観察力こそ編集力
※この文章は、日本仕事百貨のニュースレターに寄稿したコラムを加筆修正したものです。ニュースレター登録はこちらから。
先日、前橋ブックフェスに行ってきました。
ご存知の方もいるかもしれませんが、群馬県の前橋市で開かれ、ほぼ日とJINS、そして前橋市などが協力し、今年で二度目の開催となったイベントです。
まちの至る所で、同時にさまざまなイベントが開催されているのですが、一番の目玉は、本。
もう読んでしまった本や、誰かに読んでほしい本など。事前に全国から前橋に集めて、まちの商店街にずらーっと並べ、来場者は好きな本をなんとタダで何冊でも持って帰ることができる。
集まった本は数万冊にも及ぶというから、ものすごい規模です。お客さんもたくさんいて、まさにお祭りという感じ。
あまりにも本の種類が多すぎて、見きれず選びきれず、結果的にぼくは3冊を大事に持って帰ることができました。
前橋が地元だという知り合いの人に聞くと、このまちにこんなにたくさんの人が来て盛り上がることなんてこれまでなかった、とのこと。発端はほぼ日の糸井重里さんによるものですが、結果的に第二回まで開催し、無事成功させ、地域も盛り上がる。これ以上ない良いイベントだと、参加して感じました。
一方で気になるのは、ボランティアスタッフの数や、その管理方法。本の集め方や保管場所に、余った本の使い道やトラブル対応の仕組み。さらには当日までに準備にどれだけの工数がかかっているのかなどなど。
自分もいちメディアを運営し、イベント開催もしている身としては、裏側も気になりながら観察していました。
自分たちもこれだけのイベントを動かすことができるだろうか。できるとしたらいつどこで、どんな規模でできるだろう。
編集者は、いろんなものを実際に見ておくことが大事だと思っています。それはイベントも然り、求人の仕事も然り。さまざまなインプットをすることで、思わぬところでアウトプットの質が上がる。
それはイベント開催かもしれないし、このコラムのなかでかもしれない。編集者、と肩書きを名乗るからには、観察力を持っていろんなものを見るべきだし、それは仕事百貨のなかまたちにも伝えたいことだなと、あらためて思いました。
日本仕事百貨もだんだんとイベント数や質が向上してきていると実感しています。ぜひリトルトーキョーへお越しください。
そしてゆくゆくは、清澄白河のまちを巻き込んだ大きなことができたらいいなと、そんな妄想もしています。
(稲本 琢仙)