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悲しみは明日へのエネルギーになる

「悲しみは明日へのエネルギーになる」と聞いたら、あなたは驚きますか。わたしはしばし考えた後に思いました。そう。確かにそう。だから今のわたしがある。

がん専門の国立病院にて、ひたすらがん患者さんと向き合ってこられた精神科医の方が書かれた本です。本のタイトルである「もしも一年後、この世にいないとしたら。」を自分のそばにいつもある問いとして、向き合ってこられてます。きっと、だからですね。言葉の重みが違いました。

この本の一小節に、悲しみについての記述があります。「悲しみという感情が、苦しみを癒す。」

苦しいとき、痛いとき、人はひとりで感じます。言わば自分しか体感できない。

わたしの幼い表現でしか言えないけど。苦しいも痛いも、たったひとりで抱えるにはしんどくて、辛くて。自分が破裂しそうに感じます。

そこで悲しみです。悲しみとは、誰かにわかってもらえるチャンスを生む。ひとりきりで抱えたと思った痛みも苦しみも、相手に伝えることで、悲しみの感情として互いに分かち合うことができる。共感能力のあるものなのです。

わかってもらえた。この安心感が生まれたとき、人は安らぎます。心が緩みます。すると生きる活力が湧いてくるのです。

著者の方も書いておられましたが。精神科医たる自分が、この人の問題を解決せねばと躍起になっておられた時期もあったそうです。次元は違うだろうけど、お節介焼きのわたしも身に覚えがあります。

でも患者さんに必要だったのは解決ではなく、悲しむ場を提供することだった。しっかり悲しむことができたら、人が悩みと向き合う力、いわゆるレジリエンスが育まれていくのです。

わたしは決して、「前を向け」と言いたいわけではありません。どうにもこうにもならない辛いことってあります。その傷を癒すべく、悲しみに浸るのも当然です。どんな悲しみ方をするかは、その人の価値観や人生そのもの。他人がとやかく言う事じゃない。

わたしが言いたいのは二つ。一つ目はいま悲しんでいる人へ。悲しんでいるということは、あなたは生きようとしている。苦しい、痛いを癒そうと、必死に自分が奮い立ってる。どうかそのことを忘れないで。決して弱いわけじゃない。あなたはむしろ生きる力が強い。自分を信じて。願うように伝えたい。

二つ目は、悲しんでる人が目の前にいて、途方に暮れているあなたへ。あなたは無力じゃない。あなただから、目の前の人は悲しみを打ち明けられている。悲しむプロセスへ踏み出せてる。あなたに伝えることで、傷を癒やし、困難と向き合う力を目の前の人は培ってる。あなたはその場を、そのきっかけを提供できてる。それって、とてもすごいことだから。

悲しみについて書かれた箇所は、ほんの数ページです。わたし自身がかつて悲しんだことも、人の悲しみに触れ無力を感じたこともあり、熱く書いてしまいました。

どう生きたらいいんだろう。どうしたもんだか。ご自身が病かどうか関係なく、そんな漠然とした問いに、ひとつのキッカケをくれる本だと思います。

この本を読んだことで心を揺さぶられ、ホントはもっと書こうとしてました。悲しみだけで、こんな書いちゃうとは思わなかったなー。なので他の箇所は本に任せます。

ぜひ読んでみてください。オススメします。

では また

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