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足るを知って新しいものを作り出していく「ぼくはあと何回満月を見るだろう」

足るを知る
何事に対しても、“満足する”という意識を持つことで、精神的に豊かになり、幸せな気持ちで生きていける。


ある一冊の本を読んでる時にこの言葉がびたっとハマる瞬間があって自分の中で理解してると思っていた足るを知るという言葉の意味を著者を通して考え直せた、解釈し直せた気がして改めて大事にしたい考えだと思ったこの頃です。

子供の頃、嫌いも何も一番面倒に思っていた読書感想文。言葉にする難しさとかどこを抜粋して読んだことない人に魅力的に伝えるのか、読んでみたいと思わせるのかのアウトプットを学べる場だったのかもしれないと大人になって感じたりします、、、。

だから今やります。
初心に戻って今私に必要なのはこれだと笑


記憶に新しくも悲しい訃報 坂本龍一
職業:作曲家 編曲家 ピアニスト 音楽プロデューサー


私は、細野晴臣をきっかけに坂本龍一を知ったのですが正直YMOのメンバーで戦メリ(戦場のメリークリスマス)の人。の認識しかなく詳しく説明しろと言われると申し訳ないが言葉足らずも甚だしく少しも詳しく話せなかった。

たまたま本屋の音楽ブースで見かけた坂本龍一の名の多さに圧倒され手に取らずにいられず、その場に1時間近くは居座っていたと思います。


ちょうど亡くなってすぐのことで目につくところ全てに坂本龍一関連の本がずらりと並びやっとしっかり興味を持って知りたいと感じたのはこの場にいたこの瞬間がきっかけでした。


手に取った本は
「ぼくはあと何回満月を見るだろう」

この本は、最晩年までの形跡を辿りながら話された自伝で自然とか、自然体とか既にある良いものを大事に思う坂本龍一だからこそ作り上げられてきた音楽でありアートであり作品なんじゃないかと感じさせられる一冊で、クリエイターとしての彼の脳内を少し覗かせて頂けたような体験でした。


本の題名である「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」は1990年の映画「シェルタリングスカイ」という映画に出てくるセリフで坂本龍一が音楽を手がけた映画の一つ。


冒頭はシェルタリングスカイの原作者であるポール・ボウルズからの言葉の全文から始まり、我がこととして捉えていなかった坂本が中咽頭がんが発覚してから死について考えるようになったことから話が進みます。

だからと言ってがん発覚後に作り出してきた作品や行ってきたことが特別意味を持ってるとか何か変わったとか、より良いものを残そうとかそんな話ではなくてただ単に発覚後も治療中もずっとずっと挑戦し続け、興味を持ち続け、数々の仕事に応えながらも自分の音楽も絶えず作り続けていたことが何よりもクリエイター魂であり表現者の髄をひしひしと感じました。

読んでいて感じたのは、自分の中で初めて気持ちいいくらいに"アーティスト"という言葉が輪で繋がった瞬間を感じたことと同時に、アーティストの魂胆にあるものってこれなんだよな、と何度も思える瞬間があったこと。


話は大きく逸れるのですが、私はビートルズのジョンレノンを敬愛していてその理由の一つとして、自分がアーティストでありある程度の知名度があることを利用して社会問題に真っ向から向き合い発言し、同じ世界に住む人間として起きてる問題を他人事とせずアクションを起こし続けてきた形跡があるのですが、初めてアーティストてこういうことだよな。て強く感じた経験で当時はそんな発言命を狙われてもおかしくない状況下なのですが、その犠牲も背負って影響力のある自分が今できることを考えて行動してたって語彙力捨てるともうめちゃめちゃかっこいいじゃん。て思ったんですね。


そんな気持ちを引き継ぐように同じようなことをしてきたのが坂本龍一でした。


おかしいことはおかしい。自分の意見をしっかり持つ。とか口にするのは簡単なようで人目や周りの意見を気にしてできない人も多い中で、特に知名度をもつ方々は、よりイメージだったり、好感度だったりに左右される世界でしっかり意見を言えることはどれ程の責任と強い意志を持って大多数の代弁を買って出てくれてるのかと思うと同じ時代を生きる1人として見習うべき先人だと感じます。


そんな一面もこの一冊を通して知った一つで、前々から環境保全に対してはずっと声を上げ続けており、3.11の震災後何度も現地に足を運び復興支援や脱原発に声をあげていた1人で、自分の考えてることを行動に起こしながら"今自分にできること"を常に考えられる方なんですよね。


また、映画音楽でのご活躍に注目されがちで、私もそう思う1人だったのですが、初めて坂本龍一の作り出す"作りたい音楽"に触れた時その場から遮断されて音楽に没頭できるような世界観と、ずっと聴いていたくなるような心地よさもあり、そのもっと根底にある表現したいことだったり、伝えたいこと、年数を経たからこそやりたいこと、がそれぞれあって文字を通して音楽を見るとアート作品のような音楽ばかりだと感じました。


人間の小賢い脳力を捨て、いちいち意味を持つことをあえて離れもっとモノの存在こそ見るべき。というまさにアート思考な美術家の考えを音楽に変換する様は凡人な私の思考突き抜けるいい意味での潔ささえ感じ、それは見事に作品としてアルバム「out of noise」に収録されています。
このアルバムかなりおすすめです(急なゴリ押し)


そんな中でも印象的で強く記憶に残っているのが、過去から学び残していくという考え方と自然へのこだわり。


日本の文化や歴史からインスピレーションを受けて作られる作品の多さやその表現力には日本人として改めて学び直したいと思える部分もあり、文章からだけでも心改まることが多かったように思います。


3.11の津波の中で残った調律の狂うピアノに触れた時、そもそもピアノとは木材からでき、人が作り上げた人工物だとすると、自然の力によって破壊された人間のエゴ、ないしこのピアノは本来の姿に還っている。という解釈には背景を読み取る視野の広さと想像力にうなされました。


現場に触れるからこそ、人ごとに思えない気持ちがその先の自分の行動につながっていくことを体現していた人で、そんな人が作り出す一つ一つのアルバムや音楽は今まさに残したい、残すべき作品であると私は思います。


足るを知って新しいものを作り出していく。
むやみやたらに新しい方へと行くのではなく、時代背景や事実に触れ、今の現状を知ることで自己解釈を通して新しい形に変換し今伝えるべきことを発信していく通り道を担っているような音楽家でした。


過去を知るとは、残してきた人がいるから
忘れてほしくないと願う人がいるから
だからもっと知るべきであってそこから学ぶべきであって。


そんな人が、そう思える人が今、坂本龍一なのかもしれない。と私は思います。



言葉足らずでもっと技術的な面や、関わってきた仕事、出会ってきた人たちや経験してきたことなど触れたい部分はたくさんあったのですが、何よりも全てがレコメンドすぎて抜粋しようがありませんでした。


読書感想文、完敗です。難しい。


この本を読んでほしい、というよりもっと坂本龍一をみんなに知ってほしい。という気持ちが強く出てしまう文章となってしまいましたが、少しでも熱意が伝わってたら幸いですし、興味を持ってくださる方がいたらぜひお勧めしたい一冊です。


完璧な生き様を見させて頂きました。
私はこれからも坂本龍一という日本を代表する音楽家、クリエイターを次世代に語り伝えていけたらと思います。


相変わらず長くなりましたが
ここまでお付き合い頂いた皆様
今月もありがとうございました。

end

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