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あ、こんな考え方があったんだと心が軽くなる本 | 『こころの処方箋』(河合隼雄・著)
1.世の中の多くの人の悩みや考え事の答えが見つかるかもしれない
もう説明不要かと思われるぐらい、日本を代表する臨床心理の権威の河合隼雄先生の、一番有名な『こころの処方箋』を紹介したいと思います。
この本では、こころの病を抱えている方だけではなく、世の中を生きる様々な人の悩み相談などの経験をもとにした先生の意見、または先生がこう考えたら良いんじゃないかという、あくまでも先生の意見だったり、様々な内容が書かれています。
本当に多種多様な悩みについてだったり、こころについての考え方が紹介されていますので、何か悩みがある方は一度、本屋や図書館で手に取って読んでみても良いと思います。
全く押し付けがましくないです。
この投稿に貼ってある河合隼雄先生の笑顔そのままの率直な気持ちがそのまま書かれているので、読んでいるだけでホッとします。
2.私が一番気に入っている言葉を紹介したいと思います
この言葉一つだけでこころが軽くなる人もいるかもしれません。
私も親に常々注文をつけられることがあるので、そんな時はこの言葉をいつも頭の片隅に置いておくようにしています。
そして私も誰かに意見を述べる時は、この事をできる限り注意して発言するようにしています。
「100%正しい忠告はまず役に立たない」
責任を取る気もなく、100%正しい意見を言うだけで、人の役に立とうとするのは虫がよすぎる。
そんな忠告によって人間が良くなるのだったら、それをまず自分自身に適用してみるとよい。
それほど効果があるものではないことがすぐに分かる。
人は誰かに対してアドバイスなり意見を述べたりしたくなるかもしれませんが、たとえその意見が正しくても、じゃあその事を実際に話している本人が実践できているかといったら、できている人は少ないんじゃないかと私は思っています。
特に私の場合は人に意見を述べておきながら、自分で全然できていないので耳が痛いです。
それに河合隼雄先生も、そもそもそんなことができている人はもはやホトケの領域に入っているとおっしゃっているので、その通りだと思っています。
はいはいそうですかとまで考えられたら楽になると思いますが、少なくとも人に合ったアドバイスを的確に述べることができる人はそんなにいないと考えたら、それだけで気持ちが楽になるかもしれません。
3.常識が忘れられがちな現代には、いったん常識に戻る必要があるのではないか
河合隼雄先生は、この本に書いてあるのはあくまで「常識」だとおっしゃっています。
まったく気の毒なことだが、そんなわけで、知識はたくさん持っていながら常識のない人が増えてきたのである。
常識に縛られて生きるのもどうかと思うが、常識のない人は不愉快である。
どうも、これはマスコミなどで「非常識」が売物になりやすいので、常識がない方が価値があると錯覚するのかも知れないが、常識を知らぬ「非常識」は、あまり好きになれない。
そして本の後書きに寄稿されている谷川俊太郎さんもそのことについて述べられています。
この『こころの処方箋』で述べられているかずかずの言葉も、多かれ少なかれそのような過程をへているに違いない。
だが、その「言葉から出て言葉に出」た河合さんの言葉は、決して難しい言葉ではない。
すべてなるほどと腑に落ちる言葉ばかりである。
「分かったつもり」の「常識」をあるときははずし、あるときはくつがえして、私たちに新しい視点をもたらしてくれる。
河合さんは口癖のように自分は常識人だとおっしゃるけれど、ただの常識人ではない。
常識をより深くバージョン・アップし続ける常識人だ。
その「常識」は新しく見えるかもしれないが、古くからの人間の知恵にその根を下ろしているから、私たちを納得させる力を持つ。
私にはもう河合先生がすでにホトケの領域に入っているとまで思ってしまいそうですが、先生にそう述べても必ず否定されると思います。
4.最後に
村上春樹氏も河合隼雄先生と対談したことがあるのですが(その対話は本として出版されている)、村上春樹氏も、私の小説についての考えをしっかり受け止めてもらえた人は河合隼雄先生しかいないとおっしゃっていました。
二人とも恐ろしい領域まで達していると私は感じてしまいます。
そして一番この本で怖い事実は、この本に載っている数々の話は書き放しで、ほとんど手直しされていないという事実です。
これだけの事をスラスラと書けるのは驚愕すべき点だと私では思っています。
ただ決して難しい文章ではなりません。
書き放しで書かれているので大変読みやすいですし、だからこそ全く押し付けがましくなく、こころに響いてくるのだと思っています。
興味を持たれた方は一度、試し読みしてもらえたら嬉しいです。
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