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【首長や教育長に考えて欲しい】死の谷を越えないとGIGAスクールは無駄金になる?

1年前に今日から小笠原諸島への旅行(初めてのクルーズ船!)を予約していたのですが、このコロナの折で当然ながらキャンセルに。さすがにクルーズ船には乗れない...。一世一代の贅沢のつもりだったのですが、、、
ちなみにGIGAスクール関連の対応で結局休むこともできず、不要不急の外出を控え、テレワークに勤しんでいます(涙)

前々回には「自治体の首長や議員に知ってほしい」と個人情報保護条例の課題について書きましたが、反響も多かったので自分の記事に2番煎じなのがイケていないですが、結構過激なタイトルで書いてみました。

マッキンゼーの「PISA2018」レポート

この記事を書くきっかけは、太田直樹さんのFacebookでの書き込み
太田さんはがどんな方なのかは、、、やられていることも肩書も色々ありすぎそうなのでリンクを貼ります(手抜き)。
総務省で総務大臣補佐官(超偉い)を務めていらした時代に、私がPMを務めた実証事業でご一緒させていただきました。

書かれていたのは以下の内容。

生徒に一人一台のPC(GIGAスクール構想)は「死の谷」を超える戦略が必要そうです。先月に出たマッキンゼーのレポートですが、2018年のPISAの分析をしています。51カ国、32万人の15歳についての調査なので、小中学生に当てはまるか分かりませんし、相関関係と因果関係は別物であるなどの前提を置いた上で、
・テクノロジーは学びに効果があるか
という問いには、ケースバイケースという分析です。
大きな示唆は、教師と生徒両方の習熟度が結果に影響しており、全く使っていないか、使い倒している群に比べると、そこそこ使っている群はテクノロジーがマイナスの効果になっています。いわゆる「死の谷」です。
この示唆は、教育関係者は直感的に感じておられると思いますし、日本の学校のICT環境は「国際比較以前」(「全く使っていない群」)なので、投資すべきだと思いますが、早く「死の谷」を抜ける戦略が必要です。

コメントしているマッキンゼーのレポートは以下です。
※英語なので体が拒否反応を起こしますが、Chromeが勝手に翻訳してくれます。ありがとうGooleさん。

OECD(経済協力開発機構)が公表しているPISA2018の結果を、地域・機器・先生or生徒・活用率などの観点で再まとめをしているレポートです。

中身は色々興味深いものがあるのですが、特に気になったのが後半に出てくる
"Finding 4: Intensity of use matters"
です。
「活用率が重要」と。

中途半端なICT活用なら使わない方がマシ

以下がIntensity of use mattersをまとめている図です。

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点数が高かった生徒のICT活用の時間を数値化しています。
左が学校でのICT活用、右が家庭学習でのICT活用。0=全く使っていない、か週に1時間以上がハイスコアの生徒だったということ。
過激な言い回しですが「中途半端なICT活用なら使わない方がマシ」ということかと。

日本はICT活用が最低水準。
それは賢い選択だった?そんな訳あるかい!

その意味では、日本の学校でのノートPCの使用率がOECD加盟国で最低だったのは、賢明な判断だったということですね。そんな訳あるかい!
※以下は以前も紹介した豊福先生の資料です
 https://gakko.site/wp/archives/1575

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当然ですが、子供たちがこれからの時代を生きるにあたり、インターネットに接続しないなんてありえないはず(前回の記事でも書きましたが、インターネット接続は人権、ぐらいに思っています)。学びでの活用は絶必です。
そのためのGIGAスクール構想というのは、(色々と課題が山積していますが)当然の政策なのだと思っています。

GIGAスクールは必要。でも「死の谷」あることを理解しているか?

一方で、タイトル画像で模式的に描いた「死の谷」の存在を、GIGAスクールで多大な予算の執行を決定した自治体のトップ:首長や教育長は理解しているのでしょうか
ガッツリ使えば効果絶大、中途半端な活用なら使わない方がマシ、ということを。

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活用率と効果が正比例するような直線的な想定をしていた(もしくはそこまで深く考えていない)とすると、確実に「死の谷」で効果に結びつかない状態で挫けることになり、莫大な税金の大部分が無駄金になります。
これは例えマッキンゼーのレポートがなくとも、多くの人が直感的に「確かにそうだな」と分かる部分ではないでしょうか。

首長や教育長はGIGAスクールを通じたビジョンを、教育委員会では活用率のKPIの設定を

投下した予算で以上の効果をあげるには、上記の赤い星まで活用率をあげないといけないことになります。
※赤い星の横軸がどれぐらいの活用頻度なのか、の研究があったら知りたい。

当たり前の話ですが、GIGAスクールは単に環境整備するだけでは、ごく一部の子供たち(イノベーター層の先生が受け持つクラスや学校)しか受益がなく、下手したら毒にすらなってしまうのだと思っています。
途中に「死の谷」があることを想定し、粘り強くヒト・モノ・カネのリソースを投下していかないといけないです。

これまで、自治体の学校教育に対するICT投資はなかなか進まない状況でした。が、GIGAスクールのお祭りが起きると、あれよあれよと各自治体が予算をつけています。
国の補助金に対して自治体も呼応しているという実態なので、国から見れば予算のレバレッジが効いたということで、その意味では成功なのだと思います。

一方で、環境整備のお祭りが終わればそこで関心がなくなるようでは、まさに無駄金まっしぐらです。

詳細は別途どこかで書きたいと思いますが、各自治体でまずは以下をやっておかねばと感じています(そもそも予算取りをするうえでやってるだろ、という話な気がしますが、、)。

① 2025年までに実現したい学びの姿=ビジョンの策定
② ①のビジョンに向かうための必要な要件(CSF)の洗い出し

 ※CSF = Critical Success Factor:重要成功要因
③ ②の要件に対応する施策を考えて箇条書き化 
④ ③を2025年までの時間軸に配置する

⇒ これでGIGAスクールの2025年までの事業計画ができる
⑤ 各施策に対し定量評価可能な目標数値(KPI)を設定する

 ※KPI = Key Performance Indicator:重要業績評価指標

特に①は首長や教育長にしっかり考えてアウトプットして欲しいと考えています。そのうえで、②~⑤を教育委員会を交えて策定する。
結果として、⑤のKPIに上記の活用率の問題が必ず出てくるはずです。

上記は別に教育×ICTだから特別なことではなく、当然ながら企業でも、自治会でも、サッカーチームでも、家族のなかだって(殺伐とするかもですが我が家はこんな感じ)、目標を共にする人が集まれば同様に必要です。
ただ、公共政策、特に学校教育はこの意識が相対的に弱いとは感じています。
これだけの投資をするからには、それに見合う本気の準備と実行が求められるはずで、このプロセスは避けてはいけないはずです。

色々言ってしまって良くないかもですが、これらの青写真は大体細部は間違っているので(そんなに未来は予測できない)、随時変えていくことも重要です。
「一回決めるとやりきる」は美徳かもですが、「何回変えてもやりきる」がプロのはずなので。

おわりに…

なんか太田さんが書いた話を長々と書いただけになった気が...。うーむ、もっと付加価値を付けないとですね。
後半の丸数字の②~⑤とかは、最近仕事をご一緒した中尾さんの本をかいつまんでパクッテいる感じですし。

中尾さんもTTPS((T)徹底(T)的に(P)パクッて(S)進化させる)を推奨していたので許してくれるはずw

どこかの自治体の①~⑤のプロセスを可視化することや、それを行うためのワークショップとかやりたいな、と思っています。いや、今年中にどっちかはやります。

東京は雨の4連休のようですが、、、家にこもって溜まった仕事をやっていくぞー。
ではまたー。




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