見出し画像

真剣に服を選ぶあなたは、真剣に人生を選ぶことができる。ワガママな女性がうまくいく理由。

大人の学びの現場から

はじめまして。私は社会人歴9年目、食品会社の人事をしています。特に社員教育を担当していて、19歳から65歳まで、男女あわせて数百人の社員に対して社内研修や制度を作るのが仕事です。できるだけ社員のレベルに現状に合わせるため、研修を作るときは受講する社員たちと話をしながら作っています。
この仕事を続けていると、同じ研修を受けても活かせる人と活かせない人がいることに気づきました。着実に身に付けてキャリアアップする人とそのまま停滞する人、その違いはなんだろう?数年かけて見えてきたのは「悩んでいる人こそ伸びる」ということでした。

悩むからこそ学び、学ぶからこそ伸びていく、私はそんな大人たちの学び方をたくさん見てきました。
悩みは立場・年齢・考え方・境遇などでまったく違います。自分に失望したり葛藤を抱えながらも悩みに真剣に向き合う大人たち。そこには心動かされる瞬間がたくさんありました。
同じように悩む大人のヒントになればと、私が見てきた「大人の悩みと学び方」を紹介していきたいと思います。


がんばりたい女性社員たち。けれど・・

私の会社では、社員の半分以上が20~40代の女性です。昔のように結婚したら家庭に入るという社員は減ってきています。でも、女性管理職はまだ少なく、女性の働き方については一歩一歩ノウハウを固めていく段階です。
日本は、男女平等指数を測るランキングで2019年には153ヵ国中121位になりました。日本では、女性の憧れるキャリアモデルはまだまだ少ないのではと思います。


「仕事はがんばりたい」
「でもキャリアステップが見えない」
「家庭もあるし・・」
「やる気はあるのに何から変えたらいいのかわからない」

仕事の選択の自由が増えると同時に、女性は迷いも増えているように感じます。かくいう私もその一人。仕事や進路に迷ったり、もがいたりの毎日です。
そんな中、ハッと気づかされた経験がありました。今回はその30代女性のエピソードを一つお届けします。
このお話が悩めるあなたのきっかけになればうれしいです。


予想外だった動画研修シリーズ

あるとき、サービス部門向けに業務のコツを説明する研修を作ることになりました。サービス部門は約600人で、そのうち約500人が女性という、社内で一番女性が多いところ。部門のベテラン女性社員をメインに企画が進み、具体的な成功例も入れて、小技も効かせた楽しいテイストの動画研修が作られていきました。

動画研修シリーズは40本以上作られました。視聴率も上々で研修としては成功です。でも、なんだか社員からの反応がにぶいのです。
「動画としては楽しいです。でもやってみようとは思えない・・」そんな声が聞こえてきました。
出演者も身近な社員だし、実際の仕事に合っているし、すぐに仕事で使えそうな内容なのに・・。

ある日、私はサービス部門の友達とお茶に行きました。年が近い30代女性社員です。彼女はこっそりこう教えてくれました。

「研修動画シリーズはなんかモヤモヤするんだよね。ベテランさんが作ってくれてるから、確かに困ってるテーマを抑えてくれてるし良いやり方も伝わるけど。でも、私の悩みにジャストフィットしてない感じ」

ジャストフィットしてない。
その言葉が印象に残りました。


一方で、そのサービス部門の社員から熱い支持を受けているコンテンツがあります。
それは、私の部署で毎月作って配信している動画ニュース。15分ほどの長さで会社からのお知らせや新研修の案内をしています。

特に人気なのは社員が近況を投稿するお便りコーナー!
「このお客様でこんなイベントをした」とか「課で勉強会をして盛り上がった」とか、写真とともにメールを送ってもらうのです。
この動画ニュースの再生回数は月500回以上で、サービス部門のほぼ全員が見ています。

動画研修シリーズと動画ニュース。どちらも動画で、前者のほうが仕事にすぐ役立つはずなのに、後者のほうが社員の反応がいい。一体どうしてでしょうか?

あらためて調べてみると、社員は集まって動画ニュースを見た後に、「あのイベントうちもやりたいね」とその内容について話していることがわかりました。私がなにより驚いたのは、このように動画ニュースをきっかけに対話の場ができていたことです。
「会社の新しいお知らせ、納得できないです」と新人女性社員がその場で悩みをこぼせば、先輩がすぐにアドバイスをくれます。「そういえば自分もそう思っていた」と先輩側が初心に返ることもあるそうです。
気づいたことや不安を言葉にして、共有して、自分たちで対策を考え、自分の課題として持ち帰る。動画ニュースは、意図せずそんな機会を生み出していました。

“ジャストフィット”を見つけるために必要なのは「話すこと」

女性社員たちは、たくさんの情報があふれる中で自分自身の課題の整理が必要でした。そこで一役買っていたのが動画ニュースが生み出した対話の時間。対話することで、自分の課題を整理し、マッチする学習コンテンツを選び、働き方に役立てていました。

一方通行な研修だけでは、この課題整理ができず、本人も納得がいかないまま不完全燃焼な学びになってしまいます。「ジャストフィットしてない」という言葉はこの不完全燃焼感からきた言葉で、それは、裏を返せば「私の悩みにぴったりの学びがほしい」という強い想いだったのです。

その想いに気づいた時、なんて”ワガママ”なんだろうと呆気にとられました。社員数百人の会社で、一人一人にぴったりな研修なんて作れるはずがありません。でも、同時に思ったのです。「なんて”熱意のある”人だろう」と。

社内研修というのは、仕事の一環として、惰性で流してしまう人も少なくありません。そういう人たちは、特に不満も言いませんが研修に期待していることもないんです。
でも、”ワガママ”な女性には、惰性ではなく、真剣に学んで自分をもっと磨きたいという熱さがありました。だからこそ今以上の研修を求めてくれたのでした。

その時、私は、研修担当として熱意ある受講者に会えてうれしかった。そして、同じ30代女性の一人として、「今以上の自分になりたい!」という思いに共感して胸が熱くなりました。悩みながらも前を向く同志を見つけた気持ちでした。

今回の経験から、私が同志のあなたに贈るメッセージは、「自分にぴったりの学びを得ることは、自分にぴったりの服を見つけることと似ている」ということです。
服を買うとき、自分の体のサイズがわからないまま選ぶことは難しいですよね。自分に似合う色で、自分の体型に合っていて、今の気持ちを満たしてくれるような服が“ジャストフィット”。モデルさんの着こなしには憧れますが自分に似合うとは限りませんよね。自分だけの一着を求めて、私たちは服選びにはとても”ワガママ”です。

同じように、学びやキャリアにも”ワガママ”になっていいのではと思います。
どれだけ具体的な成功例を教えられても、キラキラしたキャリアモデルだったとしても、本当に自分が満足できるかはわかりません。
だとしたら、成功例やキャリアモデルを探す前に、自分は、何に悩んでいるのかを明確にしましょう。それを解決してくれる研修やコンテンツを選べれば、それこそあなたにピッタリの学びです。与えられる研修を待たずに、あなたが悩んでいることを言っていいんです。

そして、自分の悩みを整理するために必要なのが「対話」です。

おすすめなのは、対話型コミュニティです。一方的に講師が話すのではなく、参加者同士が話し合うことができ、自分の意見を言葉にできる場所です。
女性は、一人で考えを深めるよりも、人と話して共感してもらうことでより気持ちが明るくなったり考えを深める人が多いと、社員教育の経験から感じています。

時間の制限がある人も、最近はオンライン交流が増えているので短時間で参加しやすいと思います。会社や友達とちがうカテゴリーで、価値観が近い人たちと話してみてはどうでしょうか。「同じことを思ってた」「私はこう思う」など、人と対話することであなた自身が浮き彫りになってくるはずです。

女性の生き方は、今までになく多様化し正解のモデルがない時代です。
そんな時だからこそ、私たちはワガママになって自分だけの生き方を探していいんだと思います。”ワガママ”は今以上を目指す”熱意”の証。悩みを整理して熱さをもって進んでいきましょう。
あなただけの”ジャストフィット”を見つけるために。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?