとかなるやろ~」という気持ちも同時に抱いている状態)

今回は、たまたま、こっちから(これ重要ポイント)声をかけた相手だし、話している限りラウールは本当に優しくていいヤツっぽいし、今はまだ大丈夫な気がしている。大丈夫だと信じている・・・。

ブッダ・ガヤに行くはずだった私、なぜかいま、知らないおっさんのお宅の裏の空き地で、ガヤの子供らとクリケットをしています。

ブッダ・ガヤに行くはずだった私、なぜかいま、知らないおっさんの原チャで、タイガーマウンテンと呼ばれるところを見にきています。

ブッダ・ガヤに行くはずだった私、なぜかいま、知らないおっさんのベッドで、もうひとり知らないおっさんと、3人で添い寝して夜を過ごしています。(なぜか宿泊している)

さて、私はブッダ・ガヤに行きつくことができるのか、このあとどうなるのか、おっさんたちが寝返りしてきて私にぶつかってこないか、・・・などなど、ホントに少し心配になってきたガヤの初夜でした。
(つづく)

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