見出し画像

2021年入試の時事問題を考える


現在世界中でコロナウイルスが猛威を振るう中、日本でも9月入学についての議論がされています。そこで今回は4月入学を仮定した従来の入試での出題が考えられる時事問題について考えてみたいと思います。

1,時事問題の多くは学習した内容に関するもの


 まず時事問題は大きく2つの型で出題されると言うことです。つまりA「ニュースそのもの」B「ニュースに関連する単元」に分けられます
 そのイメージが図1です。

2021時事問題_PAGE0000


 例えば去年新元号の令和が発表されましたが、Aが改元の手続きなどを聞くのに対し、Bは例えば「これまでの元号」「歴代天皇・上皇」「日本国憲法第1章(天皇)」が考えられます。
 Aはニュースそのものを扱うため、ニュース自体に関心を持つ必要があります。一方で関連事項はこれまで(これから)の学習の単元が対象ですので、塾の授業で学習したことを十分に理解していれば特別な対策をしなくても対応出来ます。


 そして、問題に出されるのはAよりBの方がはるかに多いです。大体1:9でBが多いと考えていいです。イメージ図が図②です。

図②


 以上が従来の時事問題への対策です。ニュースに関心を持つことは確かに良いことですが、それ以上に今まで学習したことを押さえておくほうが今は重要です。


2,2021年入試はコロナウイルスをどう扱うかがポイント


 2021年入試で時事問題が扱われるとすればおそらくコロナウイルスに関する問題が中心になるでしょう。しかし、その扱いにはかなりの注意が必要です。なぜなら、コロナウイルスは受験生が当事者のテーマであり、受験生に配慮した問題作りが必要だからです。
 例えば2011年に東日本大震災が起こりましたが、翌年の入試ではそれをテーマにした学校ばかりではありませんでした。他にもニュースがあったのも考えられますが、被災者への配慮も理由にあったと思います。
 コロナウイルスによって子ども達は休校を強いられました。また、受験生本人もしくは親戚や知り合いに感染した人がいたかもしれません。そのため一定程度の配慮が求められ、コロナウイルスに関する問題が回避される可能性があります。


 ではコロナウイルス以外のニュースを扱えばいいかというとそれほど多くありません。例えば後述する訪日外国人の減少も時事問題として扱われる可能性がありますが、元を辿ればコロナウイルスが原因です。他にも大きなテーマの時事問題はありますが、その多くがコロナウイルスに関連し、コロナウイルスにあまり関係のないテーマはごくわずかです。だから例年に比べると時事問題をどうまとめるかが難しいのです。
 以上をまとめると、2021年入試の時事問題は以下のタイプに分かれます。
A:コロナウイルスに関するもの
B:コロナウイルスによって生じた影響
C:コロナウイルス以外のニュース

これを示したのが図3です。

2021時事問題_PAGE0001

 BとCが例年の時事問題の素材です。しかしBはコロナウイルスに関連するため扱いに配慮が必要で、しかもCは素材が少ないです。
 ただ、やはりコロナウイルスは非常に重要なテーマです。受験する学校全てでコロナウイルスを扱わないという可能性は低いです。また出題するにしても受験生に配慮した問題作りをするはずです。ですから、コロナウイルスに関する話題については一定程度の対策を図る必要があります。

3,2021年入試で扱われる時事問題とは


 では2021年入試の時事問題を詳しく見ていきます。まずA「コロナウイルスに関するもの」ですがキーワードのみ抜粋します。


「コロナウイルス」「緊急事態宣言」「パンデミック」
「クラスター」「3密」「ソーシャルディスタンス」等


 Aは新型コロナウイルスを通して生まれた言葉が中心になります。他にもありますが、それはBに関連しますのでそちらで触れます。
また感染者数などの被害に関するものについて扱われる可能性は低いです。これは東日本大震災の時でも明らかです。加えて、アベノマスクのような揶揄が入るおそれのあるテーマも出題される可能性は低いです。

 次にB「コロナウイルスによって生じた影響」ですが、これは去年の出来事と関連してみると分かりやすいです。項目毎に紹介します。

①「東京五輪延期」
 開催が2021年7月23日に変更されました。また、来年開催できなければ中止の可能性もあるという報道が最近ありました。過去の中止になったオリンピック、2020年7月に移動した祝日や聖火リレーの規模をどうするかなど、オリンピックに関する問題が出る可能性があります。

②「キャッシュレス化の推進」
 2020年入試は新紙幣の発行やキャッシュレスの推進などが話題になりました。現在、感染リスク回避を目的にキャッシュレスが進んでいるため、継続して話題になる可能性が高いです。コロナウイルスによる社会の変化という点での出題も考えられ、キャッシュレス化はその代表的なテーマと言えます。

③「働き方改革」
 2019年4月に施行された働き方改革の法律が施行されましたが推進は不十分でした。しかし、テレワークが進み、働き方に変化が起きています。今回の労働の変化を問題にする可能性があります。

④「訪日外国人」
 2019年は3100万人の訪日外国人がいましたが、2020年は激減する可能性が高いです。訪日外国人が減少した年(2008年・2011年)と関連づけた問題が出る可能性が高いです。

⑤「国と地方自治の関係」
 緊急事態宣言の対応など国と地方自治体の関係が注目されています。政治分野は時事問題に関わらず出題されやすいですが、2021年入試はこれに焦点を当てた問題が出る可能性が高いです。

⑥「情報化社会」
 コロナウイルスが無かったら2021年入試の情報化社会に関しては5G絡みの問題が中心になったはずです。ただ、先述のテレワークやリモート教育などネットを使った遠隔作業が話題になる可能性があります。またネット社会が進むことでの課題について考えさせる問題が出る可能性も十分にあります。

⑦「環境問題」
 2020年入試はプラスチックごみの処理が話題になりましたが、現在は感染リスク回避のためプラスチック(ビニール)が注目されています。プラスチックの見方が1年で大きく変わったのは興味深いです。プラスチックの長所と短所について考えさせる問題が出る可能性も十分にあります。
 また産業が停滞したことで地球温暖化対策が結果的に進んでいます。環境問題についての考え方が変わる可能性があります。

⑧「国際社会」
近年米中貿易戦争が話題になっていますが、これがコロナウイルスにテーマを移して扱われる可能性があります。その中でコロナウイルス対策における国際連合(WHO)の役割について扱われる可能性があります。
他にもBタイプの問題は考えられます。それだけコロナウイルスが様々なテーマに影響を及ぼしているのです。ニュース毎に時事問題を紹介する問題集では、最初に「コロナウイルスの影響で・・・」が枕詞になる可能性が十分にあります。

最後にC「コロナウイルス以外のニュース」ですが、素材が少ないのが現状です。


①「奄美群島世界遺産へ」(予定)
新型コロナウイルスがなければ今頃UNESCOに登録の推薦がされるかが決まっているはずです。しかし、会議を開くことが出来ないため推薦も決まっていません。もし決まれば世界遺産に関する問題が扱われる可能性が高まります。

②「高輪ゲートウェイ駅開業」
東京オリンピックに合わせての臨時的な開業ですが、いつまで走行させるのかが注目です。また東京地理を扱う学校では山手線沿線の問題が狙われる可能性があります。

③「アメリカ大統領選挙」
11月に結果が出る予定ですので、当選者とその人が所属する政党(共和党か民主党)を押さえれば十分です。

④「日本の政治」
 政治の動きについては例年通り時事問題と関連づけた出題が考えられます。今国会で議論された、される予定の国家公務員(検察官含む)の定年延長、国民投票法の改正、9月入学について扱われる可能性があります。特に9月入学については受験生は当事者でありますので、仮に出題されるとしたら自身の意見を述べさせる問題が出る可能性があります。

以上を簡単にまとめたのが図④です。

2021時事問題_PAGE0002

4,2021年入試の時事問題対策は今年と去年のニュースを比べること


 以上、2021年入試で考えられる時事問題を述べてきました。最後に対策について述べたいと思います。
 2021年入試で時事問題が扱われるとすればある程度の配慮をした上でコロナウイルスに関する問題を出すはずです。またコロナウイルスによる影響に関する時事問題も出るはずです。そしで出るとしたら去年との違いに注目した問題作りになると思われます。ですから、去年の時事問題集を通して、「去年と比べるとこう変わったな」と社会の変化を見ておくことが有効になります。


 とはいえ、やはり大事なことは塾の社会の内容を十分に理解することです。時事問題と言ってもニュースそのものを扱うことはあまりありません。出題されるのはニュースに関する内容です。ですので、今は塾の内容をしっかりと学ぶことが大事だと思って下さい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?