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「家族」というのは血のつながりだけだろうか?

1.家族から独立する理由があって離れているのか?

 NHKのEテレで放送された「アメリカと3人の孫たち」(1/22/2021/Friday・放送)を見て思ったことを書きます。

私は常々、日本人は何かと家族から独立しなければ・子どもを独立させなければならないという傾向があると感じています。

でも家族から離れなければならない理由があって独立の道を選んでいるのか、それともただ「独立が必要」との思いだけでそうするようにしているのか、そこら辺が以前の私には分かりませんでした。

結論から言うと「本当に独立する必要はあるのか?」というのが、私が感じた事でした。
ただでさえ核家族で親類の仲が希薄になってきてしまったと言われているのに、自分たちで更に関係を絶っているように思えます。

2.いくら「依存」から独立しようとできるものでは無いと思う

 河合隼雄先生の『こころの処方箋』にもそこら辺の事が書かれていました。

欧米だととても個人の独立心が高くて、子どもが成人したら家族から距離をとるようになるものと思っている方もいるかもしれませんが、その逆のようです。

彼らは時間があれば家族と連絡を取っているそうです。
電話であったり、現代であればビデオ通話だと思いますが、それこそ日本人ならそんなに頻繁に連絡を取らないだろうと思うぐらい、しょっちゅう連絡をとっているそうです。

じゃあ彼らが家族に依存をしているかといえば、そうではないと河合先生は仰っています。
逆に日本人は依存の事を勘違いしているのではないかと仰っています。

自立というのは、依存を排除することではなく、必要な依存を受け入れ、自分がどれほど依存しているかを自覚し、感謝することではなかろうか。
『こころの処方箋』(河合隼雄・著)

人は何かしらの形で何らかの存在に依存している、そういう助けが無ければ個人で生きていけないと思っています。
その事を自覚することが重要で、そうすると自ずと感謝の気持ちが湧いてくると思います。

今だとエッセンシャルワーカーの方の存在でしょうか。
ごみ収集だったり、食料品を販売されている方だったり、そういう人たちの存在が無ければ街はめちゃくちゃで、食べ物さえ手に入りません。
そして彼らの給料は大抵の場合、とても安いのが現状だと思います。

3.「家族」とは「愛情のつながり」とも思える

 最初に紹介した「アメリカと3人の孫たち」も、ちょっと違いますが、家族というものを感じさせるドキュメンタリーでした。

認知症のお祖母さんを介護するというものでしたが、少なくとも嫌々やっているようには見えませんでした。
特に兄弟の中のディエゴは本当におばあちゃんが大好きで、とても愛情を持って寄り添う姿はとても新鮮でした。

認知症の老人の介護というのは私も体験しましたが、それはそれは大変です。
でも彼らが苦痛に感じているようには思えなかったです。

確かに老人の介護を放棄したら罰せられるという理由はありましたが、それでも彼らは誰に介護をさせるかどうかで争うことはなく、それよりもどう介護するかで揉めていたので、彼らの中で「介護は辛いから辞めたい」という気持ちは見えませんでした。

彼らの気負うことなく優しく介護する姿は、家族って何のためにあるのだろう?という気持ちを私に投げかけたように感じました。

4.緊急事態の時に真っ先に守る存在は誰か?

 私は「家族」というつながりほど深い繋がりはなくて、しかもそれが損得関係なしに、ただ「愛情」から生まれる素晴らしい関係だと思っています。

そんな大切なつながりと存在を自ら関係を切るというのは、よっぽどの理由があって切るなら別ですが、私はどうかな〜と思います。
そして私は日本人はこころの奥底ではその大切さにもう気づいているはずだと思っていますし、そういう出来事がありました。

それは東日本大震災です。
あの出来事が日本人の意識の奥底につながりの大切さを感じさせた出来事だったと思っていますし、家族の存在の大切さを強烈な形で日本人に思い知らせた出来事だったと思っています。

なのでこころの奥底では、家族の存在と絆の大切さに気づいていると、私は思っています。

5.最後に

 「アメリカと3人の孫たち」のエンディングはこうでした。

おばあちゃんは亡くなって、遺灰になった容器を兄弟で持つシーンでした。

彼らは少し泣いていましたが、笑顔でした。
日本だと「不謹慎だろ!」と思われるかもしれませんが、私はそうは感じませんでした。

泣いていることから少なくとも悲しいのは分かりましたが、笑顔だったのは、おばあちゃんが亡くなったことに対して、ただ悲しくて残念だという気持ち以外が表れているものだと思いました。

もしかしたら、彼らの中には「大好きなおばあちゃんを看取れてよかった」という気持ちがあったように私は感じました。

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